2011年10月2日日曜日

ホドルコフスキー氏のプーチン批判


ホドルコフスキー氏とは、現在北西部カレリア共和国の矯正施設に収容されている元社長さんです。
どこの社長さんかと申しますと、「ユコス」というロシアの石油会社です。
すでにプーチン氏によって解体され、ガスフロムというプーチン氏の資金源となっている石油会社になっています。

ホドルコフスキー氏は、横領や資金洗浄の罪で再訴追されたものですが、どう見てもこの横領の中身はユコスが掘削子会社から内部価格で買い上げた石油を市場に売却しただけの、通常の商行為であったようです。
しかし、石油を国際戦略に応用しようとするプーチン氏は、企業利益型のホドルコフスキー氏の商行為を、横領として2003年10月に有罪にしてしまいました。
刑期は5年、ですから2008年には出所できたのですが、すぐにプーチン氏に資金洗浄の罪で再投獄されてしまったことは、記憶に新しいところです。
今度の刑期は8年でしたが、今年の5月に13年に引き伸ばされてしまいました。つまりあと10年は出てこられないことになります。

それから9月になって、プーチン氏が来年の大統領選挙に出馬することが伝えられ、その任期は12年の予定。
その時の政治状況がどうなっているかによって、ホドルコフスキー氏は再び何らかの罪状で投獄されるかも知れません。

このホドルコフスキー氏へのインタビュー記事が産経に出ていました。
もちろんプーチン氏への批判になっていますが、なかなかクールな発言で、彼のロシアへの思いも伝わってきます。

「プーチン氏が大統領が就任して以降のロシア社会の変化をどう見ているか?」という問いかけに対して「1999年以降、石油価格が10倍に高騰したのとともに生活水準が上がったのは疑いない。これは地方に比べ、モスクワと他の(5~7の)大都市で顕著だ。いずれにせよ、至るところで何がしかの生活水準向上はあった。」と評価しているとも取れる発言。

その上で「同時に、武闘派(シロビキ)によって始められた資産の再分割と猛烈な汚職(予算規模の3分の1に迫る)はとどまることを知らない。何万人もの事業家がビジネスの放棄に追い込まれ、残りの絶対的多数は賄賂を払って自らの自由を案じているのだ。」とプーチン氏、イーゴリーセーチン氏などを批判します。
そして「市民社会や市民の(権力から)独立した政治的・社会的活動は組織的に弾圧されている。その結果が現在、『安定』と呼ばれているものだ。ソ連時代の末期、私たちはこれを停滞と称した。事業家を衰弱させて、官僚のイニシアチブなどに期待しておいて、経済の(石油依存から脱却しての)多角化を望むなどというのは、『ざれ言』だ。結果は目に見えている」と、経済の本質を鋭く突きます。

このような頭脳派を嫌うのは武闘派の常かも知れませんね。経済の本質を突くと「ユダヤの手先」などと蔑みます。
ホドルコフスキー氏は、ロシアの未来について次のように語りました。
「ロシアはすでに数百年間、50年の後れをとって欧州文明の軌道を歩んでいる。今、何か別のようになると判断する根拠はない。従って、そう長く待つことはないだろう」

日本とロシアの間には、厳然として北方領土問題があります。
イタル・タス通信の記者の指摘するように「日本が領土を失ったのは、正当な罰だという考え方」がまだロシア国民の間に多いのかも知れません。
「2島返還はあくまでも平和条約を結んだ後に、いわば「プレゼント」として「譲る」という考え方で、「返還」ではない」というロシアの発想。
しかし、日本国民はそうは考えていないこともよく知っております。
このように意見が違うからこそ「話し合い」に意味が出てきます。何らかの話し合いの場が欲しいところ。(背景に軍事力があっての話し合いのことですよ)
もちろんこれは「中共封じ込め」の戦略の一環として設置するものですけど。

そのためには、はやくロシア政局が「武闘派」から脱却して欲しいものですが、強い指導者にあこがれるロシア国民の性質が、それを阻害しているとも考えられますね。
ホドルコフスキー氏のような人は、ロシアでは少数派なのでしょうか?

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