2011年1月11日火曜日

TPP、賛成と反対で保守系が真っ二つ

保守系の新聞として、その地位を固めている産経新聞が、日本のTPPに賛成しているということで、保守系団体(がんばれ日本など)は非難を始めました。
TPPは日本農業に壊滅的打撃を与えることであり、アメリカの農産物を日本に売りつけるためのまやかし。再び日本は戦後の敗戦レジュームに戻ってしまう・・などの論説が踊ります。

おっしゃる通りかも知れません。価格は高く、生産性が低い日本の農業は国際社会(と言ってもアメリカですが)とは価格面で戦えるものではないわけです。
このままTPPを批准すれば、日本農業はおしまい・・といいたくなるのも解ります。

また、アメリカは未曾有の経済危機にあって、オバマ大統領も今後アメリカは輸出攻勢を掛けると公約しました。
アメリカは産業が疲弊しきっています。そして広大な農地だけが健在。輸出するとしたら農産物(肉類、木材も入れて)が主力。そこでアメリカの農産物を買ってくれる唯一の国「日本」に焦点を当てた国際政策がTPPということで、これが日本農業をターゲットにした策略であると・・・言いたくなるのも解ります。

その上で、私はTPPに賛成なんです。その理由は「日本の農業政策の改革を自らの力量で出来るのか?」という疑問があるからです。
TPP反対のデモが昨年行われました。全国農協組合中央会が行ったデモで、日比谷野外音楽堂に3000人以上を集めて気勢をあげていました。
スローガンは「TPPに参加すれば、日本の農林漁業は壊滅する」と言うもの。そして「日本人の暮らしのあり方を問う大きな運動にしよう」と続きます。
しかしこのデモの主張は「日本の農業従事者をこれまで通り保護しろ!」と言っているに過ぎないのではないでしょうか?
「日本人の暮らしのあり方を問う大きな運動にしよう」というのであれば、農業への自由参加を推進し、農地の土地課税も考慮しろ・・と言いたくなります。
農業従事者は、いつまで「弱者としての農家」を演じ続けるつもりでしょうか?
日本の農家が弱者を演じ続ける限り、日本の農業の復活などありえないでしょう。実際に日本の農業技術は世界的に見ても「強者」なはず。弱者を演じているほうが楽だ、というだけのことでは・・

野菜などの農産物を野菜工場で作るという企業が出てきています。まだ実験段階とのことですが、フルーツトマトなどを地元の「やっちゃば」などに出して、結構稼いでいるとか。
野菜工場とはようするに温室内での水耕栽培です。消費者の中には温室栽培を嫌い、露地物の野菜に価値を持つ大勢の人たちが居ます。しかし露地物を勝手に大規模に行うと法律に引っかかるとか。(農業従事者保護のため、だそうですね)
野菜工場はこの法律が出来たときに、そういう概念がなかったことから可能になっているということではなかったでしょうか。

農業政策に関する保護法の矛盾。それが日本の農業の足を引っ張っていることが理解されて、健全な農政(時代とともに変化しますが)が可能になって、始めて可能となる「農林漁業」の活性化。
TPPが毒薬であっても、このまま座して死を待つよりも良いのではないか・・・という理由から賛成するものです。
保護法でがんじがらめの日本農政。そこに弱点があるからこそ常に外国から攻撃されるのではないでしょうか?

現政権の行っている、アメリカの圧力に屈し、日本の財界(親中共企業)の既得権益集団に屈していることには腹が立ちますし、農家を黙らせるために、さらなる補助金の投入ということにも腹が立ちます。
時代とともに法律は変わらなければなりません。経済環境は時々刻々と変わっているからです。
だから立法府の独立があるわけで、そして立法府の議員が選挙で選ばれるようになっています。その根本的理由は既得権打破。民主主義の究極の意味だったはず。
その立法府が、あちこちの既得権集団の意向に合わせるように落としどころを考えるのでは、それだけで日本の未来は無いと言ってもいいのではないでしょうか?(立法府が駄目で、その上の官僚叩き。そして行政府(政府)も駄目になっていきます)

利己主義に陥らない「自由主義」の原則に立ち戻って判断してほしいものですね。

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