2019年11月6日水曜日

首里城焼失・首里城とは

10月31日の午前2時40分頃に出火、首里城はその後11時間燃え続け11月1日の20時頃にやっと完全に鎮火したようです。

出火は今のところ正殿と見られています。火災発生の報告から約7分後に消防が到着していますが、消防活動がやりにくい地形もあって手間取り、その間に火災は大きくなって全焼してしまったと言うことです。

現場は正殿や北殿、南殿、奉神門(ほうしんもん)が『ロ』の字形に中庭を囲み、いろりのように熱がこもりやすい構造で、中庭で放水していた消防隊員に危険が及び、撤退させざるを得なかった状況だったとか。

城壁に囲まれた首里城への進入口は限定されており、首里城直近にある2つの防火水槽から取水して放水するには、城壁を迂回(うかい)しながらホースを延長するため時間がかかり、標高約120メートルの高台で風の影響を受けやすく、城壁に囲まれた特殊な環境で鎮火まで11時間もかかってしまったようです。

「消防防災ヘリコプター」による空中放水については、「何トンもの水を落として消火する空中放水は、消防隊員や近隣住民にけがをさせる恐れがあり現実的ではない」として行われなかったとか。

首里城では10月27日から琉球王国の儀式を再現した「首里城祭」が開かれていたそうです。
1429年から1879年まで続いた琉球王国で、中心的役割を果たした城で、国王の執務室や行政施設からなり、正殿は2層3階建ての造りや竜の彫刻が施された柱がある独自の形式で建造されていたそうです。

火災発生直後に正殿1階で炎が噴き上がる映像が防犯カメラに記録されていたそうで、正殿1階の北側付近に配電設備が設置されていと言うことです。
31日午前2時34分、熱に反応するセンサーが作動し、消防への通報がなされたようですが、正殿外観を写していた防犯カメラの映像に、1階東側の外に向かって中から炎が噴き上がっている様子が記録されていたと言うことですから、漏電による出火の疑いが強いのではないでしょうか。

捜査関係者によると、正殿内に外部から侵入した形跡はなく、県警は放火の可能性は低いと述べております。
漏電は、配電設備からの出火とすると、配電盤の管理責任が問われます。首里城は日本国が所有者で管理を沖縄県に委ねていたそうですから、沖縄県知事の責任が問われるかも知れません。

首里城は、戦前は沖縄神社社殿としての正殿などが旧国宝に指定されていたそうですが、大東亜戦争の沖縄戦で破壊され、また戦後は琉球大学建設により破壊されていたと言います。
その後琉球大学の西原町への移転が行われ、本格的な復元が始まったのは1980年代末からで、1999年に正殿などが旧来の遺構などを埋め戻す形で復元されました。

2000年12月に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されましたが、登録は「首里城跡(しゅりじょうあと)」だけであり、復元され全焼してしまった建物や城壁は世界遺産に含まれておりません。

復元され消失した建物は国の所有で、今年(2019年)の2月1日から2023年1月31日まで、管理および運営が国から沖縄県に移管されています。
沖縄県は、この移管後も国が管理運営を委託していた一般財団法人「沖縄美ら島財団」に、引き続き2月以降も管理業務を委託していたと言います。「沖縄美ら島財団」の責任と委託した側の責任が問われます。

本来の首里城の創建年代は明らかではありません。正殿の他に守礼門、歓会門、瑞泉門、白銀門が旧国宝に指定されていたそうです。
しかし正殿などは何度も焼失したことがあり、火災による焼失は今回だけではなさそうです。

本州から取り寄せた檜の太い柱で作られた正殿は、その柱の多くに赤い漆を塗布され、外観は荘厳な威圧感を持っていますが、火災には弱い構造です。
ですから火災に関しては、より注意した対策が必要な訳ですが、どこまで火災について設計段階からの注意がなされていたのでしょうか。

グスク跡の地形が、消火活動に困難をきたす状況であればなおさらのことです。
しかも何度も火災で消失している建物のようですから、半年に一度くらいの頻度で火災訓練を行うべきではないでしょうか。

今回は深夜の発火でけが人が出なかったのが不幸中の幸いでしたが、もし観光客で賑わう昼間でしたら、きちんと非難の誘導は出来たのでしょうか。漏電による火災なら、昼夜いつ起きてもおかしくは在りませんからね。

消失した建物の再建はお金を掛ければ出来ますが、火災に関しての対策が十分行われなければ極めて危険な観光地としての「首里城」と言う事になりかねません。
消火施設とか、火災発生時の観光客も含めた避難訓練、消防活動の定期的演習は、お金がかかっても見返りが無いことが最も良いことです。
見返りがあったと言うことは、火災が発生したが被害は最小限に抑えられた・・と言うことですからね。

そこは安全保障と全く同じです。お金がかかって、周辺には迷惑も掛かるでしょうが、それを持ち、訓練をしなければ確保できないのが安全保障というものなのです。

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