2019年11月22日金曜日

日米デジタル協定とは・・

対中戦争の最大の戦線がデジタル技術です。それを象徴するのが5G問題のようですが、それに先立ってデジタル情報の貿易上の取り決めをしっかりしておかないとなりません。

そこで日米貿易協定の中で「日米デジタル貿易協定」がクローズアップされてきます。
このデジタル協定とは、概略を示すと次のようになります。

1.データの国外持ち出しは自由、デジタルコンテンツへの関税を課さない。
2.国はソフトウエアの文書(ソースコード)や設計思想、アルゴリズムの開示を求めない。
3.SNSなどのプライバシー侵害があった場合、運営会社がそれを事前に知っていた場合は民事上の責任を負う。
4.暗号を使用するパソコンやソフトウエアの暗号開示を求めない。

これが主な協定の内容です。
このデジタル貿易協定は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)や日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)でも議論されていますが、まだ具体的なルールは出来ておりません。
日米は、この「日米デジタル貿易協定」が、今後の世界のひな形になると位置付けております。

中共が乗っ取ってしまったような「WTO(世界貿易機関)」でも電子商取引(EC)をめぐる議論が進んでいるようです。
そこでもまだ標準ルールが定まっておりません。

この協定の内容は中共を強く意識した協定です。中共は、国内産業の保護・育成を目的という理由で、進出企業に秘匿性の高い情報まで開示するよう要求し続けました。
その結果、あらゆるデジタル技術が中共の人権弾圧とか臓器売買などに使われ、現在は人民を監視する映像技術などを作り出してしまいました。

この協定は、このような中共の悪癖から、今後開発されるであろうデジタル技術を守る効果があると思います。

当然、中共側は「開示しない企業は中共国内での活動を認めない」とするでしょうから、デジタル企業は日米共にこの協定には反対のようです。
協定によって、この協定を守らない国家(中共)へのデジタル技術製品の販売は規制されるでしょうから。しかし彼らはこれが「戦争」であることが解っていないようです。戦争中に敵国へ最新技術を提供する企業があれば、それは利敵行為(売国奴)と言われるのは当たり前です。

これらの協定は、やがて貿易決済のデジタルマネー化を目指しているはずです。つまり貿易のやり方が全面的に変えようと言う訳です。
これまでの「船荷証券(B/L)」とか「貿易保険、信用状(L/C)」などのやり方が変わり、輸出入も貿易会社が介在せず、小口直送(個人輸入→直接消費者へ)が可能になってくるはずです。

つまりこの協定が今後どうなっていくかは判りませんが、加盟しないと新しい貿易体制に入れなくなってしまうかもしれません。
こうして中共の国際貿易からの締め出しを画策し、中共に対し「協定に加盟するなら、このルールを守れ」と持っていく作戦だと思います。

中共側は、何とかこの欧米主導の体制から抜け出て中共主導の体制に持っていきたいはずです。中共側の表現としては「ドル基軸体制からの脱却」が悲願なのだそうです。
この意味するところは、「ドル基軸体制だとズルが出来ないから」ということでしょうか・・・

そのための努力がアメリカに先行する5G開発であり、さらに6Gの通信も先行しようと研究開発に着手しているようです。デジタルマネーを中共主導で行いたいのでしょうね。

ただ、「中共主導の体制」には究極の選民思想である「中華思想」からは脱却できないでしょうから、そこに加盟する国家はほとんど無いと思います。
中共はこの中華思想から脱却しない限り、欧米の作る協定と対立する貿易協定を構築することは出来ないでしょう。

日米デジタル協定は、そういう意味で今後のサプライチェーンのひな型になり、それが発展していくにつれて国際問題のいくつかを解決する方向に向かわせる可能性があります。
例えばデジタルマネーは、麻薬などの取引の決済をやりにくくするでしょう。

そして商品の品質保証の在り方も変わるでしょう。メンテナンスの問題をどうするか、このような点も重要になります。
おそらく今後生産される商品は複雑になり、またシステマティックになっていくと思われますから、それに対応する体制が必要になります。

例えば自動運転の自動車は、自動車という商品だけでなくその制御をおこなうインフラストラクチャーが共通化していなければなりません。
完全な共通化の部分と、地域社会における個別な部分をどのように積み分けていくか、これが今後の技術開発の課題になると思います。

日米デジタル協定・・・まだ出来たばかりの協定ですが、未来の希望がここにあるのではないでしょうか。

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