2019年10月25日金曜日

デジタル人民元でドル離れ出来るか

フェースブックの暗号通貨「リブラ」が発行遅延となりそうなアメリカ下院証言が出て、民間発の世界通貨構想は急速にトーンダウンしました。
ザッカーバーグCEOは「アメリカの規制当局から承認を得られるまで世界のいかなる場所においてもリブラの発行に関与しない」と述べております。

そして民間に変わって、通貨発行主権を持つ国が暗号通貨の発行を模索しはじめています。ドルや円のデジタル化の研究はすでになされていますが、一番古くから研究を進めていたのが中華人民共和国です。なにしろ2014年から始めていたわけですから。

サトシ・ナカモトなる人物が、2009年1月に始めたのが暗号通貨」「ビットコイン」でした。ブロックチェーンという呼び方で、コンピューター内部に帳簿の連鎖を実現したわけです。
ナカモト氏が何者なのかはいまだに判っていませんが、京都大学数理解析研究所の望月新一教授、米ジョージワシントン大学のニック・サボ教授、オーストラリア人投資家のクレイグ・スティーブン・ライト氏の3名の内の誰かがその正体ではないかと噂されています。

ビットコインのレートが決まったのがその年の10月で、5千50BTCに対して5.02ドルでした。
しかしその後、この暗号通貨が国境を越えて資金移動するのに便利であることが判ると、レートが上がり始めます。そしてレートが上がり始めると投機筋が出てきます。

この国境を越えた資金移動で一番びっくりしたのが中華人民共和国でした。何しろ人民元が当局の監視をくぐって外国に出始めたわけですからね。
すぐに使用禁止令を出しましたが、そのための研究から暗号通貨の研究が始まったようです。

そしてこのビットコイン、レートが高くなってくると脆弱性が露呈してきます。麻薬取引や売春組織の決済、武器密売買の決済などに使われるようになり、裏資金がビットコイン経由でおもてに出てくるようになり、アメリカ当局が必死でこれを追い詰めていきました。

2014年2月、東京・渋谷にあったマウント。ゴックスというビットコインの取引所が、顧客分の75万BTC(当時のレートで約470億円)と、購入用の預り金約28億円が消失したとして事実上経営破綻となり、営業を停止する事件がありましたが、これが犯罪資金を追い詰めた結果であることはあまり知られていないようですね。

そしてこの頃から、中共もデジタル通貨の研究を開始したようです。
もっとも他の国々も研究が始まっています。ブロックチェーンの技術(安全性と正確性)はその後も上がり続け、また、ビットコイン同様の暗号通貨も相当数登場して、それなりの市場を作り始めました。

この中で、中共の暗号通貨に対する研究のモチーフは「ともかくドルの頸木から離れたい」という世界通貨を目指したものだったようです。
そして同じころからアメリカのディープステートがグローバル経済の通貨としてこの暗号通貨の有効性を認識し始めます。
この暗号通貨とその決済システムの核となるのが、次世代通信技術である「5G」だったわけです。そしてその研究中から、中共はその研究資料をアメリカなどから盗み出し、国内でアメリカよりも先に完成度を上げていきました。「ドル離れをしたい」という華人の意気込みの方がアメリカを抜いてしまったことが、今回の米中経済戦争の根本的な原因だと思います。

ディープステートはあくまでも影の存在、表に何を持ってくるか考えたのでしょう。中共の追い上げも振り切らなくてはなりません。
そこで中共の人口の倍近い27億人の利用者を抱えるフェイスブックに眼を付けたようです。そこからこの「リブラ」計画が始まったと考えられます。

しかしこの「リブラ」はG20で拒否され、そしてアメリカ下院で延期されてしまいました。今後はデジタル・ドルに移行していくかも知れません。ドルはもともと世界の基軸通貨ですし、現在も銀行間でデジタル決済が行われていて、いまやクレジットカードはデジタル決済以外の何物でもありません。

もともと「お金」とは、銀行からの貸付けで世の中に出ていきます。この一番大量に貸し付けられるのが主権国家の政府です。公共投資などで政府に貸し付けたお金がその経済圏の中で回り始めます。この貸付は企業の設備投資でも構わないわけで、個\個人の不動産購入などでも構いません。
個人の消費生活に貸し付けるのがクレジットカードで、これも市中通貨量を増やす役には立っているのです。(企業や個人は返済によって期限付きで戻ってしまいますから、一時的にしか市中通貨は増えません。政府ですと借り換えが可能(死にませんからね)です。ですから政府の借金が増えることは市中通貨(預金も含む)が増えているということで、何の問題も無いわけです。
これをむりやり問題視しているのは、財務省とマスコミと通貨発行システムを知らない国会議員だけです。

中共が「一帯一路」などと称して人民元を経済弱小国に貸し付け、そこのインフラを整備して行くのも、この人民元の発行を膨らまし、世界中にばら撒くことが目的でしょう。
それによって人民元の覇権を広げていく考えのようです。その返済をドルで求めているのは、ドルの発行残高を減らして、人民元の発行残高を増やし、こうしてやがてドル覇権から人民元覇権に乗り換えさせることを画策しているのかも知れませんね。

デジタル人民元を発行し、個人決済までも人民元で行えるようにすれば、やがてドルが衰退し世界は人民元を国際通貨にするかも知れません。

しかしここで二宮尊徳の理念を思い出しましょう。
「道徳なき経済は罪悪であり 経済なき道徳は寝言である」というものですが、中共の経済には道徳観がありません。また、自由世界でも人権問題や環境問題には経済を無視した道徳観からくるものが多い様に思います。

デジタル人民元と、その他の主権国家のデジタル通貨がどのような戦いを見せて来るのか、特にドルの覇権がどうなるのか、この二宮尊徳の言葉を思いながら、見ていきましょう・・・

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