2019年10月21日月曜日

反EU離脱派の茶番・・

10月19日に行われた英国のブレグジット裁決で、元保守党議員のオリバー・レトウィン下院議員が奇妙な修正案を提出し、すぐに裁決されました。

その修正案とは、「ジョンソン首相の協定案には賛成するが、しかしこれを承認するには、関連法案が成立した後でなければならない。『それまでは本離脱協定案は承認にはならない』と法案に追記しろ」という修正案(?)が可決したのです。

そのために「EU離脱のジョンソン案」が裁決見送りとなり、結果的にジョンソン首相は前に可決した法に従ってEUに対して「離脱延期」の申し込みをしなければならなくなった訳です。

仕方なくジョンソン首相は「英国のEU離脱の延期をEU議会で検討するよう要請する」という書簡をEU議長あてに送ったのですが、ここでジョンソン首相はこの書簡には署名せず、別の書簡も書きました。
それには「先の書簡は私の要請ではなく議会の要請だ。ジョンソン政権は離脱の延期は望んでいない。合意無しでも離脱する」と書き、そこに首相としての署名をしたのです。

そしてさらにジョンソン首相はEUの議長などに電話を掛けて、離脱延期はしないでくれと頼みました。
書簡を受け取ったEU側はそれを議会に掛けることになりますが、おそらく延期は拒否されるでしょう。拒否されれば、あとは英国議会は合意するか、それともしないか・・だけで離脱は確定したことになります。

現在保守党は少数派で、労働党が議会で多数を握っております。その労働党の大半がこのレトゥイン議員の提案に賛成し、また北アイルランドの民主統一党(DUP)も賛成したと言うことです。

ここで、保守党のメイ元首相が立ち上がって演説をし始めました。「国民投票でEU離脱は決まった。この議会でそれを否定することは国民に対し詐欺を働くことになる。それは英国議会が始まって以来の醜聞だ」という迫力ある演説で、ジョンソン首相の協定案を擁護するものでした。それを保守党側の議員が拍手によって迎えたのです。

EU側に送られた書簡ですが、この書き方ではEU側は延長を認めないでしょう。そうなれば「合意なき離脱」となります。それを避けるためのジョンソン首相の協定書であり、しかもそれはEU側も承認したものです。

ジョンソン首相は来週中にもう一度裁決を行い、その時に「関連法案」の提出も行うとのことですが、はたしてどうなるでしょうか。

こんどは関連法案に文句を付けて来ることは必至ではないでしょうか。
英国議会が多数野党でもめ続ければ、おそらくEU側の離脱延期拒否によって「合意なき離脱」が始まります。

さて、19日のこの茶番劇の中で一つ判ったことは、野党労働党の中にも離脱賛成をせざるを得ない議員が居るということでした。
例えばキャロライン・フリント議員は、その戦局に「EU離脱支持」の有権者が多数いると言うことです。
そしてこのような労働党の議員がある一定数いるようだということが見えてきたからです。

考えてみれば「EU」に加盟してから苦しんできたのは英国の労働者達です。国民投票をやったキャメロン首相はこのような労働者達に気付きませんでした。だから投票結果が思惑と外れてしまったのです。

今回はジョンソン首相がそれを良く見ているようです。

短期間に作られる「関連法案」がどのようなものかは判りません。しかしそれは英国の国内法ですから、離脱後に決めても良いはずのもの。
離脱して見ないと、どのような問題が生じるかは判らないはずですからね。

来週は、EU議会が英国の離脱延期をどうするかの裁決が行われます。また、ジョンソン政権は協定案とその関連法案の採決を行います。
労働党から「協定案に賛成する」議員がどのくらい出るか、またEU側は延期を拒否するかどうか、そしてそれがファイブ・アイズにどのような影響をもたらすか・・・

これが同時に香港問題に影響を与え、また台湾と中共の問題に影響を与え、アメリカとのFTA締結が出来るかどうかが決まってきます。
日永ともFTAが結べるようになってきます。これで英国の復権が始まれば中共包囲網は頑強になってくるでしょう。

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