2019年10月17日木曜日

台風の爪痕

台風15号と19号が、我が国に大変な爪痕を残していきました。
そしてその爪痕こそ、平和ボケした日本国民に対する天の啓示のような感覚もありました。

15号では千葉県が長期にわたる停電で、電気復旧の工事と倒木の撤去工事が行政の違いによってバラバラで、ゆえに普及が遅れたことも判りました。

19号では、東京の世田谷区という高級住宅地域が多摩川の反乱によって床上浸水まで行ってしまいました。被害は世田谷区だけではありませんが、いずれもおかしな台風対策が、今問題視され始めています。

台風が吹き荒れている中、スマホがけたたましくなり、避難勧告などが表示されましたが、表は吹き荒れる台風でとても出ていけません。
そんな中で、「防災世田谷」のアナウンスが「命を守る行動を取ってください」とがなり立てていました。

「命を守る行動」がどんなものか、現在の世田谷区民に判ろうはずがありません。それは訓練によって得られるものだからです。
どういうときはどのように行動するか、それはその場所場所で異なります。また災害の状況によっても異なります。自分の命と他人の命との極限の判断を強いられる状況もあるでしょう。
誰しもが「命を守る行動」はとろうとします。しかし訓練がなされていなければ、そんなに急に正確に出来るものではありません。

堤防の決壊で住宅地に水が押し寄せ、マンションなどでは地下に設置された受電設備がやられて停電になったようです。
受電設備を地下に設置すれば、水害に弱いことは衆知の事実です。ではなぜ地下に設置するのでしょうか・・・
マンション業者は上階が商品であって、そこを潰して受電設備を入れると、コスト高になってしまいます。地下室はあまり商品価値がないですから、そこに設置してしまう訳です。

これは法律で規制するしかありません。法規制を掛ければマンション業者は従うでしょう。どの業者も従えば価格に反映させても競争に負けることはありませんから。
しかし法規制が無ければ、すこしでも競争を有利にするために、地下室の受電を続けると思います。

行政側はこのような規制は出来るだけ作りたくはないでしょう。原則は自由市場に任せると言うのが自由主義ですからね。
となれば、購入者がきちんとこの問題を把握し、高にゅじや契約時にそのチェックを入れることが必要な訳です。

しかし今の日本国民は安全とか危機対策といった感性が劣化しています。70年間も平和国家などというサヨクのフェイクに騙されて育っていますし、テレビドラマに出てくるような住環境をイメージして求めるわけです。
安全よりも「見てくれ」と「駅に近いかどうか」、「コンビニの位置」などが購入の要素になっているようです。
住宅の条件である「安全な生活」が当たり前のようになり、生活の利便性や合理性が先に来ています。

このような状況に鉄槌を下したのが、今回の台風だったのではないか・・とも思えるのです。

前にも書きましたが、安全保障の合理性と経済的合理性は背反することがほとんどです。経済的合理性はだいたいは安全を犠牲にします。

地球の温暖化は恐らく炭酸ガスではなくてミクロの塵が原因だと思いますが、その温暖化によって海面温度が上昇し、ゆえに台風などが狂暴化しれくるのではないでしょうか。
日本の河川の堤防の高さはすでに過去となったデーターに基づいています。新しいデーターでは恐らく堤防決壊の予測が立っていると思われます。

天皇陛下の講演録(皇太子時代のもの)である「水運史から世界の水へ」を見ますと、「もはや堤防での洪水の発生を堤防で防ぐことは出来ないだろう」と言うことです。
陛下は「結局は住宅などの在り方の発想を変え、『洪水は生じるもの』という見地から建物や道路の設計を変えていく必要があるのではないか」というお考えを述べておられます。

今上陛下は「水」の専門研究をされていて、その幅はかなり広いようです。

今回は江戸川区が八ッ場ダムのおかげで助かりました。ダムは出来たばかりで空っぽですからあの飴の濁流を呑み込み、無事だったわけです。
しかし来年もまた狂暴な台風がやってくるでしょう。荒川が決壊すれば江戸川区は全滅で、その影響は中央区まで及ぶと言うことです。

何らかの手を打たねばなりませんが、財務省がプライマリバランスを死守している限り何も出来ないことは明らかです。
江戸川区住民には「江戸川区がら退去しろ」という警告が江戸川区から出されたようですが、財務省が現在のバカバカしい政策を変えない限り、退避勧告しか出せない区政なのです。
江東区や墨田区も退去勧告をだす必要があるように思います。

基本的に江戸・東京は河口の湿地帯に出来た都市ですから水害には弱い土地です。江戸時代は堤防工事で忙しく、明治以降も水害は頻繁に起きていました。
堤防工事は日常的に行われ、川土手の上に遊歩道などを作るなど、対策を立ててきたわけです。
しかしもうこの時使われた降水量のデーターが現在は変わってしまったのです。

この危険を知らせた、まるで来年の予告編のような台風15号と19号でした。

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