2017年3月9日木曜日

サルマン国王の訪日

3月12日から4日間、サウジアラビアのサルマン国王が来日されます。46年ぶりの日本訪問となりますが、日本は石油の役3割をサウジアラビアから輸入していますから、お得意さんでもあるわけです。

サウジアラビアは、アメリカから排除されてしまいました。つまりアメリカが自前で石油が産出できるようになったからです。
オイルシェールなどから石油、ガスを取り出す技術が完成し、もはやアメリカはサウジアラビアから石油を輸入しなくても済むようになったのです。

英国はオイルサンドから石油を取り出しておりますし、日本は現在、メタンハイドレートの採掘技術を研究中です。

また、自動車がハイブリッド化、あるいはEV化してきたり、こんどの東京五輪ではバスが水素ガスの燃料電池で走る電動車になることで、石油離れが進んできています。
全く不要にはならないまでも、今後の石油の需要は減少方向に向かうことは間違いないでしょう。

石油資本に依存してきたサウジアラビアは、この問題に早くから気付いておりました。しかし未だに石油からの脱却は出来ておりません。
今回のサルマン国王の訪日は、何とかサウジの石油依存体質からの脱却に手を貸してくれというものではないでしょうか。

今回の日本訪問には約1500人を引き連れてやってくるのだそうです。高級ホテル1200室を予約したり、国王専用のエスカレーター付のタラップを持ち込んだり、日本国内移動のために400台以上のハイヤーやバスを借り切ったり、飛行機40機を使ってやってきたりと、その豪華さ(?)には受け入れる日本側もビックリのようです。

サルマン国王はまずインドネシアに行きました。それから来日し、そのあと中共に赴き習主席と会談するそうです。
日本と中共を競わせて、自国の利益を最大化したいという思惑のようですが、そもそもこのような大訪問団を組織してくること自体が、脱石油依存の国内改革を進められる体質ではないように思います。

脱石油依存の国内改革を担当しているのがムハンマド副皇太子だそうですが、「このような体質を維持可能にしているのがアメリカだ!」と反抗したのが、あのオサマビンラディン氏ではなかったでしょうか。

王族の権限で石油マネーを独占し、そのお金が資本として生きていないことは、このような王族の派手な行動によっても明らかです。
サルマン国王は、技術があれば脱石油依存の体質から抜けられると思っているのでしょうか。もしそうなら習近平主席は喜ぶでしょう。なぜなら大いにパクれるからです。

我が国はたとえ嫌われてもハッキリと「資本を活かす様にしなければだめだ」と言うべきです。資本を活かして雇用を実現し、雇用のための企業は国内の消費者に売る為の製品作りをするように持っていかないと、国内経済が活性化しません。
王様から分け与えられるお金ではなく、仕事(生産)で得られるお金で買い物をさせ、その資本循環を大きくすることで次第に社会が近代化されて行くのです。

また集団で生産することは、時間の厳守とか工程間のやりとりなどで責任の明確化が必要になります。このような近代化の基礎が出来るかどうか、イスラム・スンニ派の教義とのすり合わせが出来るのかを問うことから始めなければならないでしょう。

さらに、これがうまく行ってサウジアラビアが近代化すれば、相対的に王の権力は矮小化していくでしょう。その覚悟がサルマン国王にあるかどうかも問われます。
もと王政で、近代国家になるのは革命を通すことが多く、日本でも明治維新で徳川が政権を譲りました。天皇という権力無き権威があったおかげで日本は「国体」を変えることなく近代化できたわけです。
サウジアラビアはそのような状況にはないでしょう。国王がいつまでも権力を握っていては、資本がその機能を発揮できず、近代化は無理です。

サルマン国王は習近平主席からどう言われるでしょうか。王様が共産主義国家で話し合いなど出来るのでしょうか。「お金はある。技術をくれ」で、中共は近代的工場を作るかも知れません。
しかしいくらそんなことをやっても、国力にはなりません。ただ中共の支配下に置かれて国王という椅子だけは残るかも知れませんけど、制度的には乗っ取られるのが落ちでしょうね。

サウジアラビアの近代化のネックになっているのが、国王であることに気付かない国王が、石油マネーを持って近代化の手伝いを他国に要請しても、それは不可能というものです。

この現実を、いったい誰がサルマン国王に告げるのでしょうか・・・

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