2016年11月23日水曜日

強硬姿勢のロシア、日露会談

安倍首相とプーチン大統領のペルーでの会談は、プーチン首相の強硬な発言で終わったようです。
「(北方四島は)国際的な文書によりロシアの主権があると承認された領土だ」と明言し、歯舞、色丹2島引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言についても、「どのような根拠で、誰の主権の下に置かれ、どのような条件で返還するかは書かれていない」と発言しました。

どうやら12月に予定される訪日を前に、自身の考えを改めて明示することで領土交渉の早期進展に期待を強める日本側を強く牽制したようです。

プーチン大統領は今までもこのような発言を繰り返していて、安倍首相とプーチン大統領の個人的な付き合いで甘く考えている日本側にくぎを刺したとも取れますね。

このプーチン大統領の発言とタイミングを合わせるように、ロシアが実効支配する北方領土の国後島と択捉島に地対艦ミサイルが配備されたとインタファクス通信が伝えています。

配備されたミサイルは、国後島に「バル」、択捉島には「バスチオン」です。この配備がどういう意味を持つのかは判りません。領土誇示が目的なのか、それとも中共の軍拡に対抗するためなのか。

しかしいずれにせよ北方領土が簡単には返還されないことを意味しているようです。そこでまた「経済協力だけをロシアに先食いされるのか」という議論が日本国内で起きそうですが、今回はもはや後戻りは出来ないでしょう。
ロシアがこのままですと、中共の脅威はますます強くなってきます。そこを知っていて。ロシアの交渉があるわけですね。

ミサイルの打ち合いによる戦争がすでに時代遅れになりつつあることは確かですが、ナショナリズムにはまだミサイルが有効です。
戦争目的が国家の安全保障にあり、それを守る毅然とした武器に見えるからです。しかし現実の戦争はすでに情報戦になっていますし、「ヒューミント」に対して「シギント」の方が優勢にある昨今です。

我が国は安倍首相自らが「ヒューミント」的に活躍していますが、烏合の衆の外務省ではまったく劣性に立たされています。安倍首相は官邸に「情報部」のようなものを作って頑張っております。
しかしこれでは国家としての安全保障には難があることは確かですね。首相が変われば元の木阿弥になるからです。情報戦は何と言っても継続がなければ断片情報しか判りませんからね。

プーチン大統領は「北方領土を金で解決することは無い」と明言しておりました。ですから日本のロシアに対する経済技術支援とは切り離して考えることは安倍首相も覚悟しているはずです。

プーチン大統領の発言には1956年の共同宣言に触れ、そこには「根拠。主権、条件などは書かれていない」と述べております。つまり「平和条約締結後にはこのような交渉が行われるだけ」という意味にも取れます。

さらに「未だに日露間で平和条約が結ばれていない状態は『時代錯誤』であり、両国関係の発展を阻害している」として「平和条約(締結)への道は簡単でもない」とも述べております。
中共を意識した発言なのか、それともアメリカを意識した発言なのか、ロシアの「シロヴィキ(タカ派)」を意識した発言か・・・
ともかくプーチン大統領と言えども、このような複雑な状況にあると言うわけですね。

軍備を持たない日本に対し、ロシアが領土問題を話し合う必要は無いと言うことかも知れませんね。プーチン大統領は「強いロシア」を標榜しているわけですから、交渉相手も「強い日本」でなければならないわけです。
トランプ大統領も今後「強い日本」を要求してくることでしょう。70年以上前の「押し付け憲法」を、苦役回避の道具に使ってきた日本の平和論はとうの昔にばれております。

日本の平和主義者がいかに暴力的であるかは、最近の沖縄のヘリパッド反対活動家を見れば解りますね。国家の責任において暴力を抑えることも、交渉力と情報収集能力に加えてやはり軍事力が必要になるわけです。
巨大な暴力が起きる前に最小限の軍事力で抑える必要もありますからね。特に国際法違反の国家意思などに対しては・・・

北方領土に関して、プーチンとシロヴィキの言いたいことは、「もし返還したら、後のロシアの安全保障はどうしてくれるのか」と言うことではないでしょうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿