2016年8月28日日曜日

新日中戦争、尖閣の攻防

石平氏が、中共・習政権の意識に「昔の中華帝国のように力ずくで周辺国をねじ伏せ、中共の一方的なルールに従わせて自らが覇主となる」というものがあり、それが今の中共政府と多くの中国人エリートの本音と野望であると言う記事を書いております。

昔の華夷秩序での中華帝国(現在では中華人民共和国)を「親」として、「宗主国」を自任し、周辺国や民族を単なる「教化されてない蒙童(もうどう)」とする覇道主義的中華思想の亡霊が目の前に蘇(よみがえ)ってきていると言うのです。

それを証明するのが韓国に対する彼等の反応です。
韓国政府が米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を韓国国内に配備するという発表に対して、中共の安全にとってTHAADが「脅威」だと言い張る中共政府の言い分を例にとっています。
国防大学戦略研究所元所長の楊毅教授が「中共の意向に反して配置を決めた韓国に対し『徹底的な懲罰』を加えるべきだ」と主張し、「徹底的に韓国を懲らしめることによって、今後のための1つのルールを確立することができる。(韓国だけでなく)周辺国に分からせよう。中共と付き合うのにはルールがある。(それに従わず)わがままな行動を取った場合、お尻をたたかれなければならないのだ」などと述べたと言うのです。

このルールとは、それを確立するのは中共の方であって韓国やその他の周辺国ではないのです。韓国や周辺国との話し合いによって「ルール」を作るのではなく、「懲らしめる」という中共側の一方的な強制力をもって、それを確立すべきだとの主張なのです。
つまり中共は一方的にルールを作って周辺国に強制すべきだと堂々と主張していて、国家間平等の観念や「皆で共通のルールを作ろう」という国際社会の常識はかけらもなく、中共こそがアジアと世界の絶対的な「立法者」であり、独尊無二の「覇主」であるという、あまりにもゆがんだ自国意識だという石平氏の話です。

おそらく元軍人であった楊毅教授にとって、ここまで軍事的膨張を示しても国際社会は何も手を出さないこと、特にアメリカ・オバマ政権がまったく引いてしまったことなどを過信して、中共の軍事力で中共は絶対的「立法者」であることが認められたという発想ではないでしょうか。

そして日本に対しては、尖閣での法執行規定・刑事罰明文化をしてきています。つまり自国領海と主張する尖閣諸島周辺での公船の活動を活発化させ、そこで活動する日本の漁船を「摘発」して中共の国内で裁こうとする動きです。
これを中共側は「キャベツ戦略」と呼んでいるようですね。

表向きには資源の違法採取を厳重に刑事処分することを強調し「ひそかに国境を越えて中国領海に違法侵入」し「域外への退去を拒む」場合などに厳罰を科すそうです。「管轄海域」については、「内水、領海、接続水域、EEZ、大陸棚」などとしているそうです。

今年3月の全人代で、尖閣諸島近海での「司法管轄権」の明確化を主張し、「海事司法センター」創設を宣言してきた中共。尖閣を含む日本領海内での法執行を正当化する国内根拠を積み重ねてきたわけです。
日本の海保の船などは拿捕出来るのでしょうか?
日本の漁船が拿捕されて中共の方で裁かれ刑執行が行われても、現行の日本憲法ではどうしようもないわけですね。そして何も出来ないことで日本がそこを中共の領土領海であることを認めたことに自動的になってしまうと言う訳です。

つまり「戦争以外に対抗する手段は無い」と言うのが中共側の判断で、アメリカさえ封じ込んでおけば日本は口先介入だけで本土(沖縄と九州)防衛にも実力行使はしないという読みがあるのでしょう。(アメリカは沖縄から撤退中ですからね)
どの国も戦争と言う手段には打って出ないことを知っていて、しかも欧州(ドイツ)から新兵器は買い放題であることも計算し、このようなキャベツ戦略が始まった訳です。

妥協に妥協を重ね、事なかれ主義で中共に対応してきた日本政府。それはあのとき、ナチス政権に「妥協と事なかれ」を示し続けたチェンバレン政権を彷彿とさせます。
そして日本国民の戦争を嫌悪する風潮が、この現実を見つめようとさせないのですね。日本のマスコミはこのような視聴者のご希望に合わせて、放送局が人民解放軍によって戦車で取り囲まれるまで「事なかれ放送」を続けるのでしょうか。
心配する日本の国民の進言に対して、我が国政治家は「お前は戦争をしろと言うのか!」と中共のような恫喝を行います。

中共がここまでエスカレートしてきたのは、6月9日の中共の軍艦が尖閣諸島周辺の接続水域に入ったことで、中共の大使を夜中に呼び出して「海上警備行動を発令するぞ」と脅したことが原因のようです。
この時はそれで引き下がった中共ですが、その後の数多くの接続水域侵犯を行っても安倍首相が自衛隊に対して海上警備行動を発動しなかったことで、「なんだ口先だけか」と足元を見られているわけですね。

まあ日本国民がどこまで「見ないことにしよう」という漫画チックな態度で居られるかどうかは判りませんが、安倍内閣も「憲法改正・国会議員3分の2」まで持っていったのですが、国民が「お花畑」では国民投票で蹴られてしまいますから、黙っているしかないようです。(まともな議論をすれば、「煽っている」と言われるでしょうからね)
海上警備行動発令がなされなかったことも、このような思いがあったのではないでしょうか。

政府は「何とか話し合いで・・」というスタンスを取っています。安倍首相は戦略的に各国(今後は特にロシア)との絆を強めようとしておりますが、岸田外務大臣や二階幹事長など、北京との話し合いの場を作ることで必死です。
これは中共側から見れば、「日本には戦う意思はまったく無い」と言うように映りますから、「騙してさらに・・」というスタンスを取るだけでしょう。

尖閣問題も、拉致被害者奪還も、日米同盟も、世界の平和と安全保障も、すべてがだんだん日本国民の「気付き」を待つ状況になっているような、そんな中共の動きがはっきりしてきましたね。
これは「24時間テレビ」で言う「愛は地球を救う」などという番組や、その裏番組のNHKの「笑いは地球を救う」などという番組の「お花畑イデオロギー」では解決し得ない、暴力対暴力が求められている現実があると言うことなのですが・・・

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