2016年2月4日木曜日

アメリカは本当に日本を守るか?

アメリカ大統領選挙が今年11月に行われます。
そして各党の候補者を決める予備選挙が、これから各地で行われるわけです。その始めに、2月1日に行われたアイオワ州党員集会(州内約1700カ所の会場で実施)で、民主党はクリントン前国務長官(68歳)が、そして共和党はクルーズ上院議員(45歳)が勝利しました。

盛んに人気を挙げていたドナルド・トランプ氏(69歳)は勝利をテッド・クルーズ氏に渡してしまい2位、そしてトランプ氏に肉薄してきたのが3位のヒスパニック系・マルコ・ルビオ上院議員(44歳)でした。

ヒスパニックとは、ローマ帝国時代のバルカン半島のイスパニア(ヒスパニアとも発音する)に居た人を意味する言葉で、アメリカ移民として「スペイン語を話す人達」を指します。
ルビオ氏はメキシコからフロリダ州への移民の息子で、かなりのリアリストで、タカ派でネオコンとのつながりもあると噂されているようです。
オバマ大統領がアフリカ系であったことから、このヒスパニック系のルビオ氏を「共和党のオバマ」と表現することもあるとか。

共和党で1位のテッド・クルーズ氏も父親はカナダのキューバ移民で、父親の転勤で1974年にテキサスに移住した家族の息子ですから、ヒスパニック系と言えなくもありません。
クルーズ氏もルビオ氏も、小さな政府と新自由主義を支持しており、銃規制に反対するなど、よく似ております。

ただ、ルビオ氏は東シナ海、南シナ海における中共の行為を強く非難し、尖閣諸島の日本の領有権も明確に認めております。
そして上院外交委員会東アジア太平洋小委員会の筆頭委員であるルビオ氏なのです。
ですから日本にとってはありがたい候補者であることは間違いなさそうです。

共和党のブッシュ大統領がイラクに攻撃を仕掛けてもう10年になります。イラク戦争の戦費はグリーンスパンFRB議長の錬金術で賄われたわけですが、それがサブプライム破綻でバブル経済だったことが判り、日本の二の舞にならぬようにドルの大量発行が行われて、それが途上国にバブル景気を起こし、その後変わったオバマ大統領は「もうアメリカは世界の警察官を止める」と余計な宣言をしてしまったことから、バブルに踊る中共が「中華思想実現」を掲げて東シナ海、南シナ海に出てきたわけです。

まるで警察官が居なくなると出て来る暴力団のように、中共は国際法を無視して侵略とばら撒き経済を始め、国際秩序を乱し始めます。
そして、「西欧の作った国際法は守らない。国際法は我々が作る」と宣言して、自由・民主主義諸国に敵対し始めるわけです。

金利生活者が多く居る欧州は、この中共の恫喝に畏縮したのか、先ず人民元の国際通貨化を容認します。そしてAIIBという中共主導の国際金融システムに参加を表明し、何とか金利生活を維持しようと中共に尾を振ります。

アメリカはやっと中共の本音を知ったのか、脅威が中共にあることを認識し始めました。しかしまだ中東のイスラム過激派や、ロシア問題が解決したわけではありません。
オバマ大統領は、この8年間に自分が起こしてしまった混乱や無法な中共の跋扈など、どのように思っているのでしょうか。

アメリカで、長い間政府の対中政策にかかわってきた「マイケル・ピルズベリー博士」の近著、「China 2049」という本の中で、中共は1949年から「100年マラソン」という長期計画を持って我々を欺いてきたと述べております。

この「100年マラソン」戦略を実施する戦争が「超限戦争」で、その主旨は「戦闘行動以外のあらゆる戦術を駆使して、中共の世界覇権を実現する」というものだそうです。
それは、欠落している技術は先進国を騙して盗み、欠落している経済は先進国を騙して投資させ、彼らが気が付いた時には中共の世界覇権(中共の法律に世界を従わせること)を確立する・・と言うものです。

「やがて中共は民主化する」などと西側に思わせ続け、資金や技術を中共に供給させ続けた戦略を目の当たりに見ていたピルズベリー博士が、それらがすべて「虚偽という戦術」であったことを明確に示すこの著作は、「すでに中共はアメリカに迫り追い抜く勢いを持ち、2049年には世界は中共の覇権が確立している」ことを予言しました。

しかし本当にそうなるでしょうか?
中共の世界覇権はアメリカの衰退と消滅を意味します。それをアメリカは黙って見ているのでしょうか。西欧の作ったという国際法は、長時間かけた世界の国々の条約や協定をもとに構成されていますし、いまだに未完成です。
発祥が西欧であっても、その理念は崇高なものであることに間違いはありません。

かつて東京裁判でパール判事が怒り「日本無罪論」を書いたのも、この裁判が「決して国際法に準拠するものではなく、むしろ国際法成立に努力してきた我々の実績を台無しにするもの」だったからです。
世界の人々はこのパール判事の「怒りの本質」を見失わないようにする必要があるでしょう。

中共が描く国際秩序とは、サナトスが支配する「死の平和」です。現在のチベットやウイグルを見ていれば解るはずです。(サナトスが支配する暗黒時代を、欧州は知っているはずですね)
しかし「自由・民主主義」が描く秩序は、リビドーが闊達に躍動する「生の平和」なのです。矛盾する要素を取り込みながら、それでも人間としての秩序を維持するには、宗教的感動を維持するしかないはずです。

アメリカはそのことを知っているはずです。過激な性差別反対活動も、行き過ぎた経済活動も、すべてはリビドーのなせるものです。
それを擁護することがアメリカ建国の精神だと考えます。そしてそこに国益がある以上、アメリカは中共と対峙せざるを得ないはずです。

「この戦いはアメリカ史上最悪で、過酷な戦いとなるだろう」というピルズベリー博士の予言には重みがあります。
それゆえに「アメリカは国益を掛けて日本を守らねばならない」こととなり、しかもそれには日本も戦わなければならない宿命を背負っているわけです。

日本が戦いを拒否すれば、アメリカも戦闘を始めることは出来ません。しかしそれは、中共の戦術に麻痺させられことを意味し、アメリカ滅亡への道となってしまうでしょう。

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