2015年7月30日木曜日

上海株再び下落8.48%、不安定化

7月27日・月曜日に上海で再び株価が大幅に下がりました。習政権はさらなる株価下支え策の検討を迫られそうですね。その後政府の買支えなどで、異常な乱高下を繰り返して居るようですが・・・

それにしても、前回の下支え策でも上手く行かないとなると、次にはどのような手段があるのでしょうか。
前回の下支え策は、株式投資の常識を逸したものでした。

1.中共大手証券会社21社に上場投資信託約2・4兆円分を購入させた。
2.その株を上海総合指数が4500に戻るまで売却を禁止した。
3.市場関係情報を統制した。
4.悪意ある空売りを犯罪と見做し懲罰を設けた。
5.新規株式公開の承認を凍結した。
6.大量保有株主による株式売買の半年間停止を命令した

ここまでやって、そしてこの月曜日に8.48%も下落(全面安)してしまいました。市場関係者は、これらの株価下支え策の縮小に動くのではないかとの観測が出てきたようです。
つまり、習政権がとったこれらの政策に市場が反抗したと見たのでしょう。

東京株式市場も、この週明けの27日は大幅続落となりました。序盤は2万0400円付近で値動きしていましたが、上海の情報が入ったのでしょうか、その後下げ幅が一時200円を超えたりして、終わりは2万0300円台前半まで下がってしまいましたね。
まあ、東京は落ち着きが戻ればまた復活するでしょうが、中共の方は何が起きるか判りません。

元米財務長官で、知中派として知られるヘンリー・ポールソン氏も、6月以降に中共株が演じた急落劇に代表される最近の中共経済混乱には不安を隠せません。
中共政府の危機対策。不良債権には処理先送りの受け皿、株価急落に対しては買い上げを用意したことについて、「(低採算の事業を)破綻させないで救済するばかりで、(資本市場の)改革が遅れてしまう」と危機感を募らせております。

米大手ヘッジファンドを率いるビル・アックマン氏は、「中共はギリシャよりもはるかに脅威である」とはっきり述べております。

米大手銀バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによりますと、「欧米のマスコミはギリシャの財政危機一色だが、ギリシャ経済はユーロ圏経済の約2%にすぎない。一方の中共経済は、世界の国内総生産(GDP)の16%程度だ。加えてGDP成長率に対する貢献度は3分の1もある。」と言う事です。

中共の経済危機に対して楽観的な意見もあります。
人民元は国際通貨でないし、金融市場も閉鎖的なので、中共発の経済混乱が世界的な金融機関の連鎖破綻の引き金を引く事はないだろう・・とする意見です。
しかし、「株価や住宅価格の下落→中共内での逆資産効果→中共企業の海外投資や国際企業の中共向け販売の減少」といった長期的視野にたった「負の連鎖」の懸念があることも確かです。

「中共株急落の本質は実体経済の後退」とはっきり指摘するのは、カンファレンス・ボードのバート・バンアーク氏です。
「名目GDPが縮小して設備・住宅投資が過剰となっているうえ、金利低下で与信が増えるといった金融システムが機能していない」とのことです。

中共の株相場が急伸したのは、本土と香港の株式相互取引制度や新たなシルクロード経済圏を作る「一帯一路」構想などで海外資金を呼び込んだことが発端でした。
新規に証券口座を開設した中共の個人投資家は、その大半が高等教育を受けておらず、投資に無知だったとアメリカの経済メディアなどが指摘しているようです。

政府が仕掛けて、無知な個人投資家に株を買わせ、株価をさらに釣り上げたわけですから、この個人投資家が騙されたという感覚で売りに回ってもおかしくありません。
習政権がかけた規制は大口投資家が対象ですから、このような個人投資家が売りに回れば暴落を抑えきれないかも知れませんね。

気になるのが、この株価暴落で暴動が起こり、共産党が潰れるのではないかと言う事ですが、これに対してキヤノングローバル戦略研究所の宮家邦彦研究員は、「独裁政権が一時的な経済的繁栄で民主化することはない。同様に、一時的な経済的困窮によって崩壊することもない。やはり、中国共産党の統治は当面続くと見るべきだろう。」と述べております。

その理由について、宮家氏は次のように述べております。
「中共指導部の行動指針は、軍事・政治・歴史を含め総合的に分析すべきです。中共が漂流しているその原点は、1840年のアヘン戦争から続くものであり、この不名誉を克服しようとする中国人の絶望的努力が作ってきた歴史が現代中国史なのです。
1851年の太平天国の乱、1861年の洋務運動、日清戦争敗北後の変法運動、1900年の義和団事件、1911年の辛亥革命と続く華人の歴史は、それを以てしてもあの屈辱感が克服されないという歴史です。」
と述べ、さらに続けて・・・

「これらの『下から』の民衆蜂起と『上から』の改革運動には一定のパターンがあります。それは権力側の中華至上主義と、民衆側の対政府不信・財富への妄信に近いこだわりです。権力エリート層は既得権確保に耽溺し、民衆側も政府・権力者を全く信頼せず、自己防衛のため近親者と財富のみに邁進します。」
ということです。

トウ小平氏が民衆の財富へのこだわりを巧みに利用し、資本主義を導入するように見せかけて、「華人の野望を達成しようとしたのが「韜光養晦(とうこうようかい)」政策だそうです。

そして宮家氏は、「当局の異常ともいえる市場介入は短期的に奏功するでしょう。もちろん世界はこの禁じ手を決して認めない。だから人民元がSDRにはいることはないでしょうが、中共権力者の関心はあくまで目先の面子(めんつ)と短期的安定であり、そのためなら如何なる強権発動も辞さないのです。」として、「中国共産党は一時的な経済的繁栄で民主化することがなかったように、一時的な経済的困窮によって崩壊することもないでしょう」と結んでいます。

本当でしょうか・・・

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