2015年7月10日金曜日

台湾総統選挙・2016の行方

支持率が低迷する台湾の馬総統です。中共が日の出の勢いで経済大国にのし上がってきた8年ほど前、親中派の総統として着任して以来、2期目を迎えてその任期もあと半年。
中共は胡錦濤主席から習近平主席に代わり、その経済も陰りを見せ始め、最近では株価下落に歯止めが利かなくなり、多くの株式がストップ安になっています。
それと同期するように、馬総統に支持率が下がり、国民党は危機をk迎えております。

来年2016年の1月16日に総統選挙が行われることも決まり、民主進歩党(民進党)からは才女「蔡英文主席(58歳・クリスチャン)」が立候補することも決まりました。

しかし国民党は、昨年の統一地方選挙で大敗を喫してからなかなか総統選挙の候補者が決まりませんでした。
馬主席が地方選挙大敗の責任を取って党主席を降り、変わって朱立倫(新北市長,54歳)になりましたが、この朱立倫氏が総統選挙には出馬しないと表明したことから混迷を続けていたわけです。

この国民党候補に名乗りを上げたのが「洪秀柱」女史(67歳)だそうです。
洪氏は,知名度は相対的に低く,党内に自分を支持するグループもなく,そもそも選挙を戦えるのか疑問視され,「途中で降りるに違いない」と嘲笑さえされていた人物です。
しかし洪氏は、党内のベテラン政治家が火中の栗を拾おうとしないことを批判し,自分への支持を懸命に訴えるキャンペーンを1人で始めたのです。

当初支持率が低迷していた洪氏でしたが、めげずに闘う姿勢が共感を呼び,また,朱立倫氏への失望の裏返しで洪氏が深藍の支持者を徐々に引きつけるようになりました。洪は当初党内で孤立無援の状態でありましたが、新党系のグループが支援に動き出し、6月に入って洪の支持率は大きく動き始めます。

戦闘性が強い洪氏の性格から、中身がないと言われる蔡英文氏と意外に戦えるのではないかという期待も生まれ、洪氏が国民党を代表して出馬することへの党内支持率が50.7%となって、立候補が確定されたわけです。

台湾研究フォーラム会長の永山英樹氏によりますと、日本国民は国民党の「現状維持」政策が平和と安定をもたらし、民進党の「台湾独立志向」がそれを脅かすとの印象を持たれている方が多いようですが、実際は少々違うと言うことです。

確かに民進党は党の綱領に「台湾独立」という目標を掲げております。しかしそれを現在は凍結中にしています。
台湾独立を目指すと言うと、現在はどこかの属国であるような印象を与えてしまうためです。
台湾は現在も独立し、主権を持った国家なのです。ただ、国連加盟国が中共を承認し、その中共が台湾は中共の一部と言っているに過ぎません。台湾企業が中共とのつながりを深めようと、経済関係がいくら緻密になろうと、「台湾は国家主権を持った台湾である」という立場が民進党と言うことなのです。
ですからこの総統選に対しても、民進党は「現状維持」を主張しております。

一方、国民党候補の「洪秀柱氏」は、「一中同表」を唱えているそうです。これは民進党の「現状維持」に対して「現状変更」を訴えているわけです。
一国二制度ではなく、同一制度(つまり共産化)しようという政策で、「両岸和平協定」の締結が含まれるとか。

昨年の統一地方選で、馬総統は「一中各表」を掲げて敗退しました。「一中同表」と言うのは北京政府と同じ考えです。これで洪秀柱氏はどのような説得で台湾国民の支持を取り付けるつもりでしょうか。

永山氏は、台湾には、台湾ナショナリズムと中華民国ナショナリズムがあって、中華民国ナショナリズムが次第に小さくなっていると分析します。
前回の総統選挙は2012年でした。その時はまだ胡錦濤主席の時代です。習近平主席になってから中共の経済は崩壊に向かい始めています。

上海株は急落し、社会主義国特有の国家コントロールは効かなくなってしまいました。総合指数は、約3週間前に比べて30%もダウン、人心が乱れたためか畑の西瓜は白い泡を吹き爆発したりしています。
こんな中共に「一中同表」と述べている洪秀柱氏です。

今後6カ月で中共の経済はどうなるでしょうか。そしてそれが台湾の総統選挙に与える影響は、いかになるでしょうか・・・

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