2015年7月29日水曜日

サラミ・スライス戦争にどう対応するか

サラミ戦術という軍事用語があります。敵対する勢力を殲滅または懐柔によって少しずつ滅ぼしていく分割統治の手法で、1933年初頭にヒトラーがナチス・ドイツを成立させるためにこの方法が使われたことで、1940年にハンガリー共産党のラーコシ・マーチャーシュと言う人が最初に発言した時の造語とされております。

この手法は、1940年代後半には東欧の多くの国家で実施され、国境線が変更されたりしていたわけです。

このヒトラーが使ったのと同じ手法が中共によって使われていると表現したのは、2012年8月のフォーリン・ポリシーでの軍事ジャーナリスト・ロバートハディック氏の記事、「南シナ海におけるサラミスライス戦略」だったとか。
さらに2013年8月、ワシントン・タイムスでのブラマー・チェラニー氏の記事で「中共のサラミスライス戦略」が指摘され、2014年2月にはナショナル・インタレストに再びロバート・ハディック氏が、「米国は中共のサラミスライスに答えを持っていない」と警鐘を鳴らしました。

そしてついに、アメリカ連邦議会上院のジョン・マケイン(軍事委員会、共和党)、ジャック・リード(軍事委員会、民主党)、ボブ・コーカー(外交委員会、共和党)、ボブ・メンデネス(外交委員会、民主党)の4名の上院議員は、超党派書簡をアッシュ・カーター国防長官とジョン・ケリー国務長官に送りつけたのです。

その内容は・・・
「このまま中共の行動を見逃していると、アジアの同盟諸国の安全保障や、石油をはじめとする年額5兆ドルに上る物資の自由航行、それに南シナ海周辺諸国の間の平和的な交渉は危殆に瀕してしまう。アメリカがダラダラしている間に、中共はいくつかの人工島まで建設してしまっている。アメリカはこのような中共の埋め立て作業を押しとどめるための具体的行動をとらなければならない」・・・と言うものでした。

また、南シナ海と東シナ海では「キャベツ戦術」という手法を中共が使っております。これはキャベツの皮が何枚もの皮でできているように、中共の利益を守るために幾層もの守りで固めるといった趣旨だそうです。
具体的には、例えばベトナム公船が「中共海洋石油981」の国際法違反に対して抗議しようと近づくと、ベトナム公船に対して、中共の大きな公船が、横切ったり、後ろからブロックしたり、横につけ衝突させたりと、キャベツの葉のようにガードして守るのだそうです。

中共はベトナムやフィリピンのような海軍軍備をあまり持たない国家に対して、さらにもっと酷い「いじめ」を行っていると言うことですね。放水、光度の高い光の照射など、ベトナム公船のクルーに心的・肉体的な圧迫を与え健康を害すなどの被害が出ているようです。

東シナ海では、日本の海上保安庁の操船技術にかなわない為か、常時「公船・海警何号」を航行させて実質の共同管理のような状況に追い込もうとしております。
そして、日中中間線の海洋にガス田を堀り、その井戸の数を増やし続け、櫓(やぐら)を拡張して軍事施設を作るなど、こちらの出方を伺いながらサラミ・スライス手法による侵略が進んでおります。

日本政府が新たな東シナ海ガス田開発の証拠写真を公表すれば、中共外務省は「日本側の要求は全く筋が通らない。中共のガス田開発は完全に正当で合法だ」と反論するコメントを発表したりしています。
もちろんここでの「正当で合法」というのは、中共が勝手に決めた法律(あるいは古い国際法)に対してであって、現在の国際法として認められた法ではないことに注意しましょう。

また、程永華駐日大使は日本記者クラブで、「日本政府が発表した場所(写真を公表した場所)は(日中間で)全く紛争のない海域で、日本から異を唱えられる余地はない」などと述べ、合法的な権利を主張しました。

日本政府は反論出来ないようですが、米国務省のカービー報道官は「地域を不安定化させる全ての行動は停止してもらいたい」と述べたと言うことです。

つまり日本政府はまだ、このサラミ戦略に対する戦術を確立していないようです。このままでは尖閣諸島も取られ、沖縄は漁業が出来なくなってしまうかも知れません。

このサラミ・スライス戦争は、銃弾が飛び交うことはありません。中共はそのような戦略を取らないからです。ですからあくまでも情報戦になるわけです。国際法を順守せず、自国の勝手な法(あるいは古い国際法)を持って、自国領としながら侵略するわけで、オバマ・アメリカが手をこまねいているうちにハワイまでが中共の覇権になってしまうことは、もはや冗談ではなくなっているのです。

日本は、シーレーンを止められればすぐにギブアップしてしまうでしょう。石油の遮断は、即、全エネルギーの停止となるからです。特に原発が稼働していない状態では電力も・・・

さて、華人にとっては大きいものが正義なのです。だから今、彼らは海上保安庁の船よりも大きい船を作っているわけですね。そして・・もしかしたら、ここが彼らの弱点かも知れません。
日本は小型・軽量・高性能を良しとしますが、これは現実に交戦が行われないと実力を発揮できません。そして中共は自らが先に撃つようなことはしないでしょう。サラミ・スライス戦争とはそのような戦争なのです。

ですからこの戦争は高度な兵器よりも、巨大なモックアップの公船を作る方が効き目があるかも知れません。(出来るだけ安く作って、フィリピンやベトナムにも就航させましょう)
華人にとって小さいのは悪ですから、明らかに自分より大きいものに相対すると、それだけで華人は畏縮してしまうようです。(一般的な動物の本能です)

後はその大きな船の操船によって、小さい中共の公船を蹴散らせばいいのです。これを持って尖閣諸島の巡回を行い、その効果を見て「ガス田」の対策を立てることが良いのではないでしょうか。
それより前に、南シナ海で米中軍事衝突が起きるかも知れませんけど・・・・

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