2014年4月16日水曜日

これからどうなる、日露関係

産経で、キヤノン・グローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦氏のコラム「欧州情勢は複雑怪奇? 嫌なものが復活しつつある」は、最近の欧州の政治情勢を述べた記事でした。

「欧州情勢は複雑怪奇」とは、第一次大戦後の枢密院議長の平沼騏一郎内閣で、日独軍事同盟の締結交渉を進めていた時、突然ナチスドイツが独ソ不可侵条約を締結したために総辞職せざるを得なくなり、その時に平沼首相が残した言葉です。
今回の宮家氏の言葉には「?」マークが付けられておりますけど。

宮家氏は、欧州を旅行して、何か「嫌なもの」が復活しつつあるとの思いを禁じ得なかったそうです。そしてこの嫌なものとは、欧州各民族の強烈なナショナリズムのようです。
フランス知識人の一部に出ている自信過剰的なプライドであり、ドイツでは独仏和解の経験に学ぶべしとの対日批判があり、英国ではスコットランド独立と英国のEU離脱の可能性に関する議論などが始まっていることなどから感じられるそうです。
もっとも辟易したのは「欧州中心主義的な幻想」で、欧州の知見はアジアに適用できるなどという思い込みだそうです。

この宮家氏の記事を評論家の佐藤優氏が評価し、ウクライナのクリミヤ問題でプーチン大統領がどのように動くか、その本音を探れという記事を書いていました。
プーチン大統領は、「元インテリジェンス・オフィサー(諜報機関員)という言葉は存在しない」と常日頃から述べているそうです。この意味は、一度インテリジェンス機関(情報機関)に勤務した者は組織を離れても一生諜報業務を続けることに(結果的に)なるということだそうです。
マスコミや書籍では報じられない歴史の裏側を知っていますから、表面の政治の動きを見れば裏側でどのようなことが起きたのかが判る・・そういう仕事をしてきた者は、その職務を離れてもインテリジェンスからは離れられないという意味のようです。

プーチン大統領は、KGBというインテリジェンス組織の真っただ中で、欧州とアメリカの裏舞台を理解し取り仕切ってきた人物です。
そのプーチン大統領が、最適なタイミングで「クリミヤ半島をロシア側に落としたことから見えて来るもの」があるわけです。それを良く掴んで、秋の安倍・プーチン会談に持っていけと言うのが佐藤氏の意見のようです。

欧州各国とアメリカは、以前からプーチン潰しのタイミングを計って来ていました。しかし、彼らの目的や手段を知り尽くしているプーチン大統領にはなかなか歯が立ちませんでした。
ソチ五輪では、これらの国家の首脳の開会式ボイコットが行われましたが、その理由付けが「同性愛者の婚姻を認めないロシア」が非人道的国家だと言うものだったことは記憶に新しいところです。
どう考えても、公式な「おかまの婚姻」を否定することが非人道的だとは思えませんけどね。プーチン氏はこれを見てほくそ笑み、自信を付けたのではないでしょうか。
「ソチで五輪」はウクライナを攻めるロシア側の意思表示だったのかも知れません。五輪を使って彼等の動きを見て、その上でのクリミヤ奪取だったようにも見えます。

プーチン潰しの理由は、彼が国際金融組織の邪魔だからでしょう。ソビエト連邦を潰してユーラシア北方の資源地域を抑えたと思ったら、プーチン氏が登場し、石油とガスを横取りされてしまいました。そこでいつもの手段として、マスコミ・ジャーナリズムを使ったプーチン攻撃が始まりましたが、アンナ・ポリトコフスカヤ氏、そしてアレクサンドル・リトビネンコ氏などを過激に殺戮して見せて、そんな姑息な手段では「プーチンは潰せない」ことを示しました。

当然「国際金融組織」は経済を使ってロシアを締め上げています。しかしプーチン大統領は平気です。ロシア国民の性癖を掴んでいるプーチン氏は、いまだロシア国民の支持を得ているようですから。

ウクライナでは、ロシアの最新型の戦闘服を着た兵隊が警察署などを襲い、次々にウクライナの主権を侵し始めました。しかしこれをロシアは否定しています。彼らはロシア軍ではないと・・・
もしかしたら反ロシア側がプーチン・ロシアを貶めるために使っているマスコミ用の攻撃かも知れませんね。
このようなことは、国際金融を牛耳る側なら簡単にやってのけるでしょう。

ロシア兵のように見える兵隊が警察署を襲い、住民に発砲する様子がテレビニュースに流れます。オバマ大統領がプーチン大統領に電話し、親ロシア派武装勢力を、ロシアが支援していると非難し、親ロシア派武装勢力の退去と、武装解除に影響力を行使するようプーチン氏に要求します。
プーチン大統領は、あれはロシア兵ではないことを述べてから、「ウクライナ暫定政権がロシア語を話す住民の利益を考えていないことの結果だ」として、親露派の占拠を擁護したそうです。
プーチン氏は、オバマ大統領など相手にはしていないのでしょうね。

そしてアメリカはいつもの手口の経済制裁に出ます。オバマ大統領はフランス・オランド大統領に電話し、オランド大統領はファビウス外相に指示し「必要であれば、EUは来週首脳会議を開き、(ロシアに対する)新たな制裁について話し合うこともあり得る」などと発言します。(ボロボロのユーロなのにね)

しかし、こんなことはプーチン氏はもはや織り込み済みでしょう。何しろいつもと同じなんですからね。
相手は欧州各国に対して強弱はあるにせよ、石油・ガスエネルギーの元栓を握っているプーチン大統領なのですよ・・・

このプーチン氏の戦いを見て日本側が仕掛けるとすれば、やはり経済的戦略の水を向けてみることでしょう。ただ、国際金融側は見張っていますから要注意です。そこで使うのが北方領土での駆け引きということ。
「2島先行返還で、残り2島については日本の主権を認め、その後も返還交渉の続行」と日本側が主張すれば、ロシア側は難色を示すでしょう。そこをマスコミ報道で見せてから、「例えば残り2島を国際宇宙センターにして、日露で新たなロケット発射基地開発と運用をする・・などという方法もあるかも知れない」と提案してみてはいかがでしょうか。宇宙開発予算としてお金は出せることを暗に示しながら。

これでロシアからJAXAに訪問団が来れば面白くなっていくのですけどね。

0 件のコメント:

コメントを投稿