2013年10月31日木曜日

アヌープ・シンIMF局長の日本経済評価

国際通貨基金(IMF)のアヌープ・シン局長が日本に来ました。そして東京都内でセミナーを開き、「日本が世界の経済地図の中心にきた」などとアベノミクスを評価しました。
そして大胆な金融緩和と機動的な財政出動、成長戦略という「三本の矢」が、株式市場などに多くの海外資金を呼び込むだろうなどと評価しました。

来年4月に消費税率を8%に引き上げることに対しては、「財政の機動性確保に向けた第一歩」と歓迎し、そして「さらなる改革が必要」などと日本の財政状況に注文を付けています。
さらに日本の法人実効税率の引き下げについては「成長への寄与度と、その裏にある(税収減という)財政負担も天秤にかけ考える必要がある」などと訳の分からないことを述べていました。

ここではっきりしていることは、消費税を上げて税金という形で日本の預金を崩させ、それを法人税引き下げによる株式配当増額によって略奪しようという意図があることです。
そうでもしないと国際通貨基金は崩壊し、国際金融が破綻してしまうからでしょうね。

しかし、ドル崩壊によってすでに世界金融は破綻していると言っている経済学者もおります。もしかしたらそちらの方が正しいのかも知れません。
もともと「ドル」は二次大戦後に石油とのリンクによって国際通貨になったもの。石油の枯渇と同時にドル経済も崩壊することは当然でしょう。
石油埋蔵量はまだあります。しかし埋蔵場所が採掘しにくいところで、石油の価格が上がります。石油価格が上がると、石油は使われなくなってきます。その理由は、代替エネルギーのコストが比較優位に立ってくるからです。
その代替エネルギーの中に太陽光発電なども含まれるというのが現状ですが、まだしばらくは石油と原子力が主流であることに変わりはありませんが、でも先が見えているということです。

石油は精製して直接燃料としても使えますが、原子力は電気にしないと使えません。メタンハイドレートも電気にした方が良いでしょう。なぜなら自然エネルギーは電気にしないと使えないからです。高性能のリチュウムイオン電池が開発され、電気は貯められるようになりました。自動車も充電インフラが出来れば電気で十分使えるようになっております。
つまり、石油の時代は終焉に向かっているわけで、ゆえにドルの時代も終焉に向かっているというわけです。

ではアメリカはどうなるのか気になるところですが・・・さらなる大国になるでしょうね。日本の方こそ気を付けなければいけない状況にあると思います。
その理由は「開発力」です。明治維新以降、日本は欧米をモデルにして今日まで発展してきました。和魂洋才と言うわけで、その欧米に追い付いたわけです。しかし抜くことは今だ出来ておりません。

今のアメリカは製造業がダメになっています。しかし発想力が落ちているわけではありません。かつて「コルト45口径」や「フォード自動車」を作り出し工業国として発展した着想は、戦後になって「ポラロイドカメラ」とか「ゼロックス」を生み出しました。そしてパソコンを生み出したアメリカは、インターネットで脱工業化したわけです。確実にアメリカは情報化社会になっています。しかしそれが追い上げてくる日本、中共の製造業だ作り出す製品に対して経済的に負けているということです。

マイクロソフト、アップル、グーグル、アマゾン・・・etc すべてアメリカの会社です。すべてがインターネットビジネスになっていることに注意しましょう。
そして3次元プリンターの登場です。今のところプラスティックでの造形ですが、やがて陶器や金属も出てくるでしょう。販売するのはデータだけで、実体化するのは各家庭にある3次元プリンターということになります。
テレビや冷蔵庫のように、やがて3次元プリンターは家電の一角を占めることになるでしょう。
その時の決め手がソフトウエアとデザインです。ほとんどが欧米社会が生み出したフィーチャーです。
我々は安倍政権を持ってしても産業社会の延長を考えていますが、欧米社会はその土俵を変えるチャレンジをしてきます。

その土俵を変えるまでの数十年間だけ、日本をおだてて使う算段なのでしょう。
土俵が変わったことに気づいたとき、日本は三流国に転落することになるでしょう。それがこの「日本が世界の経済地図の中心にきた」というIMF局長の言葉に溢れているようです。

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