2013年10月7日月曜日

3次元プリンターは経済社会を変えるか?

日本では財務省が、アメリカではウォール街が、国家経済を追い詰めています。その犠牲者とも言える若者が、このような状況にどのような対策を立てているか、その片鱗とも言える記事が産経に出ていました。

それはFabLab(ファブラボ)という呼び名で世界的ムーブメントになりそうな、パーソナルファブリケーションのための実験的な工房と言うものです。
つまり個人で勉強し、そこにある工作機械などを使って作り、そして仲間同士で検討するという工房のことです。もちろんネットワークで結ばれる仲間ですけど。

提唱者はアメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT) Center for Bits and Atoms(CBA)で教鞭を取るニール・ガーシェンフェルド教授です。
教授は2001年から、自分たちに必要なものを自分たちでつくる市民のための工房「FabLab(ファブラボ)」というコンセプトを提唱し、その実験としてインドのババルという小さな村に「FabLab(ファブラボ)」という工房を立ち上げました。

すると翌年から、ノルウェーやガーナ、ボストンなど5カ所に同様のファブラボが出来て、それ以降急速なペースで増え続けているという事です。
日本には2011年5月に、「つくば」と「鎌倉」に最初のファブラボが誕生しました。それ以降「仙台」「渋谷(東京)」「北加賀屋(大阪)」と増え、8月末には「関内(横浜)」にもオープンしたとか。

では、このファブラボがどうして財務省やウォール街との戦いになるかというと、物作りが工場という資本集約型の範疇から飛び出したからです。
現在の工場は、提案・設計・開発・テスト・量産という順序になっていますが、量産のあと販売に成功するかどうかが問われます。そして成功した後に、財務省とかウォール街が出てきて搾取プログラムに移行するわけですが、このファブラボは、提案・設計・開発・テストまでで、それ以降を止めてしまいます。
つまり財務省とかウォール街の搾取プログラムが動きだす前で止めるわけです。

それではどうやって利益を確保するのか・・などという疑問は、古い考え方となっていることにお気付きでしょうか?
ファブラボをどう定義していくかは「FAB(世界ファブラボ代表者会議)」で議論されているところですが、基本的には情報が資産ということになります。そしてこの資産には、財務省やウォール街が手出しできません。
情報が売買されれば財務省やウォール街が出てきますが、通貨取引でない限り手出しできないのが現状の法律です。
ファブラボで確立させた情報は作成者個人の物で、ネットで公開しようが、隠匿しておこうが自由でしょうね。
公開しておけば、誰でも同じ物をファブラボで作ることが出来ますし、また開発者に依頼して有料で作ってもらうことも可能です。料金を取れば、それにはもちろん税金がかかりますけど・・受注分だけですし、これが個人取引なのかどうかはファブラボの運用形態によるでしょう。個人取引であれば消費税はかかりません。
開発されたものが売れて通常のビジネスになれば、あとは旧式の経済システムの中で活動することになります。ファブラボの活動資金は現状ですとここから生まれるようですけど。

これまでの工場生産ですと、在庫などが絡んできますから資産税がかかりますが、このファブラボ方式ですと、そういう心配はありません。究極の受注生産か、もしくはDIYで需要者自身が自分で作るわけですからね。情報使用料を取ってもたいした金額にはならないでしょう。もし高くすれば、財務省とかが動き出しますけど・・・

さまざまな展開が考えられるファブラボですが、それはアメリカから発信されたもの。しっかりと規約ができております。名付けて「ファブラボ憲章」。以下のサイトに出ています。
http://fablabjapan.org/fabcharter/

このような生産方式で一番気になるのが「プラスティック」を使う部分でした。なぜならプラスティックを使うにはその形状の金型が必要で、それが非常に高価だったからです。ですから金型の費用を償却するためには膨大な量の成型を行わなければなりませんでした。つまり少量の生産では高くて使えないということになります。

この一番気になるところを解決したのが、「3次元プリンター」と言うわけです。電子情報としての図面か、あるいは3次元スキャンで取り込んだデータがあれば、どんな形状のプラスティック部品でも1個だけを作り出すことが出来るわけですからね。
3次元プリンターのあるファブラボを使ってプロトタイプを作り出し、開発を進めればいいわけです。

このような、これまでは出来なかった「資本集約でないマニュファクチャリング」が可能になるファブラボです。情報化の流れが急激に進んでいます。インターネットという道具が、情報提供の在り方を変え、そして今「物作り」の経済的側面をも変えようとしています。
日本のファブラボも不完全ながらも稼働を始めているようです。渋谷のファブラボのホームページは、
http://www.fablabshibuya.org/
に出ています。

経済破綻が叫ばれるアメリカ。アメリカの物作りが危機にあるなどと言われていますが、若い世代はすでに次世代のマニュファクチャリングを模索し始めています。
いつまでも企業システムの資本集約型マニュファクチャリングを追及していると、発展途上国にも負けてしまうかも知れません。

さて、経済学者はこのファブラボのようなマニュファクチャリングを、どのような経済理論で扱うでしょうか?
多くの経済学者は無視するでしょうけど、やがて無視できない展開になると思いますけどね・・・

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