2011年6月12日日曜日

メガソーラ計画の本当の目的は送電システムの独占か?

福島第一原発事故で、原発が危険なものだという風評が出てきて、そこにソフトバンクの孫正義社長が東北メガソーラビジョンを出してその事業化をぶち上げました。
その話を聞いた菅直人首相が、フランスのG8サミットで「2020年までに自然エネルギー電力20%」とか「太陽光パネル1千万戸設置」とぶち上げたことはさておいて、高コスト発電となる太陽光パネル発電をどうやって事業化するのか、そこが気になるポイントです。

しかし、現在の動きを見ていますと東京電力の原発災害賠償責任が盛んに騒がれています。
東京電力の責任問題にして、電力供給という公共性がどこかに吹っ飛んでいるようにも感じられます。いわゆる民間企業バッシング。
そして出てきた提案の中に「発電と送電の分離」というものがありました。
東電の持っている送電設備を売却すれば、原発汚染の保障は十分可能と言う人も居られます。
それをソフトバンクは狙っているのかも知れません。本当の目的は発電事業ではなく送電事業を手に入れること。メガソーラ計画はそのためのダミー・・・?
これは何を意味しているのでしょうか? 発電をソフトバンクが行うことには何の問題もありませんが、送電システムをソフトバンクが握るとなれば、電力の寡占体制が東電からソフトバンクに変わるだけ、という意味にならないでしょうか?

送電システムは非常に公共性が高いもの。富士川を境に東と西では周波数が違いますが、それくらいの問題で、あとは全国が互換性の取れるシステム。東京などの送電システムはバックアップがしっかりしていてニューヨークのような停電事故は起きないようになっているはずです。
このような送電システムが一企業に握られることはきわめて危険なことであり、認められるものではないと思うのですが・・・

アメリカ発の新しい送電システムに「スマートグリッド構想」がありますが、これは何人も発電ビジネスに参加できて、電力市場で競争できるとするもの。GEとGoogleが共同提案した構想であって、構想の段階から2社が入っていることで、おそらく独占禁止法を意識していることが感じられます。
アメリカの独占禁止法の厳しさは、アメリカ的公共認識から来ているもの。そのくらい送電システムは公共性の高いものです。

送電事業は国道と同じように国家事業(あるいは国家の委託事業)とするくらいの考えでなければいけないように思います。現在は東電という民間企業が握っていますけど・・・
その上で、ソフトバンクのメガソーラ事業に期待しましょう。万が一、電力需要が逼迫しコスト高の電力がそのまま国民生活に請求された時を考えて、どこかの民間発電業者の原子力発電を送電システムに接続し、単価を下げられる準備もしておく必要があるでしょう。

福島第一原発の津波災害で、原子力発電を海岸近傍で行うことの怖さは身にしみました。沸騰水型原発は今後時間を掛けて収束に向かうでしょうね。
それに変わって、高温ガス炉は水をあまり使いませんから、山の中でも建設可能です。
小型にも出来るだろうと思われる高温ガス炉。企業の自家発電設備としても有望です。この原子炉を持って発電事業に参入する企業も現れるであろうと予想されます。

もっとも原発である以上、高濃度廃棄物は出てきます。やがては高効率太陽光発電も登場し地球上の発電に原発は必要なくなるかも知れません。
そのためにも、送電システムだけは、道路のように自由に使えるようにしておいて欲しいのですよ・・

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