2019年8月20日火曜日

米中戦争、宇宙から・・

2016年にアメリカで刊行された「ゴースト・フリート」というピーター・シンガー、オーガスト・コール両氏の書いた小説は、中共の衛星破壊兵器でアメリカ軍の通信衛星が次々と破壊され、アメリカ軍が動きが取れなくなってしまい、ハワイが乗っ取られ太平洋のアメリカ覇権が中共に侵略されるところから始まるそうです。

現代の武器技術と、国際情勢を分析しながら極めてリアルに描かれた2026年を舞台にした近未来小説だそうです。
日本語の翻訳書は「中国軍を駆逐せよ!ゴースト・フリート出撃す」というタイトルで売られています。

この小説のおかげかどうかは解りませんが、トランプ大統領は今年2月にアメリカ宇宙軍の創設を始める大統領令に署名ししました。
現在は経済制裁(関税作戦)で優位に立つアメリカですが、やがてアメリカ軍の指揮系統である軍事通信衛星が破壊されることが懸念されております。これを「スペース・パールハーバー」と呼んでいるそうですが。

現在、アメリカ軍の人工衛星の守りは脆弱です。防御用の重い装備は、打ち上げに膨大なエネルギーが必要になるため実装できません。
中共は、アメリカ軍の通信網の妨害を現在はサイバー攻撃で行っているようですが、手っ取り早く「ミサイルや別の衛星による体当たり、電波妨害、レーザー照射」などの攻撃の方が比較的容易で有効であることは知っています。

防衛省防衛研究所の福島康仁宇宙政策主任研究官は、「宇宙を制することは、戦いの勝敗を決める重要な鍵だ。衛星への攻撃兵器は、国際社会にとって大きな脅威となり得る」と述べております。

中共は2013年、高度約3万キロに達するミサイルを発射して成功させています。アメリカの早期警戒衛星は高度3万6千キロの静止軌道を周回していますから、明らかにこれは早期警戒衛星を狙い撃ちすることを目的としたミサイル実験だったと思われます。

アメリカ軍のレイモンド大将は「中露はアメリカ軍が宇宙で衛星に依存しきっていることに着目している」と述べ、アメリカ軍にとって宇宙空間がアキレス腱になりつつあると警告しております。

中共がアメリカの軍事通信衛星などを攻撃する力量を付けることが出来たのは、アメリカ内のディープステートであることは間違いないでしょう。彼等は軍事的対等を作り上げ、戦争に持ち込んで国家主義を潰していくという手法を歴史的に使っています。
対立を煽り競わせて潰すという手法は、南北戦争や明治維新でも裏にあったようですし・・

対立させるためには、軍事的均衡を作らねばなりません。ゆえに軍事情報を筒抜けにさせていくのです。
情報漏えいで中共が宇宙空間におけるアメリカの圧倒的優位を崩し始めたわけです。今後アメリカがどのような対策を取るか、技術的に優位を保つための研究を進めるか、それとも古い軍事技術に戻って対策を立てるのか、それは解りません。

中共の軍事技術の高度化で、ロシアも軍事的新技術を開発しております。衛星に頼れなければ徘徊巡行ミサイルなどが有効ではないかと、原子力エンジンでの着陸せずに長時間偵察を続けられる巡行偵察ミサイルなどを作っているようです。先日の爆破事故でそれが解ってしまいましたね。

中共は人工島の軍事基地に軍事通信を妨害する電波発信の装置を設置したと述べています。しかし高周波で複数の周波数を使い、スイッチノイズ(瞬間の通信)でパケット通信するものを妨害電波で邪魔することは出来ないと思うのですけど・・・

さて、我が国の宇宙防衛はどうなっているのでしょうか。残念ながら政府は何も考えていないようです。
何しろ自国民を守る政策をとろうとすると憲法が邪魔をして違憲とされてしまう国家です。国民が全滅しても憲法を守ることが第一義の人がまだ議員の中に沢山いるようですからね。彼等は日本国民に選ばれているわけですけど。

しかし川崎重工の「防衛宇宙プロジェクト」では、この憲法をかいくぐり自力で開発を続けています。具体的には「宇宙ごみ(デブリ)の回収」技術の開発です。

「デブリの回収」と言えば世界は黙っているでしょうし、日本のサヨク/マスコミも文句は言わないでしょう。
この技術は「人工流れ星をつくるというエンタメ事業」から始まりました。このような表題にして資金を集め、イプシロンロケット4号機で小さな衛星を宇宙空間に上げて、その軌道からスピードをおとして落下させ、流れ星として消滅させる実験でした。

成功を収め、そこで実証されたのは、衛星から軽いリボン状の導電性のテープを広げ、地磁気によってローレンス力を起こして、そのエネルギーで衛星のスピードをおとして大気圏に落下させると言うもの。(爆発破壊はデブリを細かく増やしてしまうだけですからね)

ローレンツ力(Lorentz force)と言うのは、電磁場中で運動する荷電粒子が受ける力のことです。地球を磁石と見て、これを応用した技術で、今後この技術を使って大きいなデブリに衛星を並行飛行させ、導電性テープで包むようにしてスピードを落とし、大気圏に落とす計画です。

この技術は、中共の通信衛星への攻撃にも利用できますし、ロシアの衛星にも利用できます。小さな衛星をさまざまな軌道に上げておいて、誘導して邪悪な衛星を地上に叩き落とすことも出来るわけです。

「人工流れ星」とか「宇宙のお掃除」という言葉には、戦争をイメージさせるものは在りません。このようにして我が国の軍事技術は進歩していくわけですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿