2019年6月18日火曜日

世界経済の急減速

アメリカのロングビーチやシンガポールなど主要貨物港でも、香港、米メンフィス、ロンドン、フランフルトにあるハブ空港でも、ともに貨物取扱高が昨年並みか昨年を下回っているそうです。

世界経済は景気後退の瀬戸際であり、景気回復に向けた行動を起こさない限り、今後6カ月間に景気減速が深刻化する可能性が高くなっているようです。

アメリカのFRB,及びその他の中央銀行が利下げによって信頼感を向上させ、耐久財への支出をてこ入れするかも知れません。何故なら1998年に同じような事態に直面し、各国が速やかな利下げを行い、それが奏功して景気拡大がその後2年持続した経験があるからです。

FRBのパウエル議長は6月4日に米中貿易戦争が及ぼす影響を「FRBは緊密に注視」しており、「適切に行動する」と述べたそうです。
「FRBは最近まで、貿易を巡る緊張はじきに和らぐと想定していたが、こうした問題がいつ、どのような形で解決するのかは分からない。労働市場が堅調で、インフレ率が上下両方向にわれわれの目標の2%に近い水準で推移する(景気)拡大を維持するために、FRBはこれまで通り、適切に行動する」と言うことです。おそらく1998年の記憶が頭にあるからでしょう。

しかし今回はどうなるのか、1998年と今とでは経済環境が異なります。1998年はソビエト連邦が崩壊して5ロシア連邦となり、エリツィン大統領が四苦八苦していた時代です。
ソビエト崩壊が世界経済に影響して景気の減速が起きていたのだと思います。そしてこの時、アメリカとロシアには戦争の緊張は在りませんでした。

今回は米中経済戦争が影響しているものと思われます。それだけ中共の各国との貿易量が多かったと言う事かも知れません。
アメリカがその輸入に高関税を掛けたことと、世界に向かってファーウェイ製品のボイコットなどを要求したため、貿易量が減ったとも考えられます。

ただ、中共の問題だけでなくグローバル化の結果かも知れません。現在は国家主義の揺り戻しが始まっていますが、グローバル化の正体は企業の収益を上げ、減税させ、利益を株主に配当することです。税収が減るためにその分を消費税で補填することになり、実質収入(可処分所得)が減って現役世代の消費が減ってしまったことも原因ではないでしょうか。

これが反グローバリストを生み、国家主義への傾倒が増えてきたように思います。

重要なことは、グローバリストは「古典派経済学で動く」ということではないでしょうか。経済評論家の三橋氏が言うように、今もまだ古典派経済学とケインズ経済学が対立していて、古典派経済学ではデフレからの脱却は不可能である・・と言う事まで判っているわけです。

ケインズ経済学がマネタリストの主張の一部を吸収してニューケインズ経済学が出来ているようで、その主張がMMT(現代貨幣理論)のように思います。

国家主義の揺り戻しは、グローバリストの古典派経済学が、所詮「搾取経済学」に過ぎないことに世界の国民たちが気付き始めている証左ではないかと思うのです。

アダム・スミスから始まった古典派経済学は、そのころの国主(王様など)の紙幣乱発とインフレに悩み、作られた経済学で「インフレーション」を敵視するようになっています。
ハイパーインフレーションは、先進国では大戦争の後、生産設備が破壊されているにもかかわらず大量の通貨発行を行った時に出て来る現象です。
王様などが紙幣を乱発するのは、そのほとんどが「戦争準備」の費用捻出のためですから、戦後にハイパーインフレが生じても仕方がないのかも知れませんが、現代の単なるデフレ脱却にはインフレ政策しか脱却法はないはずです。そしてそれを阻害しているのが古典派経済学でありグローバリスト達と言う事になるのではないかと思います。

ハッキリしていることは、グローバル経済学は「搾取経済学」であり、MMTは「生産重視経済学」であることではないでしょうか。
グローバル経済学は、生産を軽視します。ですから「安い賃金の国で作れば利益を増やすことが出来る」という考え方を表面に押し出します。
もちろんこれには生産技術の向上などは考慮されていません。そして生産技術の向上は技術を持つ国で作らなければあり得ません。グローバル経済学は単に安い人件費で作って利益を最大化し、株主配当を大きくするという、単なる「搾取経済」に他ならないわけです。

これが世界中の国民にバレてきて、グルーバル化した世界経済に暗雲が垂れ込み始めたということではないでしょうか。
米中経済戦争にも原因の一端はあるでしょうが、「搾取経済学」がいつも戦争の火種になっていることをグローバリスト達はもっと考慮すべきですね。

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