2019年6月15日土曜日

日本のタンカーへの攻撃

遂に日本のタンカーが攻撃されました。死傷者はいない模様です。安倍首相がイラン訪問の最中の出来事です。
イラン革命防衛隊のキャナニモガッダム・ホセイン元司令官(60歳)は、「安倍晋三首相の訪問を反イラン宣伝に利用する狙いで行われたもので、テロ組織が関与した」との見方を示しました。

米・イランの軍事的緊張を高める目的で、分離主義を掲げるイラン南東部の反政府組織「ジェイシ・アドリ」などが行った可能性が高いと言うことです。この組織は「特定の国の支援を受けていることが分かっており、軍事技術も高い」と述べております。

この攻撃の結果、先ず日本の石油価格が上昇しました。そして株価が下がりました。大きな影響は無かったようですが、この攻撃を事前に知っていた人たちは儲かったのではないでしょうか。

このように考えると、この事件の裏側に何があるのか複雑な模様が見えてきます。

アメリカとイランが対立しているのは、表面は「核兵器」問題です。トランプ大統領は「イランが核を持てば、サウジアラビアなども核を持つことになる」と述べ、それがイスラエルの危機にもなると述べています。

今回の安倍首相のイラン訪問で、ハメネイ師は「核兵器を製造も保有も使用もしない。その意図はないし、するべきではない」と述べたそうです。
しかしイランを取り巻くテロ組織は複雑で、イランの最高指導者が述べたことが今後守られるかどうかは判りません。

「ジェイシ・アドリ」などの反政府組織が核兵器を持つ可能性はどうでしょうか。ホセイン元司令官が述べた「特定の国の支援」とはどこの国なのか、そういう国が動いている以上、資金や技術がテロ組織に伝わることは間違いないでしょう。

ハメネイ師が平和な話をしている最中にでも、日本のタンカーが襲われているのが何よりの証拠で、ハメネイ師の平和外交を拒否しているのかも知れません。

安倍首相のイラン訪問について、イランのロウハニ大統領は「私の招待に安倍首相がお応えいただいたことを光栄に思います。」と述べ、「この地域での軍事的緊張は、米国による経済的戦争(=米国による対イラン制裁)が原因です。そうした経済戦争が終われば、地域の安定は確保できるということを安倍首相にお話いたしました。」と発言しました。

対するトランプ大統領は「アメリカがイランと交渉を行うにはまだ時期尚早だ」という考えを述べました。「イランはまだ準備ができていない。アメリカもまだだ!」と言うことです。

両首脳とも「安倍首相の努力には感謝する」と述べておりますし、安倍首相も「大変な困難が伴うが、地域の平和と安定、そして世界の繁栄のために、今後とも努力を重ねていきたい」と述べております。

アメリカとイランの対立の本当の原因はイランが石油決済をユーロでも良いとしたところから始まっています。
石油をドル決済だけにしたことでドルの世界通貨化が始まった訳ですから、そんなことをアメリカが許すわけはありません。
しかし「ユーロで決済して何が悪いのか?」と問われれば答えようもなく、そこで「イランが核武装をする」ことを根拠に経済制裁が始まった訳です。

イランは、もし日本が円での決済を求めればそれにも応じるでしょう。しかしそれでいいかどうかは又別の問題です。

例えばユーロにしてEUが崩れれば不安定化しますし、人民元も中華人民共和国がおかしくなれば不安定化します。そして日本も財務省の失敗が表面化すれば不安定化するでしょう。
今の所ドルだけが世界通貨としてふさわしいように思います。

その理由は、ユーロと円は「デフレを好む通貨」だからです。人民元はもともと経済体制が違いますし、覇権通貨ではなく支配通貨になる可能性が高いために信用が出来ません。
ドルは基本的にインフレ通貨です。もちろんアメリカの経済学会はデフレを好むようですが、それでもインフレ通貨であることに変わりはありません。

それなら国家とは関係なくインフレ通貨を作ったらどうなるか、その実験がビットコインという訳ですね。投機という坩堝に嵌ってしまいましたが・・・
デフレ通貨は経済を縮小してしまいますから世界通貨には出来ません。インフレ通貨は経済を膨張させますから世界通貨に向いています。

イランが石油を多様な通貨での決済にしたい気持ちは解りますが、それこそ時期尚早ではないでしょうか。イスラム世界がデフレを好み、故に貧富差が広がり、それが多様なテロ集団を作っているように思います。産油国に大量のドルが流れ込んできても、それを資本として生かせないイスラム各国なのです。

ホロムズ海峡での日本タンカーへの攻撃、その背後に潜むのは何か、軍事を無くした我が国は、このような情報には疎くて「いかなる者が攻撃したとしても、日本として断固非難する」としか言えないわけなのですね。

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