2019年1月9日水曜日

EUは解体の危機か?

英国のEU離脱問題が厳しい状況にありますが、しかしながらEUそのものも解体の危機を迎えているようでもあります。

三井美奈氏の欧州報告で、2018年末のパリ。凱旋門近くで開かれた経済シンポジウムのことが書かれておりました。

ベルリン工科大のマルクス・ケルバー教授が、「通貨ユーロは南北に分割すべき。イタリアやギリシャにはうんざりだ。フランスも、甘えるのはいい加減にして欲しい」と強烈な発言をしたのです。
ユーロを揺さぶる債務国にフランスを加え、苛立ちをあらわにしたとのこと。南北に別ける・・ようするにEUは解体と言う事です。
この正月でユーロは発足から20年。通貨統合を主導した独仏はいま、結束が揺らいでいるそうです。

昨年の11月、ショルツ独財務相が「フランスは、国連安全保障理事会の常任理事国の座をEUに渡せ」と訴えました。
驚いたフランス・マクロン大統領は、「米中露に対抗できる欧州軍の創設を」と応じると、「EU外交を目指すなら、まずフランスの特権を共有化せよ」と迫ったとのこと。

メルケル首相の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、社会民主党(SPD)の保革両翼は計100以上議席を減らし、それに代わって移民嫌いの「ドイツのための選択肢(AfD)」が第3党に躍進したことで政権の安定が揺ぎ、結局「EUの理想」を掲げていては選挙にも勝てなくなってしまったからです。

アメリカにトランプ大統領が登場してから、それまで優勢だったグローバリズムが揺らぎはじめました。
グローバリズムは「国家の壁を低くして、世界中の人々が自由に行き来出来るようにしよう」などというスローガンで、実質は金融組織にとって都合のいいやり方、つまり国家の通貨発行権を抑えようと言う試みです。

その実験室に相当するものがEUであり、実際に共通通貨を作ってみた実験がユーロであることは誰でも解ります。
そしてその結果、うまく行かないことが判ったのですが、さまざまな思惑がからんで後戻りが出来ませんでした。

産業革命で貴族型(利潤追求型)資本主義が力を持ち、金融が発達します。ロスチャイルド家が飛躍したわけですが、主権国家が通貨を発行する訳ですから生産と消費のバランスはなかなかうまく取れません。
そこで貴族型資本主義ではなく国家が資本を握れば良いということで「共産主義」が生まれたわけですが、計画経済や生産性向上などがうまく行きません。

利潤追求型資本主義はコストを抑え大量販売を目指すようで、そこから安い人件費で働く人々を必要とし、それがグローバル経済を推進していました。
ですから必然的に先進国に安い労働者(移民)を入れることで高い利潤を追求したわけです。
背景には、中共の入れるだけで出さない経済システムに対するイラつきがあったのかも知れません。

中東でのテロ戦争(ISなどを作って争わせる)などによってイスラム社会を不安定化させ、ドイツの「ユダヤ人に対する負い目」を利用した作戦で大量の移民が欧州になだれ込みました。これで欧州の国民は安い人件費の移民との競争を強いられることになったのです。

ドイツの判断はすぐにEU全体に波及します。そこで「EUに残るか、離脱するか」・・英国はこの問題を国民投票にかけ、その結果EU離脱が決まったのです。
そしてアメリカではトランプ氏が大統領になり、「アメリカ・ファースト」というスローガンで暗にグローバル経済を否定したのです。

このことで、それまで世界の潮流だったグローバル化経済に対する疑念が生まれ、そしてそれがハッキリしてくるにつれて、上記のようなEU内のトラブルが起きてきたと思うのです。

グローバル化が目指すのは「世界均一主義」であり、トランプ大統領が押し出してきたのは「各国承認主義」だと思うのです。

「人種差別を無くせ」とは、国際連盟で日本が最初に言ったことですがけっして均一主義ではなく、「各国を承認せよ」という意味だったはずです。列強国家だけでなく、弱小国とその国民の主体性を重視しろという意味です。

しかし均一主義はそうではありません。だから差別に「男女差別」を持ち込み、極端化させます。LGBTなども同じで、このようにして主権国家を崩壊させようと言う試みの様に感じます。
マスコミを通して「この均一主義こそが人類の未来だ」と言うような発信がされ、世界中の多くの国民が洗脳され始めているようです。

このようなバカバカしい世界になって行くのか、それともEU離脱が成功し、そこからEU解体に向かい始め、トランプ大統領の各国承認主義が主流になって行くのか、まだ何とも言えませんが、均一主義などうまく行くと言は思えません。

少なくとも、おかしな平等主義は止めるべきでしょうね。

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