2018年4月3日火曜日

安倍政権vs財務省の構図

評論家の小浜逸郎氏がメルマガ上で、「森友学園への国有地払い下げにともなう財務省の有印公文書書き換え問題は、反日野党やマスコミの言う安倍政権攻撃・打倒の材料にはならない」ことを述べております。

この問題は森友問題とは切り離して考える問題で、その背後には安倍政権対財務省の対決の構図があると言う事です。
すなわち、財務省の緊縮財政に対して安倍政権は最初から積極財政の政策でデフレと対峙しようとしてきたと言うのです。
ですから必然的に財務省との対決になるわけです。

安倍首相はアベノミクスという表現で積極財政を目指しましたが、財務省は消費税8%を実施させることでアベノミクスを潰してきました。そしてアベノミクスは失敗だったというプロパガンダを放ち、安倍政権追い落としを仕掛けたわけです。

そこで安倍政権側は日銀総裁に黒田氏を置き、盟友の本田悦朗氏の推薦で早稲田大学教授の若田部昌澄氏を日銀副総裁に起用、そしてエール大学名誉教授である浜田宏一氏を内閣参与に据えるなどで、積極財政を日銀から起こさせようとしたのです。

財務省の緊縮財政は、国際金融資本とかIMFの古い考え方であり、インフレ抑制だけを考えた政策です。ですからデフレ脱却にはほとんど意味の無いどころか害のある政策です。
安倍政権が向かう積極財政はインフレを起こす政策ですから、財務省が反対するのも当然ですが、デフレ脱却にはインフレ政策しかないのも当然です。

財務省は「消費税10%」と「プライマリバランスの黒字化」という目標を国民に判りやすい「日本の借金は1000兆円を超えた」とか「財政規律の維持」などをいかにも常識の如く国民に吹聴します。財務省のホームページを使い、そしてマスコミには「査察に入る」などと言う脅しと「消費税10%の時に新聞は8%据え置きにする」などの甘言を与え、国民に財務省の言うことが真実であるかのような印象操作で安倍政権に対峙してきました。

考えてみれば、緊縮財政と積極財政はどちらが正しいかという問題ではなく、その時の状況に合わせて選択すべき手段に過ぎません。
インフレで国民生活が苦しくなってきたら緊縮財政を撃つべきですが、デフレが続き脱却できない今は積極財政を取るべきであることは誰が考えても当然のことです。

ですから安倍首相の支持立が高くて行き詰って来た財務省が取った手段が「決裁文書書き換え」という自爆テロだったのではないかと疑われているわけです。

この書き換えを朝日新聞にリークしたのが誰かは判りません。検察なのか財務省内部なのか・・・
ただこれによって行政の長である安倍政権の責任が問われることは間違いがなく、見事に支持率が下がってしまいました。
この支持率低下に勢い立ったのが野党の面々です。書き換えられた部分に安倍昭惠夫人の名前があったことから、「昭惠夫人を国会に招致して吊るし上げろ!」という魔女裁判を叫び始めます。国会周辺や首相官邸前に街宣車が繰り出され、「安倍は責任をとって辞めろ!」と大きな声でがなり立てる事態が始まりました。

このような中で、財務省は決裁文書改竄という犯罪にどう「落とし前」を付けるか、そういう問題になって行ったようです。
佐川国税庁長官が辞任し、そして国会での証人喚問になっていったのです。佐川氏は書き換え問題に安倍首相や他の閣僚、そして昭惠夫人などの関与はまったく無かったことを証言しました。野党の恐喝のような怒号の中でも、弁護士と相談しながら答弁を行いました。事実、安倍首相や昭惠夫人の関与など無いわけで、脅しに乗って変なことをしゃべると偽証罪になってしまいますからでしょうね。
そして「書き換えたのが誰なのか」「その目的は何だったのか」については調査中を理由に一切しゃべりませんでした。これは財務省内部に対する佐川氏の脅しであると言う方もおられます。
つまり、「自分は知っているけどしゃべらない。だから・・・」という脅しだそうです。

こうして改竄事件は一応落ち着きを取り戻したようです。しかし財務省の緊縮財政と安倍政権の積極財政の対決はまだ終わっていません。
次の戦いは6月の「骨太方針」のなかからプライマリバランスの黒字化という文言を消し去ることが出来るかどうかです。
財務省はこの黒字化で「財政規律を取り戻す」などと言っております。もちろんこんなことをしても財政規律が良くなるわけはありません。ただ消費税増税をしたいだけでしょう。意味もなく・・・

アメリカに新しい経済理論として「シムズ理論」というものが出てきました。プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授が提唱する「物価水準の財政理論」と言うものですが、内容は「ゼロ金利の制約に直面した状況で金融政策が有効性を失う場合」の経済政策は「インフレを生むように意図した追加財政は、将来の増税や歳出削減で賄うことを前提にした通常の財政赤字ではなく、インフレでファイナンスされた財政赤字が必要」と言うものです。

「財政政策の拡大によって意図的にインフレを起こし、債務の一部を増税ではなく物価上昇で相殺させると宣言することで人々のインフレ期待を高める」と言う、アベノミクスが最初に目指した財政政策とほぼ同じものです。

日本の財務省の緊縮財政は、最近では国際金融資本からもIMFからも批判されているということですから、そろそろ財務省も負けを認めたらいかがでしょうか・・・

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