2017年12月24日日曜日

H2Aロケット37号機とは

「しきさい」と名付けられた地球温暖化の高精度予測を目指す気候変動観測衛星と、「つばめ」と名付けられた超低高度衛星技術試験機が、天皇誕生日の快晴の種子島から打ち上げられ、成功しました。

今回の37号機は一発2軌道の面白い改良が加えられました。今回は高度800キロ軌道に「しきさい」を投入し、その後高度を下げて高度400キロ軌道に「つばめ」を投入するという離れ業です。

そのために「しきさい」を投入してから地球周回軌道の慣性飛行に入って、ロケットの向きを変え、逆向きにしてから逆噴射を行い、低軌道に向かって降下していきます。
そして400キロの高度に至ってから「つばめ」を投入すると言う訳です。

Jaxaのネットからは、「しきさい」のエアロゾル観測の説明は出ていますが、超低高度衛星技術試験機の説明はあまり出ておりません。
しかし難しいのはこの超低高度衛星の制御ではないでしょうか。

「しきさい」が採集する情報は、世界の研究者に配信され、さまざまな地球環境の変化を発見することが出来ます。
これまでも多くの地球環境衛星が打ち上げられ、各国の研究者がその情報をもとにして地球温暖化や森林破壊の様子などを警告してきました。
このような研究者に対して、新たなデータを届けるのが「しきさい」の任務のようです。
各国の研究者から、色彩に対する期待のメッセージが寄せられて来ていますね。

「つばめ」には高性能のイオンエンジンが搭載されています。このエンジンの燃料の量が衛星の寿命になるわけですが、低高度ですとまだ空気がありますから摩擦によって速度が落ち、墜落する危険が出てきます。
低高度ですと高高度よりもスピードを早くしないといけませんからね。
そこでエンジンをふかせて速度を維持し、軌道飛行を維持させるわけですが、その燃料がどのくらい必要か、計算値の基になるデータの確保が必要になるわけですね。

この「つばめ」は、地球観測の為の衛星となっていますが、当然世界の軍事施設の監視も可能でしょう。搭載する測定器によって変われるわけです。

無人偵察機グローバルフォークの高度は実用上昇限度で約20キロメートルです。偵察衛星は近地点で160キロメートル、遠地点で230キロメートルです。
「つばめ」は400キロメートルの軌道に投入されてから、次第に高度を落とし、最終的には200キロ当たりの軌道で観測を行います。
少し高度は高いですが、今回の実験で更なる低軌道の偵察衛星の為のデータが得られると思います。

今回の実験で得られたデータを元にして、我が国独自の低高度偵察衛星の開発が始まるのかも知れませんね。
広範囲な偵察が行えるようになるのではないでしょうか。

低高度での衛星による偵察活動は、ミサイルによる攻撃破壊が可能ですから、軍用の場合ですとステルス性能も必要になるはずです。
我が国の衛星が、ミサイル発射の早期警戒や、敵基地攻撃時の情報収集に役立つようにするため、そしてアメリカの情報からも独立し、中共や北朝鮮のミサイルサイトの発見に貢献するならば、防衛上も役立つ衛星となるわけです。

日本国憲法で軍事活動が抑制されていますが、この憲法自体、第二次大戦のような戦争を想定しただけの古いものです。
我が国が侵略戦争を出来ないようにした憲法ですが、ミサイルの時代になって、すでに死文化しております。

ミサイルの発射と、それを早期発見しミサイルで迎撃出来るかどうか・・という戦争の時代になっているのです。
そのために低高度偵察衛星は必要不可欠な技術であるとも言えるのではないでしょうか。

「つばめ」が、今後の我が国の防衛を担う戦力に成長しますように、心から祈念いたします。

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