2017年12月13日水曜日

あれはNHKの勝訴なのか?

12月6日、NHK受信料を巡る訴訟の上告審判決で最高裁の寺田裁判長は、「受信料制度は合理的」と述べ、そして「テレビ設置の月から受信料を支払わなければならないとの条項は、公平を図る上で必要」などとした原告全面敗訴の判決を言い渡しました。

最高裁判所前には裁判前から多くの人が集まり、傍聴券の配布を待っていたと言いますから、相当国民の関心も高かったようです。
この裁判は、メデイア報道研究政策センターの会員が起こした訴訟で、「受信契約を強制する放送法は憲法違反ではないか」という訴えで、対するNHKもこの人の不払いを逆訴訟して、相互が原告であり被告となった裁判です。

判決の前文では、「相互の訴えを却下する」という一言が入っていたようですね。

そして判決の要点をまとめますと・・・
1)NHKとの受信契約を強制する放送法は、憲法に違反しない。
2)受信契約はNHK側からの契約申請通知だけで自動成立はしない。受信者の承諾が必要である。
3)任意に契約を承諾しない受信者には、裁判によって承諾をするよう命令する判決を下すことが出来る。
4)契約はその判決時に成立するが、受信料の支払義務期間はテレビの設置時にまで遡る。
5)受信料の消滅時効は5年だが、事項は契約成立時から進行する。
となります。(メデイア報道研究政策センター・小山和伸教授によるまとめ)

(1)の憲法に違反しない・・は仕方ないでしょう。何しろ憲法が出来た時の電波事情はまだ幼稚であり、高周波はせいぜいレーダーに使うことぐらいしか用途が無かったわけです。
この時点ではラジオだけで、すべての国民はラジオによって情報を得ていました。NHKを国有放送局にしなかったのはGHQの働きのようです。つまり国家に対する批判が出来る状態が望ましと言う訳です。
そこで視聴料を受信設備を持っている人から徴収することを義務付けたわけです。
ラジオの普及とともに受信設備が家庭用ラジオとなり、徴収の範囲が広がって行きます。そしてテレビの時代になって、徴収額が跳ね上がります。皇太子殿下の結婚式でテレビが爆発的に売れ、東京五輪でカラーテレビが普及します。莫大な徴収額がNHKを潤し、そしてNHK放送技術研究所はさらなるテレビ技術を開発し始めます。こんな経緯ですから、憲法に違反しないのは当然ですね。

(2)の契約申請通知とは・・現在は受信機を買うと申請書が付いてくるのでしょうか?それともアンテナを見つけ、その住所にNHKから送付されてくるのでしょうか。受信者が承諾しなければ契約は成立しないと言うことですね。当たり前です。

で、受信者が承諾しない場合について(3)に表記したわけですね。受信者が承諾しない場合はNHKが裁判に訴え、裁判所は受託するよう命令することが出来る・・と言う訳です。
この部分が、メデイア報道研究政策センターが問題視している部分です。受信機を持っていてもNHKを観ない人もいる。そこからも何故取るのか・・ということですね。

(4)は判決後の受信者は判決時ではなくそれ以前の「テレビを設置した時点」からの分も支払えというものです。しかし、いつから設置したのかをどうやって調査するのでしょうか? その方法によってはプライバシーの侵害など、他の法律にひっかかるかも知れません。

(5)については時効問題です。法的に契約に関する時効の扱いはかなり難しいようで、私には解りかねます。
「契約不履行の時の時効に関する法律」を勉強しましょう。弁護士に聞くのも方法ですけど・・

さてメデイア報道研究政策センターでは、受信機を持っているがNHKは見ないという人のために頑張っている一般社団法人です。東京大学の経済学博士で、現在は神奈川大学の教授である小山和伸博士が理事長を務めておられます。

この訴訟も、メデイア報道研究政策センターがバックアップして行われた裁判です。判決は敗訴でした。
このようなアプローチではNHKを落とすのは無理かも知れませんね。法律が変わらない限り法廷論争は不利なのです。法律は変わっていませんが、電波の技術は昔とはまったく違います。若しNHKが暗号放送(スクランブル)にして、受信機側に暗号解読のプログラムを入れて、契約しない人には見られないようにしてくれれば、何の問題もない話しです。これは有料の衛星放送などでは常識的に使われている技術です。

出来るのにやらないで、一種の押し売りをしているのがNHKなのです。しかもこの押し売りには背後に法律というものが付いているわけです。法律が「押し売り」を擁護したのがNHKと言う訳です。そしてこの、たいそう儲かる押し売りを続けたいために、NHKは様々な方便を使ってスクランブルを掛けません。「日本全国にあまねく放送がいきわたるようにする義務を負っている」などと嘯きます。もうそれはかなり昔に達成したのではないでしょうか。

そこでこれを逆手に取る訴訟を起こしたらどうでしょうか・・・

私は2012年の7月にテレビを捨てました。地デジになって我が家のテレビには何も映らなくなったからです。そして同時に受信料の自動引き落としを解除しました。
なぜ新しいテレビを買わなかったかと言うと、当然NHKはスクランブルをかけると思ったからです。それから地デジ対応テレビを買ってもいいと思ったものですから。それに「フェイク番組」を流すNHKに不快な思いをさせられていたこともあります。

しかし未だにNHKはスクランブルをかけていません。そのために私は民放を観ることが出来ないでいます。その精神的苦痛は、NHKによる「不作為」によって引き起こされたものであり、NHKに対して慰謝料を請求します・・・というような論法です。

私は慰謝料請求が法的にどのようなものか知りませんので、このような訴訟が出来るかどうかは判りませんけど・・・

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