2017年11月11日土曜日

トランプ大統領の失望

トランプ大統領の中共訪問で、アメリカと中共は相容れない国家であることが明確になったようです。
故宮での歓迎や、総額約2500億ドル(約28兆円)の商談などを行っても、それが大国の証にはなり得ません。

習政権の考え方は、「あのまま北朝鮮を維持することが最善である」と言うことでしょう。北朝鮮がどんなに無法者国家として残っても、経済力や軍事力が伴なわない限り、それを放置し、アメリカとの間の緩衝地帯として維持したいという基本構造に変わりはないと言う訳です。
これは言い換えれば、中共もまた無法者国家であり、戦争しない代わりに「虐待によって反体制の芽を挫き、中央(現在なら共産党)の下に服従させればいい」とするわけです。

かつて、ナチスドイツがこの手法を取りました。軍事力強化と独裁政権でナチスのもとに反体制の芽を摘みナチスに服従させようとしたわけです。
反体制化していたユダヤを虐待したのも、ユダヤ教がナチスに服従しなかったからではないでしょうか。
同じことを中共が狙っているように見えます。

アメリカ側の提案である人民解放軍の鴨緑江の渡河という戦略は無理と判断せざるを得ないのではないでしょうか。
トランプ政権は、党大会で習近平氏が独裁的権力を牛耳るだろうと見て、その場合は北部戦区の人民解放軍を渡河させ、北部にある北朝鮮核施設を押さえさせ、南からは韓国軍が攻め込む筋書を書いていたようです。
北朝鮮には中共軍が居座るでしょうが、これで北朝鮮問題はいじりやすくなると言う考えで、金一族の独裁を終了させるという考えだったはずです。

しかしここまで譲歩しても習政権は動きませんでした。もしかしたら、ここまで粛清しても江沢民派がまだ権力を握っているのかも知れません。
北部戦区は北朝鮮と接する地域で、まだ江沢民派に押さえられているとしたら、習主席は軍に命令が出来ないことになります。このような背景の事情があるのかもしれませんね。

トランプ大統領は「中共が真剣に取り組めば、(北朝鮮の)問題を解決できる」と常々語ってきました。本当にそう思っていたようです。
しかしそれは今回の米中首脳会談で不可能だと悟ったかも知れません。

トランプ大統領はこの後ASEANの会議に出席します。10日に北京を出発したトランプ大統領は、そのままASEAN参加のためにベトナムのダナンに降り立ちます。
習近平主席もASEANに参加するためにダナンに向かったはずです。

一足先に来ている安倍首相と、習主席との話がどうだったか、トランプ大統領と最初に話し合われるでしょう。
習主席の出方は安倍首相にとっては予想どうりだったのではないでしょうか。
そして、中共の協力が得られないとすると、次の作戦は国連での多数派工作になるかと思います。つまり国連軍を北朝鮮爆撃の後に駐留させるための同意です。

フィリピンのドゥテルテ大統領は、ASEANで記者会見し、南シナ海について「中共の真意を問う」と述べたそうです。

これでASEANでは北朝鮮問題が中共とアメリカの綱引きになる可能性もあります。
11月11日には安倍首相と習主席の会談があり、またその後安倍首相は13日に李克強首相とも会談を行います。
しかし北朝鮮に関しては同調出来ないかも知れませんね。

東シナ海でも習政権と我が国の主張は背反するでしょう。東シナ海の中共側の公船が日本の海上保安庁の船を了解に追い出しているとして世界中にその映像を配信している中共に、世界は「中共が実効支配をしている」と見ているようです。
これをどのような手段で覆すか、安倍政権の手腕が問われます。

また、ドゥテルテ大統領の南シナ海の中共の真意を問われた時、習主席は何と答えるでしょうか。そしてその答えに対しドゥテルテ大統領がどう反応するか、そこにも注目しなければならないでしょう。
なぜなら、その後トランプ大統領はフィリピンに向かい、ドゥテルテ大統領と初会談に望むからです。
習主席の回答によっては、アメリカ嫌いのドゥテルテ大統領が日米側に同調してくるかも知れません。

あそらくベトナムでのASEAN会議は、北朝鮮の問題を掘り下げながら、その実体は米中の綱引きの舞台となるでしょう。

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