2016年9月4日日曜日

交渉の行方は・・安倍・プーチン会談

ロシア極東のウラジオストクで行われた安倍・プーチン会談です。9月の2日と3日でした。
日本側はプーチン氏と良好な個人的関係を持つ安倍首相が、前回5月の会談で示した「新たな発想」に基づくアプローチで停滞する北方領土返還交渉を進展させる狙いで会談に臨むとのことですが、もっと喫緊の課題は対中共対策ではないでしょうか。

日露が平和条約を結び交易を活発化させれば、アメリカ、オーストラリア、インド、そしてロシアで中共を囲い込む形になります。
特にロシアは中共の裏側に居ますから、中共にとってはやりにくい包囲網になります。
だからこそ、中露の関係を良くしようとしてきた習政権ですが、シベリアへの中国人の侵入には我慢できないロシアの本音もあるはずです。

プーチン大統領は、北方領土についてのインタビューで「解決したい」しかし「取引はしない」と述べています。
そして「解決に達するにはよく考えて準備しなければならない」とも語り、合意にはまだ遠いとの認識を示したそうです。
ただ、「現在のロシアと中共の関係のように日露間に高いレベルの信頼ができれば何らかの妥協を見いだすことはできる」と述べたそうですから、経済協力が軌道に乗ったら交渉も可能と言う事かも知れませんね。

安倍首相は、「東方経済フォーラム」全体会合の演説で、「重要な隣国同士であるロシアと日本が今日に至るまで平和条約を締結していないのは異常な事態だ」と指摘し、「このままでは、あと何十年も同じ議論を続けることになってしまう。異常な事態に終止符を打ち、日露の新たな時代をともに切り開いていこう」と述べました。

またプーチン大統領が、「国家発展のため最も重要なのはロシア極東地域の開発だ」と述べたことに対して、安倍首相は「プーチン氏の夢は私の夢でもある。ウラジオストクをユーラシアと太平洋とを結ぶゲートウエー(玄関口)にしよう」と答え、首相が提案した対露経済協力に盛り込まれている極東の産業振興策「アジア太平洋地域に向けた輸出基地化」を暗に示したようです。

さらにプーチン大統領の方から日本との北方領土問題は「解決しなければならない」と述べ、「領土問題で妥協できるという例を日本とロシアが示すことができればいいと考えている」として、「解決策については、どちらかが勝ったとか負けたとか思うようなものであってはならない」などと語っております。
安倍首相は、プーチン大統領と年に一度、定期的にウラジオストクで会談することを提案しました。

東海大学海洋学部教授の山田吉彦氏によりますと、北方領土は現在、歯舞と色丹島のにはロシアのコーストガード(沿岸警備隊)の基地があり、国後島は公共投資だけの見せかけだけの開発が行われているだけ。
択捉島には最大手の建設会社「ギドロストロイ」の帝国となっていて、海産物の缶詰工場などが出来ていて、島の空港や道路、病院などの社会基盤整備が進行しているそうです。

また社長のアレクサンドル・ベルホフスキー氏はロシア連邦議会のサハリン州選出上院議員に選ばれたりしているとか。

そんな択捉島のギドロストロイ社ですが、やはり建設機械とか工場の部品などをモスクワ方面から持ってくることには費用などが掛かりすぎて閉口しており、日本の小松で良いから日本から運びたい・・という本音もあるようです。

また、製造した缶詰とか海産物加工食品は日本に売りたくてしょうがないこともあり、歯車がうまく回れば日本にとってそれほど問題になる企業ではなさそうです。

つまり、国後、歯舞、色丹の3島は返還の準備をしているとも見え、択捉島はギドロストロイ社との取引を活発化させていくしかないようにも見えますね。
また、各島の所属問題ではなく施政権の問題として考える必要もあるようです。
もちろんまだプーチン氏はそんなことはおくびにも出しませんけど。

ロシア側には、例えば3島を返還した場合でも、もしそこにアメリカ軍基地などが出来たり、あるいは自衛隊の基地が出来たりすることを警戒しているようです。
歯舞、色丹のコーストガードの基地は残すと言う条件が付けられるかもしれません。「沖縄」には米軍が居る。北方領土にロシアの基地があっても良いだろう。まして軍事基地ではないのだから・・・と言うわれても言い返す言葉は持ちませんね。

ともかくロシアとの今後の長いお付き合いは、相互疑念の解消から動き出したようですね。

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