2016年9月20日火曜日

グローバリズムとは何だったのか

経済評論家の三橋貴明氏が、自身のメルマガでグローバリストを次のように書いておりました。

もし、貴方がグローバリストで、英語が流暢に話せ、国境や国籍など意識せず、それなりの資産を持ち「どこの国に投資しても、投資利益(配当金・キャピタルゲイン)を獲得できる」立場にいることを想像してみてください。貴方は、日本国に住み続ける必要がありますか。・・

そしてこのような人々をグローバリストと呼ぶのだそうです。

我が国は犯罪が極めて少なく、交通インフラは時刻通りに運行され、清潔で、人々が温和で優しい国ですから、日本に住みたいかもしれませんが、もしグローバリズムの蔓延で所得格差が拡大し、日本国が暮らし難い国になったらどうするでしょうか。グローバリストたちは、単に「他の国」に行くだけの話でしかないそうです。

そして三橋氏は、グローバリストの稼ぐ「所得」とは、モノやサービスの生産により創出されるインカムゲインではなく、特定の企業などにお金を投資し、支払われる配当金や、値上がり益(キャピタルゲイン)が所得なのだと明言します。

さて、このグローバリスト達の活動は、GDPに反映されません。ですからグローバリストが蔓延していくと世界中の国々のGDPが下がってしまいます。GDPが下がるとお金の流通が阻害され、要するにデフレが深化していくのです。お金が強くなり生産と消費のサイクルは阻害され、そして人々が貧乏になります。これこそが戦争の火種とも言えるのではないでしょうか。

このグローバリストの巣窟がウォール街であり、昔はロンドンのシティでした。
現在はウォール街が国際金融の中心であり、ここに世界中の余剰資金が集まってきます。余剰資金とは預金や債券、そして保険、年金も含まれますから、まあ世界中の働く人々の未来への準備金が集まると言ってもいいのではないでしょうか。

インターネットの普及で、ここに若きグローバリストも沢山やってきます。皆がマネーゲームをやるわけですね。そして予想が当たれば莫大なお金が手に入ります。

ウォール街は市場開放を求めます。そしてアメリカの政治家がそれに動かされ、各国に市場開放を求めるわけです。すべてを投資の対象として、資金を動かし市場を支配し、配当やキャピタルゲインを持ち去ります。そのキャピタルゲインが例え日本の老人の年金配当として与えられたとしても、限度と言うものがあるはずです。

短期に利益を追求する企業は、人件費を削り、政治的に法人税を減税させ、強引に純利益を拡大し、自らの配当金を最大化するように働きかけます。
かつての堀江貴文氏などが述べていた「株主の価値向上」というのは、ようするに配当金をもっと出させるための経営介入という意味だったのでしょうね。

この時、「株式会社の持ち主は誰か」という問いかけに株主と言わざるを得ない事情があったわけです。
日本の企業は、江戸時代から続く職人の棟梁がまとめ上げた組織という歴史を持ち、戦後も例えばホンダの本田宗一郎氏のような開発現場からの叩き上げの経営者も居ました。彼らはその企業の利益を次の開発などにほとんど回し、株式配当は株価維持のために行うものと思っていたようですね。
これを「閉鎖的市場」とグローバリスト達が訴えたわけです。

キリスト教文化にとっては、労働は「神の罰」でした。そこから「神に選ばれし者」=労働から解放された者という神話が生まれ、それの実現系がグローバリストという事だったように思います。労働者の上に君臨する神に選ばれし者と言うわけです。
しかし日本の文化は「額に汗して働くことこそお天道様(神様)は喜ぶ」という価値観ですから、全く労働価値観が違います。

キリスト教文化は、カルヴァンの「予定説」(16世紀)によって資本集約が出来るようになり、労働価値観を変えることに成功しましたが、この説を受け入れたのはプロテスタントであり、ローマ・カトリック教会や、東方正教会などでは受け入れられていません。

そこでプロテスタントは、やり難い欧州を捨てて新大陸アメリカへ渡って行ったのです。そして後を追うようにロスチャイルドなどもアメリカに行き、ウォール街を形成していきました。

カルバン主義を信じる者は労働に励み資本を集約し、そして西に向かって開発現場を広げて行ったわけです。インディアンを虐殺しながら・・・
やがて鉄道や自動車が発明されると、やっとウォール街の出番(巨大資本の出番)となって、次第にカトリック的な労働価値観に蹂躙され、それがアメリカを中心としたグローバリストを生み出していったのだと思います。そのためにどれだけのアメリカの若者が戦場に倒れたことでしょうか。

気が付いたアメリカの最下層民が支持した大統領候補がトランプ候補だったわけです。これはアメリカの貧困層が反ウォール街としてトランプ氏を支持しているという事だと思います。

現在、グローバリストは世界を不況に陥れようとしています。中共は、このグローバリストに集まる金を中国共産党に付け替えようと、政治・軍事で努力しているわけですね。

おそらく古代エジプトの太陽神(ラー神)から引き継がれたであろう日本の太陽信仰が、「額に汗して働くことこそお天道様(神様)は喜ぶ」という価値観を生み、天照大神から始まる我が国の価値観の系譜を紡いできました。ヘブライのグローバリスト(神に選ばれし者=労働から解放された者)と言う価値観は全く受け入れられないのが日本文化のはずです。

ヘブライのグローバリストと日本の太陽信仰、その中間にあるアメリカのカルバン主義。そういう見方でもう一度「日米同盟」を見直すことも必要なのではないでしょうか。

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