2015年6月9日火曜日

米中戦争・第2ステージ・・「遮断」

これまで、軟弱だとされてきたオバマ大統領です。しかし遂に北京に対して、そのコネクションの「遮断」に向けて動き始めたようです。

きっかけとして使われたのは「米海外腐敗行為防止法(FCPA)違反容疑の事件」です。ウォールストリート・ジャーナル電子版に出ていたのは、JPモルガン・チェースと王岐山・党中央常務委員とのやり取りした書類などすべての情報の提出を、オバマ政権が求めたことから始まったようです。
そしてアメリカ司法省は、中共側の“贈収賄高官”35人をリストアップしました。今年4月末のことです。

ご承知のように、現在習政権は腐敗撲滅と称して、さまざまな政敵を殺したり刑務所に送ったりしておりますが、その習主席の片腕が王岐山・党中央常務委員と言う人物。その肩書も党中央規律検査委員会書記というものです。

この王岐山氏は、胡錦濤前政権では副首相でした。 2008年、アメリカにリーマン・ショックが起きたとき、当時のポールソン米財務長官に呼ばれて、アメリカ国債の買取りなどの相談に乗った方です。
アメリカに貸を作った彼は、今年中に「金を持ち逃げした党幹部」の調査にアメリカの協力を得ようと訪米する予定でした。
逃亡した不正高官100人の摘発をする「狐狩り」に協力してくれと・・・

ところが、アメリカが行った調査で出てきた35名の中に、その王岐山・党中央常務委員も含まれていたのです。それどころか、高虎城・商務相、党幹部不正捜査担当の公安部長、中国銀行副行長、中信集団など国有企業大手のトップなどがぞろぞろ出てきたのです。
高商務相の場合などは、JPモルガン・チェースに息子が在籍していて、その息子の雇用継続のためならモルガンのために「一肌も二肌も脱ぐ」などと言っていたそうです。

使える金と権力を持ってトップの座に就いた習近平氏。そのポジションで腐敗撲滅を叫んだまではよかったのです。それが中共国内に留まっていれば・・・
しかし政府高官が外貨を持ってアメリカに逃亡したことから話がこじれてきたようです。逃亡先の主権国家アメリカ、その政府に「金を持ち逃げした党幹部」の調査を依頼すれば、当然自分の仲間や近い人物も含まれているのは当然でしょう。
中共国内ならば、権力を使ってもみ消すことは可能でしょうが、その権力はアメリカには及びません。

まして南シナ海や東シナ海で米中は戦争状態に入っている時です。アメリカはそれでなくとも中共から逃げてくる政府高官を受け入れてきたのです。お金を持ってきてくれればそれだけでありがたいわけですね。
しかしそうは言っても、当然「不正が発覚」すれば、その人によるコネクションが遮断されるのは当然です。アメリカは法治国家なのですから。
もたもたしていると対応していたアメリカ側の人物が逮捕されてしまいかねません。

そしてアメリカの習政権つぶしの戦略が動きます。
アメリカ政府の対外宣伝メディア、「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」の中国語版で、反体制派の在米中国人の専門家4人を登場させ、習氏や王氏の不正蓄財取り締まりのいいかげんさを余すところなく語らせたのです。
この番組は中国大陸では受信禁止となっていますが、国外に出ている中国人は自由に視聴できます。
そして瞬く間に国外の中国人社会で評判になってしまいました。
習近平主席のメンツは完全に潰されました。

これがアメリカにとって、幸か不幸かは判りません。しかし結果的に、ワシントンとウォール街の政治・金融複合体と、北京とのパイプを遮断することになってしまいました。
それだけでなく、外国に亡命している反共産主義の民主活動家達を勇気づけたようです。これで亡命政権が出来れば、現在の中共の暴動が、政治革命へと変貌していくかもしれませんね。

アメリカの狙いは、民主中国の成立と中国大陸での自由な金融の流れです。AIIBを潰し、借金大国の中共を潰し、金融で民主中国として再建するということです。もちろんドル経済圏として。

中共は大きくなりすぎました。「大きいことが正しい事」と信じて疑わない華人の大国認識「中華思想」。
南シナ海の不法埋め立てに異議を唱えるベトナムとフィリピンに向かって、「小国は挑発的行動を採るべきではない」などと侮辱したのは、人民解放軍副参謀総長の孫建国・海軍上将でした。

南シナ海で続ける岩礁埋め立てを、「合法で正当かつ合理的活動」などと評価し、南シナ海は「平和で安定している」とまで述べました。
もちろんこれは、アメリカが埋め立ての即時停止や不法な領海設定阻止を強制しようとしていることへの警告だったのでしょう。加害者が被害者を装う華人独特の「正義のすり替え」です。平和を乱すのはアメリカ側だ・・と孫上将は暗に述べているわけです。

ともかく、米中戦争のステージは「遮断」というステージになったと考えられます。あの時の「ハル・ノート」と同じなのかどうか・・・間もなくわかるでしょう。

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