2014年6月29日日曜日

無人機とは自律した機械

アメリカが使っている無人機。偵察機と偵察攻撃機があります。操縦は地上で行い、それは操縦席が地上部隊の中に存在し、飛行機だけが上空を飛ぶシステムです。

考えてみれば、現在の旅客機もほとんどが計器飛行です。たまには有視界飛行を楽しむパイロットもいるようですが、計器と管制で飛んでいるようなもの。
ですから、計器飛行を常として飛べば無人機の操縦と同じはずですね。外界は機外に着けられたセンサーからの信号だけで、その信号が映像の場合もあるでしょう。窓から外を見るのではなく、テレビカメラのようなもので映し出された映像で飛行するわけです。
旅客機の客席で、離陸の様子などをスクリーンで映し出す、あれと同じようなものですね。

ならば操縦席を機外に取り出し、陸上での操縦も電気信号さえ繋がっていれば可能です。そしてそれを可能にしたのが多重化したデジタル通信技術でした。
軍事用通信衛星を経由したデジタル通信は、大量のデータを一瞬にやり取りし、盗聴者に対してはスイッチノイズのように感じる雑音が入るだけです。それが通信であると判っても暗号化しているために解読は不可能です。(それを解読するためにスーパーコンピューターがあるのですが、そのスーパーコンピュータは、それを使っても解読されない暗号であることを検証するために使われているようですね)

ですから無人機と地上操縦席とは、1対1でやり取りしていて、他の同じシステムを用いても盗聴することは不可能でしょう。
無人機とはラジコンの飛行機とは全く違います。搬送波はありません。搬送波があると妨害電波で攪乱されます。

どんなに衛星を使ってもタイムラグはあります。また操縦者が判らない上空での何らかの急変もあります。その場合に備えてある程度の自律航行が出来ないと事故を起こしてしまいます。ですからロボット機能も持っているはずですね。

この度、陸上自衛隊が無人偵察機を作ったとして、その機体を島根県大田市の海岸で公開したそうです。
全長約5メートル、高さ約1メートル、重さ約280キロのヘリコプターで、防衛省が独自開発し、飛行経路は事前にプログラム設定されるが、地上から無線操縦することもできるとか。そして一度離陸したら100キロ以上の飛行が可能という性能だそうです。

災害時に偵察し情報の収集に役立てるということが開発の主旨のようで、軍事的使用は意図していないような発表でした。(もちろん嘘でしょう)

ここで気になるのが「地上から無線操縦することもできる」という点です。わざとぼかしているのかどうか、それは判りませんが、このヘリの操縦席が地上にあり、パイロットは実際のヘリコプターと同様の操作で運行しているのかどうかがはっきりしません。
通信は暗号化されたデジタル通信で行っているのでしょうか?

無人機も含め、近代兵器はその99%がソフトウエア技術の優劣で勝敗が決するようになっています。無人機が墜落してイスラム過激派の手に入っても、ソフトウエアはその直前にすべてが消去されていることでしょう。ですから機体を入手しても何もわからないはずです。

中共は敵国アメリカの無人化部隊を殲滅するために、通信のネックである衛星を破壊する戦略を取ろうとしています。ですから地上から低軌道の衛星をミサイルで爆破する実験などをやって、デブリが増えると世界中から非難されました。

中共がこんな実験を行うから、アメリカの軍事的通信はもっと高軌道の衛星を使うようになったと思われます。それが何故判るかと言うと、中共が宇宙開発と称して独自の宇宙ステーションを作ると言い出したからです。高軌道にある衛星を撃ち落とすには、宇宙空間に出て行って狙うしかないからでしょう。
しかし、そうしたところで、高軌道での衛星への攻撃はそう簡単ではないと思います。

アメリカ軍は今後さらに無人化兵器を開発していくでしょう。ロボット技術はかなり進歩しているはずです。そして衛星を経由するデジタル通信技術も進んでいるはずです。
トンボのような昆虫型偵察テレメーターなどもやがて登場してくると思います。少し前の時代のSF漫画の世界が実現されるような、そんな時代が始まっています。

このような戦略を可能にしているのがソフトウエア技術です。ソフトウエアは長い時間を掛けて積み上げられた技術で、アメリカが最も得意とする技術です。
日本はまったくソフトウエア技術が根付きませんでした。アメリカが日本のソフトウエア技術の発達を阻止してきた事実もありますが、日本人の職人的特性と合わない技術だったことも確かです。(積み重ねていくことが苦手なのです)

現在の我々の生活はほとんどソフトウエア技術の上に乗っかっています。パソコン、スマホ、さまざまなカード決済など、朝起きてから寝るまでにどれほどのソフトウエアに取り囲まれているでしょうか。
そのすべてではありませんが、ほとんどのソフトウエアにアメリカ製のものが含まれています。まして軍用となればブラックボックスと言われるアメリカ制ソフトの塊で作動しています。

今後このアメリカ軍が提供してくるソフトウエアの塊を国産ソフトウエアに置き換えることが出来るのでしょうか?
陸自の無人ヘリコプター開発が、ソフトウエアの国産化を意図した開発の体制構築であるならば良いのですけど・・・

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