2013年7月10日水曜日

北朝鮮と接近、日本の拉致奪還戦略

北朝鮮による拉致の疑いが排除できない失踪者が、現在864人居るということ。北朝鮮政府は相変わらず拉致問題に関しては何も言いませんが、動きは出てきたようですね。
古屋圭司拉致問題担当相がモンゴルのエルベグドルジ大統領の就任式に政府特派大使として出席し、就任式前後に、モンゴル政府要人と会談して安倍晋三首相の親書を手渡し、拉致問題を含む北朝鮮問題などを協議する予定だとか。

モンゴルは、北朝鮮との国交がある国家。そのモンゴル政府に日朝政府間協議の協力を呼びかけるようです。モンゴルは日本に「場所はいつでも貸す」(政府筋)と伝えてきているとのことで、モンゴル政府を仲立ちにして北朝鮮との拉致問題解決に向けた協議を再開しようというものです。

日韓関係が、竹島問題とか慰安婦問題で冷え込む中、朴大統領が中共との接近を図り、反日色を強めています。敵の敵は味方というロジックで考えれば、北朝鮮との交渉を再開するには今がチャンスです。
国連人権理事会で「拉致問題など北朝鮮の人権侵害の実態を把握するための調査委員会設置の決議案」が可決していますし、
朝鮮貿易銀行との取引も停止の措置が取られています。圧力は十分なようですね。

日本が目指すのは「拉致被害者全員の帰国」ですが、そのあとの国交回復時の経済協力も提示していく方針のようです。ただ、拉致被害者全員が帰国した場合、あるいは日本などの調査団を受け入れさせた場合でも、核問題が残っていると、経済支援は出来ないはずです。そんなことをしたらアメリカなどから「日本は拉致問題解決だけでいいのか」と非難されてしまうでしょう。そうなれば中共も韓国も一斉に日本非難を始めるでしょう。そんなことは目に見えております。

しかし、北朝鮮が核を手放すとは思えません。核問題が解決しない限り、日本の経済援助は不可能です。そうすると北朝鮮側は拉致解決に向かうことはしないでしょう。すなわち「竦み状態」となってしまうわけです。

もしかしたらここが日朝会談の肝かも知れませんね。日本側、すなわち古屋圭司拉致問題担当相が、どのように交渉を持っていくか・・・
へたをすると、核開発継続の資金調達の手段として「拉致問題」を利用しようという北朝鮮の思惑が動いているのかも知れません。拉致問題だけを見た交渉ではうまく行かない可能性が大きいようです。

そこでアメリカの北朝鮮の核に対する条件を、日米協議で明確化する必要があるでしょう。
アメリカにとって、北朝鮮の核装備は中共に対する脅しにも使えるカードです。「良好な米中関係」は維持しつつも、アメリカ国内では中共に対する脅威が高まっています。特に太平洋をハワイで分割するとか、太平洋向けの艦隊の創設などが急ピッチで進められている中共に対し、警戒感を強めていることも事実でしょう。
この日米協議は、ここを認識したうえで、朝鮮半島の非核化と核拡散防止という大義を全うする形で、北朝鮮との交渉をどう進めるか、そういう協議になるはずです。

核開発は一種のパンドラの箱で、手持ちの核装備を全て手放したとしても開発の技術情報は残ります。その情報を使えばいつでも再開は可能ということになり、現実的に完全な放棄は不可能です。
ならば中途半端な核開発中断よりもアメリカのコントロール下に置いた核兵器所有に持っていく方が安全であるという説得はいかがでしょうか?(対中抑止として)
もちろんそのためには北朝鮮の民主化(自由資本主義化)が必要になります。

さて、我々が北朝鮮と呼んでいる国家の正式名称は「朝鮮民主主義人民共和国」であることを思い出しましょう。国名の中に民主主義という文言が入っているわけです。(中華人民共和国には民主主義は入っておりません)
そこで北朝鮮は本来、民主主義を目指した国家であることを、北朝鮮政府に再認識させるように、交渉を進めたらいかがでしょうか。(つまりアメリカとの距離を近づけるということで、それが中共と距離を開かせることにも通じます)
そして交渉の中で、「共産党一党独裁は戦争状態における非常時体制である」との見解を引き出すように持っていけないでしょうか。そしてアメリカに対して「戦争状態が終われば北朝鮮は民主化する」ことを暗に告げる形にすると、その後の日米間での北朝鮮問題の協議もやりやすくなりますし、北朝鮮のプライドも傷つかないと思うのですけど。そしてその文脈の中で拉致被害者の早期帰還を求めるわけです。

次に金正恩第一委員長の存続問題です。
北朝鮮はソビエトで共産主義を学び革命を信じた「金日成」という男が、南進してアメリカと戦い38度線のところで停戦にして、ソビエトの世界戦略の都合上作られた国家です。しかしもうそのソビエトはこの世にありません。
その後、世襲により金正日が総書記として最高権力を握り、金正日総書記の死後、再び世襲が繰り返されています。これは共産主義としての鉄則に反した決め方であることは間違いありません。
そしてこれは見方を変えますと、「北朝鮮は共産主義ではない」とも言えます。

そこで国家のトップを世襲で決めるのであれば、政治の実体はその家臣で行うことにして、その家臣の選択を人民による選挙で行うと言う「議員・内閣制」をモデルにしたほうが良いのではないか、ということを提案して見たらどうでしょうか。まあそうすると共和制ではなくなりますけど・・・ともかく民主主義人民共和国なのですから。

このような協議をしながら、日本が経済支援できるような方法を北朝鮮政府とともに極秘で考えていく・・・という戦略が必要なのではないでしょうか?
このような画策をしながら、拉致被害者の帰還を早めていくということなのですけど。

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