2012年3月18日日曜日

「国力とは何か(経済経済ナショナリズムの理論と政策)」を読んで


あの東京大学というサヨク系大学を卒業し、英国エディンバラ大学で博士号を取り経産省の産業構造化の課長補佐を経て、また京都大学というサヨク系の大学の工学研究科で准教授をやっている中野剛志氏が書かれた本、「国力とは何か」を読ませていただきました。

まあ、買って読んだだけですけど、その内容はきわめて感動するものでした。

何に感動したかと言いますと、「経済ナショナリズム」と「国家資本主義(ステートキャピタリズム)」を対立概念であると述べていたからです。
そう考えると、これまでの世界情勢が一気にクリアに見えてきました。なるほどそうだったのか・・と。

中野氏は、まず国家には「ネイション」という概念と「ステート」という概念があり、歴史・伝統という「民族」と深くかかわる社会は「ネイション(ナショナリズム)」を大事にする。これに対して「ステート」は法の精神で国家をまとめようと画策するもので、人為的な国家である、と説きます。そして産業社会になって、この2つはくっつき、ネイション・ステート「国民国家」となって現在に至るそうです。

「ネイション」は「法」以前から国という概念で捉えられ、「おらが邦さは・・」というように自然発生的に出来た集団が大きくなって統治されたもの。
そして中野氏は「経済はこのネイションでなければ決して成長しない」と言い切ります。
なぜなら経済発展には技術的発展が必要であり、「技術的発展はナショナリズムに裏打ちされなければ実現しない」と断じています。

その証拠として、アメリカのGMが経済破綻したとき、アメリカは税金をつぎ込んでこれを救済した。それはGMが単なる自動車企業というだけでなく、アメリカのシンボルだったからであり、シンボルになたのは、かつてその技術がアメリカ国民の誇りであったからだと述べています。

たしかに日本でも一昨年の「はやぶさ」フィーバーはものすごく、昨年後半から何本かの映画まで作られています。日本が誇る技術ということで、日本のナショナリズムが噴出しています。
英国のハリアー戦闘機も垂直離着陸という夢を実現したジェット機で、多くの犠牲者と莫大な費用を掛けても実現させました。
本当の技術開発とは、経済に裏打ちされたものではなく、ナショナリズムに裏打ちされたものであり、それは開発費とか開発時間などの経済問題以前の、別の動機付けにあるものだと言う事です。

中野氏は、「現在の世界的経済危機を克服するには、まずグローバリズムの失敗を認め、経済ナショナリズムを復活させ、それによる技術の発展を各ナショナリズムのもとで実現していくしか方法はない」と述べ、それが正道だと言い切ります。

しかし、最近出てきたのは「国家資本主義」という現象。これは軍事的強国が資本主義に名を借りて弱小国から収奪する構造であり、グローバル化のための構造改革とは、このような収奪システムを指しているというのです。

経済グローバル化が失敗だったことは2008年のリーマンショックによって明確になり、もはやアメリカはそれを口には出しませんが、金融界という貴族だけのために、この「国家資本主義」に傾倒していくアメリカを見て、このままではアメリカは駄目になると直感するそうです。
たしかにアメリカはユナイテッドステーツですが、アメリカンナショナリズムもあるはずです。そこに火をつけて技術的進歩を目指すなら回復が期待出来ますが、、貴族のための収奪システム(TPPなど)に火をつければどうなるか・・・ということです。

中共も国家資本主義の収奪システムを独自に構築しています。恐らく「新中華思想」とでも言うべきものでしょう。そのための軍拡には眼を見張るものがあり、そしてその軍事技術開発にはチャイナ・ナショナリズムとでも言うべきものが芽生えているのも確かなようです。だから恐ろしいのですが・・・

それに比べて日本のナショナリズムはどうなるのでしょうか?小規模ながらも「日の丸」をもったデモ隊が行われるようになりました。しかしまだほとんどの国民が祭日に日の丸を出しません。
日本は「ネイション」が強い国民国家です。そのことを、はやく多くの国民に気が付いて欲しいですね。

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