2020年4月19日日曜日

F2後継、やはり日米共同開発で

国産戦闘機を目指したF2の開発で、アメリカが口を出してF16戦闘機と形状(外見)を同じにするよう指示されて、涙を呑んで同形状にした経緯がありました。(F2はF16より一回り大きいですが)

F16の一つ前のF15戦闘機は、自衛隊が採用することに決まった時、日本の航空機メーカーが生産すると言うことで、ノックダウン生産の契約を取り付けました。
F15もF16もマクドネル・ダグラス社の設計です。後にF16はロッキードマーチン社に移籍しますが。そしてノックダウン生産でもかなり難しいことは技術者なら誰でも知っていること。
(マクドネル・ダグラス社は現在はボーイング社になっています)

F15のノックダウン生産が完成し、三菱重工が試験飛行をする当日、アメリカからも空軍とかダグラス社の立ち合いがあって、その目前で完璧な飛行を見せたのです。
黙って帰って行ったアメリカの技術者たちでした。日本にだけは開発させたくないと思ったことでしょうね。

その後ロッキードマーティン社のF16も導入した自衛隊ですが、「なんとか国産の戦闘機を」という望みは継承され、そしてノックダウンで培った技術でF1という国産の高等練習機が開発され、その後F2戦闘機が開発されて行きました。

三菱は零戦の技術を温存し、戦後も技術研鑚は怠っておりませんでした。ですから1985年当時、ジェット戦闘機の国産化の可能性は「エンジンを除いて国内開発は可能」と言うものでした。

そこでジェットエンジン開発は石川島播磨重工業(IHI)が担当することになったようです。

ロッキードマーチン社は、ずっとレーダーに映らない戦闘機の研究と開発をしておりました。その最初がF22戦闘機でした。
それをさらに進化させたF35マルチロール機にアメリカの戦闘機開発の重点が置かれ、また無人化のステルス偵察機が登場してきます。

2001年9月11日からアメリカの戦争は「テロとの戦い」になったためでしょう。

戦闘機はF35で終わりかも知れません。国際間の戦術アプローチが変わって来たからです。無人ステルス偵察機や無人ステルス攻撃機などが世界の空を常に旋回しながら、危険な人物をピンポイントで殺害することも可能になり始めてきました。

しかし日本のような、常に空域を中共とかロシアに攻め込まれている国家は、スクランブル発信が欠かせません。つまり敵戦闘機に、警告を発信する戦闘機が必用です。

そこで「平成のゼロ戦」として先端技術実証機「心神」を2016年4月22日に飛ばして見せました。
そのデーターを基にしてF3の設計が始まります。
共同開発のパートナーとして最初に手を挙げたのが英国でした。日本政府はアメリカよりも英国の方が日本主導での開発を実現しやすいとみて英国との共同開発を進めようとしていました。

しかし、英国政府も自国の企業に利益をもたらすことを重視し、さらに欧州のほかの国の企業が開発に加わってくる可能性があることが判ってきたのです。そこにアメリカ政府はF35の派生型の開発案を取り下げ、日本主導の共同開発に最大限理解を示す姿勢に転じたのです。

日本政府は昨年度末、アメリカと共同開発を進め、英国とは一部の部品開発などの協力に限定する方向性を確定させました。

つまり英国との共同開発で進んでいた日本政府が、アメリカとの共同開発に踏み切ったのは何と言っても日本主導という「絶対条件」を満たせる可能性が高くなったことでした。実際にどうなるかは判りませんが、現状ではそれが出来る可能性がアメリカの方が英国よりも高いということです。

F2開発を日米共同開発にした時、飛行制御のソフトウエアなどの技術情報をアメリカ側が開示しない(ブラックボックスのまま)一方、日本側の「虎の子」の技術情報を開示することを迫られたといういやな事実がありました。

F22やF35のステルス性能など、アメリカ戦闘機のブラックボックスが、「心神」の集めたデーターでどこまで判るか、日本側が開発の主導権を握るにはまだまだハードルがありますが、我が日本の戦闘機技術の維持と発展、そして航空機技術の進展など、今後を見据えた環境作りの交渉を進めて欲しいものです。

今後はステルス戦闘機や無人偵察機などを発見し迎撃する事の出来るレーダー網の研究と開発など、戦闘機操縦の複雑さも増していきます。

さらにミサイル防衛のための高電力高周波メーザーなどの開発と共に、戦闘機の目的も変わって行きます。
日本の安全保障に欠かせない次期主力戦闘機は、日本主導の共同開発に持って行くよう、願っています。

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