2019年3月26日火曜日

宗教衰退の問題点

産経のコラムに作家の島田裕巳氏が「天皇御親拝ゼロの衝撃」という記事を掲載していました。
「平成の時代は陛下の御親拝が一度もないまま幕を閉じる可能性が高い。これは靖国の存立にかかわる危機である」と言うことで、今年6月に創建150年を迎える靖国神社の存亡の危機だ・・というものです。

「首相の靖国参拝もずっと問題になってきましたが、親拝に比較すれば本来それほど重要なことではありません。なぜなら戦没者の慰霊のための天皇親拝が、靖国神社にとって最も重要な事柄だからです」という島田氏は、最近の国民の宗教離れについても問題視しております。

神道系と仏教系を合わせて、平成の御代に約3千万人が減少したと言うことです。氏子として神道系に数えられると同時に檀家(だんか)として仏教系に数えられる人間も少なくないので、実際の減少数はもっと少ないかも知れませんが、それでも2千万人以上減少していることは間違いないそうです。
そしてこれは日本人全体の5分の1程度が信仰から離れたことを意味し、そのこと自体が何らかの問題を含んでいるはずです。

靖国神社は戦没者を英霊として祀(まつ)っていますが、先の大戦が終わってから74年が過ぎようとしています。参拝者の中には、戦没者の遺族が膨大な数に含まれたわけですが、今や遺族の多くは他界してしまいました。

つまり戦没者の遺族が亡くなるということは、靖国神社に肉親が祀られているために参拝する人の数が大幅に減少することを意味します。
これが靖国神社の存在意義を曖昧なものにすることに結びつくと言うのが島田氏の考えです。

たしかに靖国神社は、明治維新以降に明治天皇によって建立された神社で、維新とそれに伴う内戦の結果、あまりにも多くの将兵が戦死したのに驚き、皇軍の兵士を弔う意味で建立した神社です。

その後、日清・日露、第一次世界大戦、そして大東亜戦争と、我が国の兵士は「天皇の兵士」として世界各地で散って行きました。
彼らも英霊として靖国神社に慰霊することは当たり前ですね。

それでは何故「昭和の陛下」が靖国への御親拝を止めてしまったのか、その理由として様々な憶測が出ております。真実は判りませんが、もしかしたら今上陛下はその意味が判っておられて、ゆえに御親拝なさらなかったのかも知れません。

明治天皇がその戦死者の多さに驚いたのは、いかに近代兵器の殺傷力が大きくなっていたかが判らなかったからも知れません。
黒色火薬から無煙火薬に変わっただけで、殺傷能力は上がります。ニトログリセリンがダイナマイトになっただけで破壊能力も格段に上がります。

アメリカでも英国からの独立戦争の後、南北に割れて南北戦争になってしまった時、その戦死者の多さに驚いたアメリカ政府(北軍)が、アーリントン墓地を作って埋葬・慰霊をしました。
アメリカでも、技術者ではない政治家達には、武器の殺傷能力の高まりには気が付いていなかったようです。

第二次世界大戦となれば、その兵器の殺傷能力は格段に上がり、もはや正義のぶつかる戦いではなく、単なる虐殺合戦になってしまったことは、日本とアメリカの太平洋における戦いで実証されております。

朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争などを戦ってきたアメリカ軍ですが、その残虐なる兵器の登場はむしろ兵士の士気を弱めてきたように思います。
このようなことの中に、昭和の陛下が靖国への御親拝を止めてしまった謎が隠されているかも知れませんね。

しかし、それと靖国神社の衰退とは関係があるとは思いません。そこには宗教の衰退を止めなければならないという別の意味が内包されているからです。

宗教離れは科学と技術の進歩が著しくなり、一般人の想像を絶する技術の成果が出てきたから起きているのかも知れませんね。
科学が解説するものは、最初は人間の直感から出てきています。つまり形而上学的なものだと思うのです。
その後の組み立ては言語と数学を使ったものですから、いわゆる左脳の働きになります。しかし直感とは主に右脳が関与していると思います。

この右脳の働きを活性化しているものが宗教ではないかと思うからです。直観力を失うことは、科学の発展も止まり、技術もお粗末になり、ひいては人類衰退の元凶となるように思うのです。

日本語は右脳と左脳を同時に活性化する珍しい言語で、脳梁が発達する言語だと聞いたことがあります。そしてこのような日本語の根底に神道があるように思うのです。

今後、靖国神社に祭られる人が増えていくことは望みませんが、かといって我が日本の為に戦い散って行った兵士たちを慰霊することが無くなることが良いとは思いません。
そしてそれが宗教離れによるものだとしたら、それは日本衰退を誘発する元凶となり、そして人類衰退の引き金にもなりかねないのではないかと思うのですが・・・

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