2018年5月8日火曜日

首相の中東歴訪

安倍首相は中東歴訪を終えて5月3日に帰国しました。日本が中東に関わるのは、おそらく中東にとっても歓迎することだと思います。
理由は日本がキリスト教国ではないからです。神道という多神教の先進国で、キリスト教国と死に物狂いで戦った歴史を持っております。

5月1日、会談に先立って安倍首相は「経済の繁栄こそが平和の礎となる。長年の友人として、日本ならではのやり方で中東の平和と安定に貢献していく。それをアッバス氏とネタニヤフ氏に伝える」と述べました。

パレスチナのアッバス議長と議長府で会談した安倍首相は、中東和平交渉の再開に向けて「米国の役割が不可欠だ。米国の提案があれば交渉の席に着くのが重要だ」と話しましたが、アッパス議長は「パレスチナにとっては非常に厳しい」との見解を述べたそうです。
つまりキリスト教国・アメリカの介在ではパレスチナ国民を説得できないという意味ではないでしょうか。

安倍首相は「交渉で解決すべきで(日本は)大使館を移すつもりはない」と述べ、さらにイスラエル、パレスチナの共存を目指す「2国家解決」を支持すると述べたそうです。

それから安倍首相はエルサレムの首相府でイスラエルのネタニヤフ首相と会談し、彼にも中東和平交渉の再開を語り掛けましたが、トランプ米大統領が昨年末にエルサレムをイスラエルの首都だとしたことから、どうやら難しいようです。

日本とイスラエルとは経済分野,政治・安全保障分野などですでに緊密な関係を保っています。第二次安倍政権が出来てから、日本からの投資額は約120倍,進出企業数は約3倍になったそうですし、今後も一層加速化させていくことを約束したようです。

さて、国際情勢は宗教関係を知らないとなかなか判りません。
ユダヤ教とイスラム教、そしてキリスト教も同じ旧約聖書を使っております。つまり羊飼いの宗教です。
羊飼いは「一人の人間が生きていくためには何頭の羊が必要か」と言う事を常に考えています。子羊が生まれれば利益であり、死ねば損失ですね。このようなことから生活を組立て、利益拡大の為にはどうしたら良いかを考え続けました。そしてお金を貸すことと、そこから金利を得る事を次第にマスターしていきます。一神教の世界の話です。

ユダヤ教とイスラム教は、この金利がもとで争っています。同じ宗教の同胞からも金利を取るのがユダヤ教で、同胞からは金利を取らないのがイスラム教です。
イスラム教は南の暖かい地方で暮らしておりました。ですから生産活動が出来たのです。そして芸術品などの多くが生み出され、栄華を極めます。

しかしユダヤ教はイスラエル国家を破綻させ北側に追いやられ、放浪の果てにローマ帝国にパラサイトします。
ローマで金貸しとか収税を行っていたユダヤ人たちは、ローマ人から嫌われ者になります。しかしローマの権力と結びつき、大富豪となって行きました。(この頃イエス・キリストがユダヤ人達は間違っているとして説教活動をやりました)
十字軍の頃、イスラム社会から芸術品を盗んだユダヤ人は、それを使って財産を築き上げます。

ローマ帝国が滅び、後継のフランク王国が3つに分割され、イタリア・ドイツ・フランスになってから、ディアスポラ・ユダヤの金持ちは自分たちのお金で芸術家を育て、彼らの才能から生まれる芸術作品を評価して財をさらに膨らませます。
欧州はキリスト教カトリックとか正教会になりますが、ユダヤ教はそのまま継承されます。

イスラム社会はオスマン帝国となって繁栄しておりました。
そしてやがて英国から産業革命が始まります。そこで金融が金融資本として育ち始めます。こうしてイスラムは「同胞からは金利を取らない」というシステムのために近代化が遅れてしまいます。

しかし日本はユダヤ教でもキリスト教国でもイスラム教でもないのに、金融システムを上手く作り近代化をあっという間に成し遂げ、しかも発展しているわけです。
日本国内に居ると解らないようですが、イスラム側から見ると「不思議・日本」という訳ですね。

同じアジアの国でも中共の経済援助は侵略と映ります。しかし日本のODAは本物だと感じているのかも知れません。
イスラエルは「国家を持つ」という心構えを戦前の日本から学んでいます。イスラム諸国もユダヤ教やキリスト教でもない国家が、彼らと同じかあるいはそれ以上に発展していることが不思議なのでしょう。

アッパス議長もネタニヤフ首相も、「アメリカの提案は受け入れがたい」と述べているようです。これはもしかしたら、「日本に頼みたい。何か良い提案は無いか?」という意味かも知れませんね。

中東の安定は、北朝鮮の武器輸出を止める効果もあるのではないでしょうか。そしてそこに日本が介入することで、無神論の中共からの経済進出を押さえる効果もあるかも知れません。

安倍首相の中東訪問は、こうして日本の存在感を中東にアピールすることには成功したようです。

0 件のコメント:

コメントを投稿