2016年5月18日水曜日

いつもの「強烈な不満」表明、中共

相手が下だと見ると、命令領で「・・すべきでない」などと言いまわし、対等と見なす時は「・・も強烈な不満」などという、ステレオタイプの中共の報道官です。

5月14日に発表されたアメリカの「中共の軍事動向に関する年次報告書」について、「強烈な不満」を発表しました。
発表したのは中共の国防省・楊宇軍報道官です。談話の形で発表し、「中共脅威論を誇張し、東・南シナ海における合法的な行動を勝手に歪曲している」とか、「『中共の軍事力は不透明だ』などと陳腐なたわ言を重ね、武器装備や軍事費などを巡って勝手な評論をしている」などと指摘しています。

そしてアメリカが年次報告書の発表で中共との相互信頼を損ねていると主張し、米中関係と両国軍の相互信頼に不利となる言動をやめるよう求めましたが、いったい「相互信頼」などあるのでしょうか。

中共の言う「合法的な行動」の法とは、中共内部でしか通らない法であって、アメリカの日本もそんなものを容認していません。
米中の相互信頼とは、法の下での信頼であって、その法が国際法と中共国内法と異なっていれば、そこに相互信頼などあるわけはないでしょう。
つまり、米中は違う法体系の元にあるわけです。そして2つの法のどちらが有効かは、戦争によって決着をつけるのも一つの方法です。

このようなトラブルを回避するために国際法が遵守されなければならないのですが、中共は国際法を「欧米の作った法」として認めませんし、話し合いなどする気もないでしょうから、トラブル発生は必然です。
「米中両国軍の相互信頼に不利」なのではなくて、中共にとって不利なだけです。
それゆえに「強烈な不満」を感じることは中共の問題であって、国際法を順守する他国には関係ありません。中共のやっていることは、国際法に自国の法をぶつけて戦争状態を作り出しているだけです。
つまり中共は「専制と隷属、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会の一員」とは思えませんね。

そして今度は、中共の外務省の陸慷報道局長が、「沖ノ鳥島は島ではなく岩礁であり、排他的経済水域(EEZ)を主張するのは国連海洋法条約の規定違反だ」と、一種の国際法を取り出して変な主張をしております。

沖ノ鳥島は、1968年に小笠原諸島の返還にともなって日本に管轄権が返還されたものです。その時は4つの島がありましたが、その後2島が風化消滅したため、現在は残っている東児島と北小島に鉄製消波ブロックの設置とコンクリート護岸工事を施し、東児島にはチタン製防護ネットを被せて保護しています。

中共だけが沖ノ鳥島を「岩」だと主張していましたが、2012年に国連の大陸棚限界委員会が沖ノ鳥島の北方など太平洋の4海域約31万平方キロを日本の大陸棚として新たに認める勧告を採択しました。
中共が反対しても、国連で採択されたのですから日本の領土・領海です。

それに対し陸氏は、「自分で国際法に違反しておきながら、サミットを利用して結託し国際法による法治を声高に叫ぶのは、とんでもないことだ(すべきでない)」と非難をしております。
こういう時は国際法を持ち出します。軍隊なき日本に対しては、いつもこのように命令口調ですね。

南シナ海の人工島は岩礁もなかったところを埋め立て、領土主張するのですから、明らかに国際法違反です。こんなことを認めたら、世界中が人工島だらけになってしまいますよ。
そのことを伊勢志摩サミットで日本が提起することは、むしろ当たり前のことですね。

さて、その伊勢志摩サミットで訪日するオバマ大統領は、広島を訪問することを決めたそうです。
アーネスト米大統領報道官は、このことで中韓から警戒論が出ていることを、「大統領は訪問を、批判に直面しても実施するに値する、重要なものだとみなしている。日米関係は優先事項であり、このことを訪問中に明確にする」と述べました。

さらに「大統領に謝罪する意図はない。日米が強力な関係を築いたことが地域や世界にとっていかに重要かを語る」と説明。広島や長崎の被爆者に限らず、第二次大戦で命を落とした全ての犠牲者を追悼することが目的である」とも述べ、韓国が気にする「加害者が被害者になる」心配はないと暗に述べたようです。

そうは言っても、原爆を先制使用し多くの非戦闘員を殺生した国家の70数年後の元首が、その被災地に来て祈りをささげれば、どう見ても「その行為に対する反省」と見なされても致し方ないでしょう。
「批判されても実施するに値する」と述べたオバマ大統領の心中は、本当に核兵器撤廃を求める人々の代表者という認識もあるのでしょうね。

「第二次大戦で命を落とした全犠牲者の追悼のため」であるとか、原爆投下が戦争終結を早めたという「原爆投下正当化論」なども、すでに破綻している議論です。
昭和天皇が大東亜戦争終結を決めたのは「ソビエトが参戦してきたから」であって、原爆については「よく調べよ」と述べただけと言うことです。

すでにアメリカでも、30代よりも若い世代には、あの原爆投下は「やりすぎだった」という意見が増えているそうです。インターネットの時代は、もう昔とは違うのです。
オバマ大統領の広島訪問は5月27日と言うことですが、そのあとどのような談話を発表するか、そしてそれについて中共がまた「強烈な不満」を言うのかどうか・・・

まもなく判りますね。

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