2016年3月30日水曜日

消費税10%延期か、安倍首相の決断

産経ニュースに、平成29年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを安倍首相が見送る方針を固めたとの記事が出ておりました。

平成26年11月に、増税を27年10月から29年4月に延期することを決めた上で衆院を解散した安倍首相です。その時財務省との約束で「29年4月の増税は無条件増税だ」としておりました。この時安倍首相は、「リーマンショックのような外国からの危機でも来ない限り、再延期はしないとの発言があったことは覚えていますね。

首相は、「世界経済の収縮が実際に起こっていること。そして平成26年の消費税率8%への引き上げで個人消費が落ち込んだまま、(財務省の予想に反して)戻らないこと」を判断の理由としております。
今月に行われた「国際金融経済分析会合」の中で、プリンストン大のポール・クルーグマン名誉教授やコロンビア大のジョセフ・スティグリッツ教授の発言、「28年はリーマン・ショック後で最悪だった27年より弱くなる」という危機的状態を、「世界経済の収縮が実際に起こっている」と判断されたのでしょう。

この判断は、ハイエクを基礎とする新自由主義経済派に対して、ケインズ学派の逆襲という側面を持っています。
お金を絶対視し、その上で経済の運転を自由社会に放任するというハイエクの理論には、貧富差を大きくしてやがてにっちもさっちも行かなくなってしまうという欠点がありました。
貨幣価値が高くなるために、流通障害を引き起こすからです。その結果、未来を見失った国民たちが、「悪いのは外国だ!」という声に乗せられて戦争を引き起こしていたのが第二次世界大戦までの経緯だったはずです。

この障害を、通貨の政府発行と言う形で乗り切ろうとしたのが、最初は日本の高橋是清であり、次がナチス・ドイツのヒットラーだったわけですね。
高橋是清は、通貨大発行の結果としてインフレ傾向が強くなってきたので、引き締めに回りました。それが軍部の予算削減も引き締め対象にしたものですから、軍部の反発を買います。さまざまな憶測が飛び交う中で、誰がそそのかしたのか、若い将校たちが立ち上がって2.26事件を起こしてしまったことは有名です。この事件で経済の天才「高橋是清」は殺害されてしまいます。

ナチス・ドイツのヒットラーは、インフレ回避を外国への進出(インフラを輸出したかったのでしょう)で切り抜けようとしました。今の中共のようにです。(通貨はすでに大量発行されていましたからね)
その結果、ソビエト連邦との軋轢が決定的となり、そこに英国やらフランスやらの連合国(ドイツへの差別意識もあって)が絡んで第二次世界大戦になってしまったのです。

ルーズベルト大統領は、ニューディール計画が議会の反対でとん挫し、親ソ連と言うこともあって、英国のチャーチルからのSOSもあって、日本を経済封鎖して真珠湾を誘発、そして第二次世界大戦に参戦していきます。(フーバー回顧録では、「ナチスとソビエトの両共産主義国を戦わしておけばよかったのに」とルーズベルトの政策の失敗を指摘しています)

このように戦争が、「回復しないデフレーション」から始まることはどうやら間違いなさそうです。

さて、20世紀当初にロスチャイルドの領主が、「各国の主権と政治には興味が無い。しかし欲しいのは通貨発行権だ。これを私(つまりユダヤ金融)だけに渡して欲しい」などと述べていました。
ロスチャイルドは英国ではシティを作り、アメリカではウォール街を作ります。
お金の本質を知っていて、通貨発行権だけで世界征服が可能であることを熟知した発言ですね。しかし、これが通貨の力を大きくしてしまい、故にデフレを促進し、貧富差の拡大をたらすわけです。
「貧乏なのは自己責任」というのは、ハイエクを基にした新自由主義者がよく使うフレーズですが、お金持ちと貧乏人を固定化してしまう副作用があります。「トリクルダウン」などという騙し文句を考えたり、「自由は自己責任の基にある」などというフレーズも得意ですね。

この通貨発行権の一極化を実際に行ってしまったのが「ユーロ」です。その結果欧州は取り返しのつかないデフレとなって、各国の格差は広がるばかり。そこにシリアの移民が押し寄せているのですから、もはや自滅と同じような状態になって行くのではないでしょうか。

この事態を見たケインズ学派が勢い付くのも当然です。「そらみろ、言ったとおりだ」と言う訳で、マクロ経済学の権威が今月「国際金融経済分析会合」に乗り込んできて、スティグリッツ教授やポール・クルーグマン名誉教授の発言になったものと思われます。

ケインズ学派は、お金を絶対視しません。お金も相対的なものであると考えます。ですから物やサービスとお金の取引状態を監視しながら、常にお金が流通するように仕掛ける手段を考えます。それが「経済成長」というインフレ傾向主義なのです。

長い間、お金を権力者の発行にゆだねてきた世界の国々は、インフレで痛い目には合っていても、デフレのことはよく判りませんでした。ですから「中央銀行制度」や「税率の運用」などはインフレ対策であってデフレには逆効果なのです。
産業が発展してもなかなかデフレのことが判らず、不景気を外国のせいにして戦争となり、多くの命が失われてきました。このデフレ対策こそ、ケインズが展開した「通貨発行と公共投資」なのです。
通貨を発行しても、それが銀行から出ていかなければ意味がありません。そこで政府が国債を現金化して公共投資に使い、市中に流してインフレ傾向を作り、景気が良くなってさらに加熱して来たら公共投資を中止し、税率を上げるなどの抑制処置(市中からのお金の回収)を取る・・というわけです。

これですと物価は常に上昇傾向になりますから、流通障害は起きません。プールされたお金(お金持ち)は時間とともに目減りしていきますから、貧富差の是正は常に行われることになります。
これを嫌うのがお金持ち、つまり欧州の貴族たちなのです。彼らによって新自由主義が跋扈した時代、ついにユーロなるものまで作ってしまったのですね。

財務省は自らが「通貨の番人」と言っています。これが新自由主義に染まっておりますから、デフレ策ばかりを言う訳です。安倍政権で日銀と政府の直接取引、つまり国債の現金化が可能になったわけですから、あとは耐用年数を過ぎた橋や道路に公共投資を行い、この手法で今後30年ほどの計画(例えば日本強靭化計画)などを発案し実施していけば良いのですよ。

消費税10%を据え置いたうえで公共投資を「国債の現金化」で行えば、税収が上がり福祉予算もきっと増えることでしょう・・・

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