2015年9月2日水曜日

次期大統領候補、ドナルド・トランプ氏

来年11月に向けたアメリカの大統領選挙が盛り上がっています。共和党に現れた「ドナルド・トランプ氏」がアメリカの本音を的確に言い表し始めたからでしょう。

不動産で財を成したトランプ氏です。ビジネスでの成功者ですが、決して順風満帆だったわけではなく、1990年代の不動産ブームの収束では、子会社のいくつかを経営破綻させるとか、サブプライムの破綻でも社債の利子の支払い不能に陥るなど経営難に陥っています。

若いころはいかにも青年実業家と言った風で、1989年には「トランプボードゲーム」というゲームなども開発して販売しています。
任天堂のマリオブラザースが最初に出来たのが1985年ですから、それに刺激されたのかも知れませんね。
トランプと言うと日本ではあのトランプカードのことを思い浮かべますが、アメリカでは「カードゲーム」ですからアメリカ人はそうは思っていないでしょう。(トランプとは英語では切り札と言う意味があるようですけど・・)

このゲームの後も色々なビジネスに手を出して、成功したり失敗したりしています。彼を有名にしたのは「The Apprentice(見習い)」というテレビ番組でした。
これはリアリティ番組というもので、現実に起こっている予測不可能で困難な状況にいかに対処するかという「演技や台本ややらせのない出演者の行動をカメラが追う形式のテレビ番組」と言うことです。
ここでトランプ氏は「You\'re fired!(お前は首だ!)」という決め台詞を流行させ、知名度を高めます。
日本では「鶴瓶の『家族に乾杯』」などという番組が近いのかとも思いますが、あれはバラエティ番組と位置付けられていますね。

テレビ番組で知名度を高め、不動産業で成功し始め、1990年代後半からの好景気に乗って奇跡的な復活と、アメリカのトップ企業400社にランクインするなど、「アメリカの不動産王」としての地位を固めました。

共和党を支持し、2012年にはミット・ロムニー候補を支持しています。今回は共和党の誰も支持を示さず、自身が候補者として名乗りを上げたと言うわけです。(かなり自己顕示欲が強いと言われています)

彼の語る言葉は、アメリカ国民の本音とも言えるものではないでしょうか?

日本に対して、「日米同盟? アメリカには日本を守る義務があって、日本にはアメリカを守る義務がない・・そんな同盟なんて、同盟じゃない・・・」とか、ジョン・マケイン上院議員に対して「敵に捕まったからヒーロー?俺は捕まらない人間の方が好きだね」などと、実に明快な言動を繰り返します。

メキシコ移民に対しては 「麻薬や犯罪を持ち込み、婦女暴行犯だ」と語り、中共に対しては「米国の雇用と金を奪っている」と批判して、「中共は何年もオバマ大統領を馬鹿にしてきた。何とかしないといけない」と述べるなど、間違いなくこれらの発言はアメリカ国民の本音ではないでしょうか。

保守のように見えても、社会のリベラル化には賛成のようで、共和党の「小さな政府」には反対のようです。トランプ氏の出馬理由として、「共和党内のふがいない穏健なエスタブリッシュメント(主流派)」に対する反動と考えられるとか。
「彼の演説は激怒、皮肉、侮辱に満ちているが、自分の言葉で話している」などと言うのが、有権者の評価のようです。

現在のトランプ氏は、世論調査でトランプ氏は23%であり支持率ではトップに立ち、2位のベン・カーソン氏に13ポイントの大差をつけています。

元神経外科医のベン・カーソン氏とかテッド・クルーズ上院議員、リック・サントラム元上院議員のが共和党の候補者を支持している有権者は、同時にトランプ氏に共感を感じているようです。
もし、この3名が撤退すれば、トランプ氏はさらに多くの有権者を集めることが出来ると言うことです。

候補者が絞られていく過程で、トランプ氏はジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事とかマルコ・ルビオ上院議員などと対決していくことになります。
次第に今までのような「有権者をくすぐる」だけの演説ではなく、きちんとした今後のアメリカの政策を打ち出さなければなりません。

トランプ氏は政治的には素人です。経営者としての手腕がすごくても、所詮はミクロ経済の発想ではないでしょうか。
政治、特に大統領ともなれば「マクロ経済」が理解出来なくてはなりません。つまりお金を発行させたり、回収させたりすることの出来る立場になります。

国家の借金がどうあろうと、それは数字に過ぎません。問題はいかにGDPを上げるかであり、国力を付けながら社会保障に耐えられる経済の循環を作らなければならないのです。
社会保障の中の最も重要な部分が安全保障ですね。

今回の大統領選挙のスタートは、どうも中共非難から始まるようです。しかし、他国の非難よりも自国の経済政策をしっかりしないと、多くの国民が苦しむことになります。
マクロ経済の見地から経済を考えれば、ウォール街の金融筋などに騙されることはありません。

常にウォール街はお金の価値が高くなることを望んでいるだけです。しかし経済を成長させること、つまりGDPを上昇させることとは、言ってみればお金の価値を下げることになります。

お金の価値を下げれば、税金に頼らなくても相対的に借金を減らすことも出来るわけです。やりすぎればインフレになりますが、その時は引き締めればいいだけです。

トランプ氏には、ぜひこのような着眼点を持って、討論を盛り上げてほしいものですね。

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