2014年8月30日土曜日

甦る日本の航空機

「永遠のゼロ」という小説を読むと、アメリカがいかにゼロ戦を恐れていたかが判りますが、それゆえに敗戦後連合国によって日本の航空機の開発や製造が禁止されてしまったことも事実です。

アメリカが自動車なら良いだろうとして、わざわざ中古の「エンジン工作機械」などを日本に売渡し、日産自動車などに作り方まで教えてくれたそうです。
この時、日本軍の戦闘機とか潜水艦の調査をしていた、ある軍事技術系の博士が、「日本にそこまで教えたら、やがて日本はアメリカにとって最強の競争相手になるぞ!」と述べ、日本には一切の工業技術を教えないほうが良いと言っていた・・という話を思い出します。

間違いなく、戦後日本に解放した民生品の開発では40年ほどでアメリカに追いつき、さらに高度技術が採用された家電製品は、アメリカの製品を凌いでしまいました。
だからこそ、軍事用と区別のつかない航空機の開発だけは、いつまでも禁止されたままだったのです。

しかし、民生用に磨かれた高度技術の各種部品は、民生用であることで数量が多く、ゆえに安くなることもあって、アメリカが開発する航空機の部品としても有効で、やがて必要不可欠な部品になっていったわけです。

21世紀になって、ホンダ自動車がジェット機をアメリカの工場で作り始めました。アメリカで圧倒的に人気のあるホンダイズムなのです。ホンダのファンはそのジェット機を待望し、こうして日本の航空機技術が復活を始めたのです。
それに先立って、三菱重工の子会社、三菱航空機も100人クラスのジェット旅客機の開発に着手しました。

技術者というものは面白いもので、言葉が通じなくても、作られたものを見れば相手の考え方や努力が判り、そして尊敬と同時にそれ以上の開発へ向けた闘争意欲が湧いてくるものです。
日本とアメリカはそういう意味で良きライバルであり、技術の高度化を競う相手として不足はないわけです。
航空機についても、いつまでも禁止しておくより、解禁して競い合ったほうが得策という考え方がアメリカに出てきたのでしょうか。

メーカー関係者は、「日本が100人以上の旅客機に手を伸ばせば、ボーイング社やエアバス社は確実に潰しに来る」と述べておりますが、それは営業面のこと。
技術者はまた壮絶な開発戦を始める事でしょう。

航空機の開発には、型式証明などのさまざまな審査基準があります。これらの基準は欧米いよって作られています。そして三菱など、日本勢が航空機を作るとなった時、その基準が一段と厳しくされたそうです。
相変わらずの「いじめ」に似た行為ですが、そんなものに負けてはいられませんね。

100人以下のクラスの飛行機となると、アメリカではなく中共などの新興国の安い飛行機との競争になります。
東京大学の鈴木真二・航空宇宙工学教授によりますと、「今後、航空機には高度な自動化がさらに求められる。こうした技術は産官学が連携して日本が先導すべき領域だ。我が国は低コスト競争に振り回されるのではなく、付加価値での勝負すべき」と言うことです。

自動化も良いですが、それ以上の付加価値としてジェットエンジンとロケットエンジンのハイブリッド化はいかがでしょうか。
三菱重工にはH2ロケットのエンジン技術もあります。基礎は出来ていますから、これを航空機用に使えるように小型軽量で燃料消費の少ない設計が出来るはずです。

先の大戦では、巨艦巨砲主義になって航空機を作らなかった失敗に加えて、アメリカが開発したターボプロップによって飛行高度を上げられてしまったことが敗戦の原因だったように記憶します。
ですから今度は、空気が希薄でターボジェットエンジンでも飛べない高高度領域をロケットエンジンを併用して飛ばす技術の開発などが目標として考えられませんか?

将来は、このような航空機からミサイルならぬ衛星打ち上げの固形燃料ロケットを飛ばすことも出来るでしょうし、さらに進めて宇宙から地球帰還を行うシステムとしても有効な技術の開発まで持っていけるように思います。
そして、このような技術は航空機だけでなく兵器にも転用可能であることはだれでも判ります。その性能を見せることで、結構抑止効果が出ると思うのですけどね。

このような未来へと向かう技術立国の政策も必要でしょう。そして再び我が国の大学の工学部が活況を呈することを望むのですけど・・・

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