2013年11月28日木曜日

CTBTの特定精度が4倍向上

CTBTとは包括的核実験禁止条約のことです。どっかの国が核実験を行うと、それがすぐに発表されるのは、このCTBTが世界中に設置している放射性物質の検出システムがあるからで、各国の地震計などの情報も包括しているようです。

この精度が、これまでより4倍の高精度になったということが、CTBT機構準備委員会から発表されました。
日本が約6千万円を拠出してコンピューターの能力を約20倍に増強し、制度を高めたということです。

このシステムは、核実験だけでなく原発事故に対しても有効で、放射性物質の拡散を予測する時間も最大20分の1に短縮でき、住民の迅速な避難にも役立つそうです。

例えば北朝鮮が核実験を行った場合、放射性物質の放出源の領域をこれまでの4分の1の約2500平方キロに絞り込めるそうですし、どこかで原発事故が発生した場合には放射性物質の拡散範囲や濃度の予測の精度を64倍にまで高めることができるということです。

軍事的な安全保障もさることながら、このような不本意な核実験とか自然災害から派生する原発事故などに対して、信頼できる情報が迅速に発信できることも世界的な安全保障として必要なことではないでしょうか?

第二次世界大戦が終結して、その後各国が核実験を繰り返すようになり、それを禁止することを目的とした「包括的核実験禁止条約」の設立は困難を極めました。
東西冷戦構造が出来上がってきて、世界は自由主義国家と社会主義国家の対立となり、敵側の核は抑止したいが自国側の核は容認させたいという思惑が入り込んで、この条約はなかなかまとまりませんでした。

現在は世界で182カ国が署名しております。しかしながら批准した国家は157カ国で、朝鮮民主主義人民共和国、インド、パキスタンの3か国は署名しておりません。
イスラエル、イラン、エジプト、中華人民共和国、そしてアメリカの5カ国は署名はしましたが批准はしていないということです。(ロシアは批准しているようです)

CTBTでは地下核実験までは禁止しましたが、臨界前核実験は容認しております。ですからアメリカとロシアは臨界前核実験は繰り返し行えるわけです。このことから、CTBTは既に技術の蓄積がある核保有国にとってのみ有利な条約と指摘されてもいるそうです。

このような背景から、CTBTはいまだ発効されてはおりません。この効力が発行されていない条約にお金を出した日本の目的は何なのでしょうか?
主要国はほとんど背を向けている条約で、まったく無視しているか、署名はしたが批准はしていない小さな国家は、「将来は核保有」の夢を持っているいるように思われます。

核兵器はもはや既得権になっています。核保有国が世界戦略を決めているような誤解があるからです。
「核さえ持っていれば攻撃されない」という誤解もあるでしょう。
核の恐怖は、アメリカの国策として冷戦時代に世界に流布されました。ビキニ諸島で超大型の熱核爆発を行って世界を仰天させた時代もありました。しかしやがて核爆弾の大型化競争に意味を感じなくなった強国は、核戦争のあとの放射能の恐怖で冷戦構造を作っていったわけです。
ハリウッドだけでなく、日本も一役買ったのが「ゴジラ」という映画だったと思います。

この恐怖は、第3次世界大戦の防止には役立ったようですが、同時に反原発という意識も作りだしました。
放射能神話が本物なら、ビキニ諸島には現在は奇形化した昆虫や魚がうようよ居ることになりますが、現実にはそんなことはありません。(もっともここは島ですからね。砂漠は残留放射が長時間残ります)

「日本も核武装」という意見があります。たしかに核武装することは技術的には簡単でしょう。これが難しいのは国際社会に対する交渉です。そういう意味で日本の核武装は不可能に近いように思います。
そして核兵器の安全保証能力は次第に薄れているようにも思います。

CTBTに日本が拠出した金額は約6千万円です。きわめて少ない金額ですね。それによって監視能力が4倍になったのですから、ここにもっとお金を入れて核兵器の無力化を考えたらどうでしょうか?
核ミサイルの発射探知能力の劇的向上と、世界ネットで配備された迎撃ミサイルと、衛星からの投下ミサイル(CTBT機構所有監視衛星のミサイル)などで完全に撃ち落とせるように持っていけないものでしょうか?

核保有の既得権から、CTBTの大義へと世界を動かしていくことを日本の戦略とした方が核武装よりも大和的(やまと的)ではないでしょうか?

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