2011年9月4日日曜日

リチュウムイオン電池、世界出荷量で韓国勢がトップ

テクノ・システム・リサーチの調査で、この4~6月に世界へ集荷されたリチュウムイオン電池の量が、始めて日本が抜かれて韓国が首位になったそうです。
日本メーカーのシェアの合計33・7%に対し、韓国メーカーは42・6%。だいぶ差を付けられましたね。
この調査、2008年から行われているそうですが、日本が2位に転落したのは始めてだそうです。

なぜこうなったのか、理由は簡単でしょう。東日本大震災で製造工場は被災したことに加え、円高の進行、対する韓国はウォン安で価格差が生まれ、韓国側が輸出を伸ばしたということです。

そしてこの調査対象になっているリチュウムイオン電池はパソコンや携帯電話向けのもの。電気自動車の電池は含まれておりません。
もっとも電気自動車用のリチュウムイオン電池は「オートモーティブエナジーサプライ社(AESC)」が製造するもの。
このAES社は、日本の神奈川県座間市広野台にあり、日産とNECが共同出資して作った会社です。
そして同工場が、アメリカのテネシー州メンフィスの日産工場跡地に大規模な工場として建設されているはず。
この電池、ユニット一つが3.8キロという製品です。
48ユニットを一塊として、蓄電能力は24kWhもある大電力電池です。
EVはまだ黎明期ですが、今後のエネルギーが自然エネルギーに移行すれば電池需要はかなりのビッグビジネスになるはず。原子力発電から自然エネルギーに移行する段取りの一つがスマートグリッドという電力相場制ネットワークです。
このためのリチュウムイオン電池が、このテクノ・システム・リサーチの調査には入っておりません。

日本のリサーチ会社とかマスコミなどの経済評論を見ていますと、現状の販売流通に乗っかっている商品の調査だけで、これから開発されるであろう技術についてはほとんど触れられておりません。
このリチュウムイオン電池も、ソニーが長時間かけてパソコン、携帯電話などに利用できるまでに完成度を上げてきたもの。決してサムソンなどが開発した製品ではないことも考慮しなければいけないのではないでしょうか?
このような技術開発基盤があるから、日産とNECの大電力電池も可能になったわけです。

一方、量子ドットの研究も日本で進んでいます。
パナソニック研究所では、10nmのトランジスタが開発されていて、メモリーの容量が再び飛躍的に増大する可能性も出てきております。
切手サイズのメモリーでテラ(ギガの千倍)という単位の容量が得られるとか。
さらにこの量子ドット加工技術は、太陽電池の効率を飛躍的に増大させるための基礎技術でもあります。もし、この太陽電池が完成すれば、一般家庭での発電が重要なエネルギー発生源となり、電気代の課金システムもスマートグリッドでなければ不可能になってくるはずです。
原発を減少させる(無しには出来ませんけど)基礎技術であり、エネルギーの世界戦略も大きく変わるというしろもの。
勿論リチュウムイオン電池は必須アイテムですけどね。

このような基礎研究も注視した経済分析を、ぜひ行って欲しいものですね。こういう開発が可能な社会こそが自由主義の価値なのですよ。「怨念国家」とか「汚職と喝あげ国家」にはできないはずです。
現状の商品流通だけの経済指標では、投資の対象の絞込みすら間違ってしまいます。リチュウムイオン電池も2008年から指標に登場したもので、それまではまったく見えませんでした。
ニッカド電池などはその時、投資対象から外れたわけです。

このような基礎研究も意識してこそ、投資の健全性が担保されるわけで、商品流通だけで右往左往するのは単なる我欲の発露というだけではないでしょうか・・・
同時に政治とか軍事の動向も、何らかの基礎技術が完成した時点で大きく変わる可能性もあるわけですからね。

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