2010年8月14日土曜日

宇宙開発、Jaxaの頑張り

6月、「はやぶさ」をみごとに地球に帰還させたJaxa。
覚めるのも早い日本のフィーバーでしたが、これだけの故障を起こし、しかも計測史上始めての大きさの太陽フレアにさらされ、そして予定を大幅に遅れても諦めることなく地球に帰還させた衛星操縦の技術が、半端なものではないことは判りますね。

このJaxaに世界中の期待が集まってきたようです。
現在、経済的に苦しいアメリカ。そしてスペースシャトルの来年2月の中止という事態を受けて、現在国際宇宙ステーション(ISS)はピンチに立たされています。
かろうじてロシアのソユーズがつなぎの搬送を行っていく予定ですが、少ないペイロードが辛いところです。そしてロシア経済もそれほど好調ではありません。
欧州もアリアン(ペイロード10トン)を飛ばすことは出来ますが、最も経済的疲弊が進んでいるところ。
そして一見経済が良さそうに見える中共は、当然ISSの加盟国ではありません。(中共政府から加盟への打診が2007年になされたようですが、ISSグループからは受け入れられなかったようですね。)

こういうことから日本に期待が集まってきたのでしょう。
昨年9月、ペイロードを大幅の増やしたH-IIBロケットによって、大型に改良したHTV(無人補給機)で物資の搬入を行いました。
このHTVは大型バスの大きさを持ち、6トンの物資をISSに搬入できる能力を持っています。このペーロードなら人間数人をステーションまであげることは造作もないでしょう。
リフトである日立のH-IIBは、安定した打ち上げが出来て安全性は抜群のようです。

しかし日本にはまだ未経験の問題があります。地球帰還の技術です。大気圏再突入の際発生する3000度以上の温度。そこを潜り抜けて人間を無事地上に戻す技術は、打ち上げ以上に難しいようです。
現在のHTVは、ISSに上げた後、ISS内部の不要物を積み込み、大気圏再突入によって焼却処分する箱になっているわけですね。これでは人間は乗せられません。
そこで現在、ISSからの物資回収を可能とする「HTV-R」の開発計画を発表しました。文部科学省の宇宙開発委員会に報告し、来年度概算要求に盛り込む方針ということです。(仕分けされないように関係者には頑張ってもらいたいですね。)

「HTV-R」計画では、大型バス程度の大きさはHTVと変わらないものとして、そのなかに1.6トンの帰還物資を積載できる帰還カプセルを搭載するということ。
帰還カプセルは、HTV-RがISSから離され、帰途についたあと切り離され、大気圏再突入後パラシュートを開き落下、海上で回収するというもの。
スペースシャトルのように再利用するものではなく、使い捨てのカプセルのようですが、概算見積もりでは数百億円とか。
このくらいのところから始めて、将来の有人飛行に繋げていくというのがJaxaの計画のようです。

打ち上げは平成28年度とのことですから、これから約6年後になるようです。それまではロシアのソユーズだけがISSの唯一の交通機関。ですから国際的な期待が高まるのも仕方の無いことでしょうね。

しかし、Jaxaの話では「厳しい財政状況の下、現状ではHTV-Rの打ち上げは、今後10年間で1基が精いっぱい」だとか。何とか経済をもっと好調にして、宇宙の民間需要を促進し、年間1基くらいのペースで運用してもらいたいものですね。
そして宇宙を、ビジネスと軍事(軍事でなければ未知の領域に踏み出せない)の領域にすれば、その後の進展は急激に早まるでしょう。

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