2021年5月5日水曜日

アメリカ議会の対中新法案

競争ではなく戦争ではないかとも思える情勢の中で書かれた法案が4月8日にアメリカ上院外交委員会で公表されました。

「2021戦略的競争法」と銘打ったこの法律は、対中共との戦争ではなく競争としています。

これは民主・共和を超えた超党派によって作られた法案で、この審査が4月14日に審議され、21日に下院を賛成21対反対1で可決し、上院でも可決したようです。

283頁に渡るこの法案は、目次を設けて章立てされ、ページ当たりの文字数が少なく脚注も少ないので容易に読める様になっているそうです。
冒頭に「中共に関する問題に対処するため、アメリカ上院でメネンデスが次の法案を提出した」と書かれ、「決議」の第一章には、この法律は「2021年の戦略的競争法」として引用される場合がある・・と書かれて目次が続くそうです。

第二章は「結論」として結論が先に書かれているようです。第三省は「定義」、第四章は「政策の声明」であり、第五章は「構成のルール」、第六章はⅠからⅤまであり、次のようになっているようです。

Ⅰ 競争力のある未来への投資
Ⅱ アライアンスとパートナーシップへの投資
Ⅲ 我々の価値観への投資
Ⅳ 経済的国政術への投資
Ⅴ 戦略的安全保障の確保

そしてⅠの下には、

A 科学と技術
B グローバルインフラストラクチャー開発
C デジタルテクノロジーと接続性
D 中国共産党の影響に対抗する

と続き、Ⅱには、

A 戦略的および外交的事項
B 国際安全保障問題
C 中共に対抗するための地域戦略

と続いて、Cには、Part1「西半球」、Part2「大西洋両岸同盟」、Part3「南アジア・中央アジア、Part4「アフリカ」、Part5「中東・北アフリカ」、Part6「北極圏」、Part7「オセアニア」と続くそうです。

第二章の「結論」の(1)には「中共は、政治、外交、経済、軍事、技術、イデオロギーを用い、米国とほぼ同等の戦略的でグローバルな競争相手になりつつあり、これら分野で中共が追求する政策は、米国、パートナーや世界の他の多くの地域の利益と価値観に反している」と書かれています。

台湾については(19)に書かれ、「中共はあらゆる手段を通じて台湾統一を強制的に求めており、習は19年1月、中共は『必要なあらゆるオプションを留保し、武力の行使を放棄することを約束しない』と語った。第一列島線における台湾の支配的な戦略的地位を活用し、第二列島線以降に勢力を伸ばそうとしている」と述べております。

南シナ海には(20)で触れています。「中共は、航行と交易の自由な流れを脅かし、環境を棄損して、PLAの戦力投入力を強め、他の権利主張者を強要・脅迫する違法な建設を行ったとし、習は15年9月、南シナ海を軍事化していないと述べたのに、17年の第19回党大会で『南シナ海の島々とサンゴ礁における建設は着実に進展している』と発表した」と非難しています。

第六章のⅢに香港とウイグルについて書かれて、「香港での民主主義の促進のための予算承認、新疆ウイグル自治区での強制労働に関連する制裁、新疆ウイグル自治区での組織的レイプ、強制流産、強制不妊手術や非自発的避妊に関する制裁」に言及しています。

だからどうする・・については第四章の「政策の声明」に書かれており「中共との戦略的競争を追求する上で、以下の目的の追求が米国の政策である」として20項目が挙げられています。

1は「米国の世界的な指導的役割は維持されており、その政治システムと国力の主要な基盤は、中国との長期的な政治的、経済的、技術的、軍事的競争に向けて準備されている」と述べられ、
2には「インド太平洋の勢力は引き続き米国と同盟国に有利」とされて、3,4で「同盟国・パートナーの連携の優位性」、そして5,6で「米国が、主権、法の支配、個人の自由、人権などを原則とした自由で開かれた国際秩序を主導し、維持している」としております。

7では「開かれた民主的な社会を破壊すること、グローバル市場を歪めること、国際貿易システムを操作すること、経済的軍事的手段を介して他国を強制し、または技術的利点を利用して個人の自由または他国のセキュリティ上の利益を損なうことを中国共産党に行わせない」としています。

10には「アメリカが今後、次世代電気通信、AI、量子コンピューティング、半導体、バイオなど技術革新を確実にリードするか」について書かれ、11から13には「民間、市民社会、大学他の学術機関、州と地方の立法者らが、CCPの影響リスクを特定し、警戒を怠らないようにする」としています。

全体的には「利益が一致する場合、中国と協力する」などとバイデン政権の弱腰も見えているようですが、追加法案として公務に携わる者の「北京五輪ボイコット」を命令し、中共への強烈な打撃を与える様にしたとか。

あとは「台湾の国家承認」などがあれば、戦争ということになる可能性は高いようです。
このままバイデン政権の「何もしない4年間」を経て、再び共和党の強烈な反中政権が誕生すれば、中共は崩壊するかも知れませんね。

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