2018年11月6日火曜日

大丈夫か、水道民営化

今、我が国の水道事業が危機に直面しています。各自治体の施設は老朽化し、耐震化に送れていている上に経営基盤が脆弱、そして施設更新のための備えもありません。
現在、水道事業は都道府県が主体となって営んできました。しかしこの状態で今後は必要な人材を確保することも難しく、遂に民営化のための「水道法改正案」が今国会で成立を目指して政府・与党が動き出しました。

政府が打ち出したのは「コンセッション方式」です。これは、ある特定の地理的範囲や事業範囲において、事業者が免許や契約によって独占的な営業権を与えられた上で行われる事業の方式です。
これには住民の抵抗が根強いそうですね。

新潟県議会は,「住民の福祉とはかけ離れた施策である。国民の生命と生活に欠かせない水道事業は民営化になじまない」として野党系が水道法改正に反対する意見書を提出、それに与党自民党が賛成しているそうです。

外国で水道事業を民営化して失敗した例は多いそうです。アメリカのアトランタ州では、1999年に民間が水道の運営権を取得したものの、水道施設の維持費がかさんで水質が悪化し、4年後に再び公営に戻されたという現実があります。

また、南アフリカでは民営化後、料金高騰で支払えない約1千万人が水道を止められ、汚染した河川の水を使いコレラが蔓延してしまった事件もあったとか。
ボリビアでは料金が高騰し暴動が発生したそうです。

この15年間を見て、30カ国以上で水道事業が民営化され、そして失敗し再公営化されているそうです。

政府は「人口減少で料金収入が減少するとともに、事業を担う人材も不足する」という理由を掲げていますが、他のものとは違って水道は命に直結する問題だとと思います。
それに人口減少は地方から都市部への人口の偏りであって、地方の出産率が下がってしまったからではないでしょうか。

都会の水道料金を値上げして、過疎の地方の水道施設の拡充にあてるなど、各都道府県の水道局だけに任せるのではなく国家としての取り組みを願いたいものです。
消費税のアップよりも切実な問題で、消費税を後回しにしてもいいから、ぜひ検討して欲しいですね。

都市の水道を少々高くしても、どうせ飲料水はペットボトルの水を買っているくらいですから影響は小さいように思います。
都会への人口集中に歯止めがかかるかも知れませんしね。
飲食店など、大量に水を使用するところには、使用量に応じて減額申請を認め、社会的影響が大きいと判断した場合には値下げすればいいのではないでしょうか。

民営化とは、民間事業化であって、民間事業ならば「利益が出なければ経営出来ません」。利益を出すために技術開発が行われ、効率的な運営がなされ、施設更新がなされるのです。

それには競走原理が働かなければなりません。しかし水道は町中や道路の下に配管し、水を送る販売方式です。そこに複数の企業が配管して価格競争をさせることは出来ませんね。
ですから「コンセッション方式」にするのでしょうが、これは単に水道の既得権を民間に与えるだけで、一種の独占事業化してしまいます。
運営がうまく出来なくて既得権を取り上げ、別の事業者に渡しても結果は同じだと思います。結局最終的には公営に戻るだけではないでしょうか。

民営となれば、料金は上げ放題(ペットボトルの価格くらいまで上げられます)、耐震工事などするわけもなく、震災が来れば被災復興は国の責任として押し付けて来るだけのように思います。

もし外国の企業に買われたらますますその危険性は高くなります。「ODAを止めたら水道を止める」くらいのことは言い出しかねません。

我が国の水道は天水です。取水先は河川であり地下水ではありません。水道用のダムから都会などに配管によって販売します。
このダムの維持費を民間企業が出せるのでしょうか。河川のダムは底に砂が溜まりますから浚渫工事を常に行わなければなりませんし、雨水の状況によっては放流したりする管理も必要です。
渇水の時は他のダムから回すなど、自然の驚異に対して柔軟に対応することも求められます。

どう考えても、これを民営化することが良い方法だとは思えません。水道料金を値上げしても公営で対処すべきではないでしょうか。

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