2015年3月26日木曜日

AIIBとADB

AIIBは中共主導で設立されるアジアインフラ投資銀行のこと、ADBは日本や米国が主導するアジア開発銀行のこと。

そのAIIBに英国が参加を表明しました。中共は喜び、アメリカはショックを受けます。
すぐにオバマ政権は英国を強く批判しました。日米主導の世界銀行やアジア開発銀行の対抗馬としてAIIBの影響力が強まるからです。
オバマ政権は、「事実上、米国に相談はなかった」として「中共への融和的な態度が続く傾向を警戒している。新しい強国と関係を持つうえで最善の方法とはいえない」などと言っております。

しかしそのことを考慮したからこその参加表明で、いわばオバマ・アメリカを牽制しているわけです。英国はアメリカへの弁解として、「AIIBで、中共が拒否権を持たないとしたこと」を挙げています。
今までは、AIIBをめぐって中共が拒否権を持ち、中共の影響力拡大の手段として運営されるのではないかと言う懸念が出ていました。それは払拭されたと言うことでしょう。

今月に入って、英仏独伊が相次いでAIIBへの参加を決めた理由は、中共が拒否権を握らない方針を示したことがあったもようだと言うことです。
本当かどうかは判りません。約束など常に保護にしている華人なのですからね。
AIIBの運営構造はまだ協議中だそうです。中共は拒否権は持たなくても、主要な意思決定に関して有利な立場を確保しようとしているようです。

AIIBに参加を表明した国家は、現在31か国です。ADBへの参加国は48か国でまだ少し多いですが、今後英連邦の各国が参加を表明することも考えられます。カナダとかオーストラリア、ニュージーランドも参加するかもしれません。台湾も参加表明をしました。

アメリカは、表向きには「AIIBが嫌いなわけではない」と述べています。しかしAIIBへの参加はこのままでは難しいのでしょうか・・・。
「AIIBはインフラなどへの開発支援の際に、環境への悪影響の防止などの基準を設ける必要がある」として、環境問題などで高い基準を設けるよう主張しました。
このまま中共主導でインフラ整備をやられたら、世界中が北京のような公害都市になってしまうと言うわけです。

しかし中共はAIIBの融資基準などを世銀やアジア開銀より緩やかにするように働きかけるつもりのようです。そして「世銀やアジア開銀が、環境への影響の査定などに長い時間をかけること」に対する途上国の不満を利用して、「スピード感ある融資の決定」を売りにするようです。

英国の参加表明を受けて、アメリカも参加を考慮するでしょう。だから「環境への悪影響の防止」などの条件を言い始めたとも考えられます。ADBとAIIBと、その両方に参加を表明する可能性があります。
日本は参加すべきではないでしょうね。日本の融資は「八紘一宇」というマクロ経済の立場からのものであり、AIIBは恐らく「金融投資」というミクロ経済の立場からの融資になるはずです。

習政権は経済破綻の崖っぷちにあり、「反腐敗運動」を急激に進めたことから官僚のサボタージュに合っています。
武力を使って強権的に官僚を攻めたてれば、政府機能はマヒしてしまうでしょうし、緩めれば反腐敗運動は骨抜きになって、さらなる腐敗が進むだけでしょう。
おそらくこのことを知っていて、英国などは参加を決めたように思います。つまりAIIBの資金に中共の資金を使い、その後に中共の内紛を起こさせる計画にも見えるのです。アメリカもこのような計画が見えてくれば参加表明はやぶさかでないはずです。

習の中共が今後さらに経済的に追い詰められたら、必ず人民解放軍の「日本攻め」を画策するでしょう。対する日本は「その戦いを回避不能だろう」と思っているはずです。
極東で戦争が起きても欧州は関係ないことと、それゆえに中共の足が引っ張られ、その隙にAIIBの実効支配を奪取できると考えているのかも知れません。

習主席は、今年1月から2月にかけての大学教育のあり方に関する論争で、「西側の価値観を伝播(でんぱ)させるようなテキストが大学教育で使用されることは絶対許せない」と語っております。
彼の言う「西洋の価値観」とは何でしょうか? 国際海洋法などで尖閣奪取がうまく行かない苛つきから出た発言のようですが、金融価値観も西洋のものであることをお忘れなきように願いたいですね。

西洋の価値観をご都合主義で取捨選択しても、それは欧米には通用しません。これがAIIBでどのように表面化するでしょうか?
楽しみでもありますね・・・・

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