2013年4月21日日曜日

我が国のエネルギー革命、シェールガスは意味があるか


アメリカがシェールガスの輸出を解禁するということです。その輸出先は日本。
低価格で確保できるエネルギーとして、日本での期待が高まっているとか。特に東京電力は、調達するLNGの半分に相当する約1千万トンをシェールガスなど安価なガスに置き換える方針を固めているそうです。

千葉県富津市にある富津火力発電所では、アメリカのシェールガス輸出解禁を受けて、今後10年間で総額400億円を投じ、液化天然ガス(LNG)タンクを増設する計画が出来ていると言うことです。
日本政策投資銀行の試算では、このシェールガスによって平成34年にはLNGの平均調達価格が6・8%下がるそうです。
また、我が国の足元を見て価格を吊り上げるロシアのガスなどに対して、価格引下げ交渉を行うための絶好の材料になるわけで、値下げ交渉に成功すればLNGの調達価格は最大15・2%の引き下げも可能とか。

原子力発電が止まって、火力発電が主流になってしまった日本の電力事情。そこをつけ込まれた石油ガスエネルギーの価格高騰。
エネルギー資源を外国に頼らざるを得ない我が国にとって、安いエネルギー資源の確保は最優先の課題です。

しかし、アメリカが日本のためにガスを輸出するわけでもなく、国内のガス需要の低下によって価格も低迷し、ガス需要のある国へ輸出することで、価格維持をしようと考えているようです。
それでも、GMXリソーシズ社などの倒産などガス価格低迷の影響で採掘も出来なくなっている状況も出始めているとか。
このまま採掘会社が無くなっていけば、やがては価格が上がるのは必定。エネルギー関係のエコノミストは「米国内の天然ガス価格は来年には4~5ドル程度まで、将来的にはさらに高値になる可能性がある」などと予想しております。

我が国の事情も同じです。オイルシェールガスが安値で輸入されれば、エネルギー価格が値下がりして、せっかく国内で盛り上がってきたメタンハイドレートの開発にも影響が出るでしょう。
太平洋側で掘削するメタンハイドレートガスと、日本海側で吸引採掘されそうなメタンハイドレートガスという、我が国の悲願である国内産出エネルギーの期待が、頓挫してしまうかもしれない問題もあります。

経済合理性だけで考えれば、アメリカからの輸入ガスの方が安ければ、それが相場となってメタンハイドレートの採算性が阻害されてしまいます。
そして、我が国は再び外国のエネルギーに頼る国家に成り下がってしまいます。

我が国にとって、新たな可能性を秘めているメタンハイドレート。そしてその後に続くであろう「量子ドット型太陽光発電」。
これらは経済面よりも「安全保障」の面が強いエネルギー開発と考えられるのではないでしょうか?
むしろそのような位置づけで考えるべきでしょう。「エネルギー安全保障」ということです。

同時に、省エネ開発も手を緩めるわけには行きません。
情報機器とか高効率発光ダイオード、そして高効率モーターなどに使用するレアアースが、日本国内の海底から採取可能ということもあって、今後日本の電気エネルギーの効率が上がり、相対的に安くなっていくことが考えられます。
このエネルギー革命、すなわち省エネの方の研究も進めなければなりませんね。

先ほど読んだ新聞記事の中にも、京都大学の高松研究員を核とする研究チームが、「作動中のリチウムイオン電池の電極断面を、エックス線を使って観察しながら、電極上で起きるている化学反応を調べるという技術が開発された」というものがありました。
そしてそれを使って、「電極の断面上で還元反応が起こり、イオンの出入りを妨げていること」を突き止めたと言うことです。

ひとつひとつの研究は微々たるものです。しかし、絶え間なく積み重ねることによって、あるとき突然に社会を変える発見、発明がなされることも事実です。
最近、経済成長でのし上がってきた国家は、このような積みあがった研究の成果だけを日本から持っていって経済成長をしました。
しかしこのような国家はその後が続きません。生み出された莫大な利益は、そのほとんどが軍事開発と賄賂で消えているようです。

我が国は、利益や名声に惑わされること無く、少しづつ研究成果を積み重ねていくことを「良し」とする文化を持っています。

我が国のエネルギー革命は、このような文化背景、価値観から生まれるべきですね。
オイルシェールガスも、やがては尽きる有限のエネルギーであることは間違いないのですから・・・

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