2016年6月1日水曜日

消費増税10%は、延期2年半

安倍首相が消費税10%を2年半先送りすることを政権幹部に伝えました。サミットを終えて、各国首脳と経済最優先の約束をしたばかりですから、当然のことですね。

この件に関して、野党である日本の民進党・枝野幹事長は、「首相は内閣総辞職すべきだ」と述べました。その理由は、「前回引き延ばしたとき、首相は『確実に消費税を引き上げる』と大見えを切っていた。恥ずかしくて首相を続けられないはずだ」ということだそうです。

また、福山哲郎幹事長代理は「国民に謝罪し、アベノミクスは失敗だったとまず認めることだ。予算委員会や党首討論を即座に開き、国民に説明するべきだ」などとつぶやいているそうです。

自民党の政権内部、麻生財務相は「再延期なら衆院解散が必要だ。信を問わなければ筋が通らぬ」などと主張し、それに谷垣幹事長も追随したそうです。
安倍首相は「熊本大震災の復旧もまだなのに、ここで衆参同時選挙などは出来ない」と突っぱねたそうですが、それにしても何故増税延期で解散しなければならないのか、不思議な発想ですね。

2014年11月に2015年10月の消費税10%先送りの時は、まだ財務省が陰険な抵抗を示していましたし、安倍政権の基盤も弱く、解散によって財務省を黙らせ政権基盤を強くする必要があったわけです。しかし今回は世界経済の牽引という大儀があり、国民への信を問うことは参議院選挙だけで十分だとも言えます。

また、安倍首相はマクロ経済をかなり理解しておられるようですし、経済は生き物であり、税率と財政出動、そして通貨政策などは状況に合わせてフレキシブルに運営しなければ国家経済など運営できない時代になっていることも十分に理解しているはずです。

増税の先送りで福祉財源が不足し、ゆえに国民に信を問わなければならないなどと言う財務相の考えは、「増税=税収アップ」という単純な考えから発していると思われます。
しかし、増税すれば税収は減少することが消費税の常識です。物価が高くなるのですから、消費欲が縮小してしまうのは当然ですよね。

8%増税の時、財務省は消費欲などすぐに回復すると言っておりました。しかしそれがそうはならなかったのです。
「アベノミクスは失敗だった」として、野党は安倍内閣に責任があるようにしようとしておりますが、これこそが消費増税の失敗であることの証明なのです。
アベノミクスでやっと少しだけ景気回復が動き出したとき、財務省が「景気は回復した」などと嘯いて消費税8%を実施してしまったことが原因ですからね。
つまり野党は「アベノミクスの失敗」として安倍内閣を追及したいのでしょうけど、実際は財務省の失敗であって、攻めるべきは財務省なのですね。

アベノミクス再発動によって財政支出が増えれば、景気は浮上します。もちろん財政赤字は膨らみますが、現在は国債を日銀が買い入れておりますから、数字上の問題だけで国債価格に影響など出ないでしょう。
むしろ日銀の国債買い入れによって生まれたマイナス金利などという異常事態が解消されるはずですね。

財政出動による景気刺激策で景気回復が確実になされるなら、間違いなく税収は上がります。しばらくは財政赤字が膨らみ続けるでしょうが、やがて民間の投資欲も出てきて、そうなれば財政支出しなくても銀行からお金が出ていきますから、税収は黒字になるはずです。プライマリバランスの回復ですね。その状態を続ければ、やがて政府の借金は無くなるでしょう。
このような傾向が早すぎて、インフレ懸念が出てきたときの調整機能として消費増税があるわけです。10%への増税はその時のために取っておく方が良いのではないでしょうか。

この後の問題は、アベノミクスでどのような未来構想をもとに財政出動を行うかが問われることになるでしょう。昔の(20世紀の)経済成長の時は、高速道路や新幹線がありました。
それによって自動車産業が勢いをつけ、また新幹線は日本のビジネス環境を変えていきました。
だから経済成長が達成されたのです。しかし再び同じことをやっても効果はあまり期待できません。高速道路の改修や延長は、もはや当たり前の国家事業であって経済成長を促進する投資ではなくなっております。

軍事関係は長いこと我が国がサボってきた分野ですし、裾野の広い分野です。中共の脅威は現実的ですし、アメリカの新大統領は日本から米軍を引き上げるかも知れません。
ですから新兵器の開発などは新たな投資先として有望ですね。

自動運転の自動車が注目されております。技術的な問題だけでなく、道路行政の在り方や交通法規や保険の掛け方などにも影響を及ぼしますから、景気刺激策としては有望ではないでしょうか。

新兵器にしても自動運転にしても、これらの技術はロボット技術に集約されています。かつてはアニメーション・ファンタジーだったロボットの技術は、すでにスペースX社の回収型ロケットや、失敗続きでも果敢に挑戦しているグーグルの自動運転車、人間と会話できる介護ロボットなど、リアルな社会インフラになりつつあるのです。

2045年問題(人工知能が人類を超える)が取りざたされていますが、それは「キリスト教世界」だけのことではないでしょうか。つまり人間を奴隷として使うことの出来る発想を持てる者が、ロボットからの復讐の恐怖を感じる感性を醸成しているような、そんな気がします。

今後は新兵器に使われるロボット技術が、民間の商品に転嫁されていくでしょう。それは我々の生活環境を変えて、より人間らしく生きていける世界が展開されるはずです。(「やまと」的な発想が必要なのですね)

アベノミクスによる国費の投資先は、このような未来へ向けた投資であるべきではないでしょうか。

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