2014年5月4日日曜日

安倍首相の欧州歴訪、収穫は?

4月30日から欧州のドイツ、英国、ポルトガル、スペイン、フランス、ベルギーを訪問している安倍首相です。

もちろん目的はウクライナの件でのロシア制裁の温度差を見極める旅ということです。最初の訪問地ドイツでは知日派で知られる保守系与党、キリスト教民主・社会同盟のカウダー院内総務と会談し、「首相が欧州歴訪の最初にドイツを訪問したのは日本のドイツ外交重視の表れであり、両国は国際社会で協力を深めるべきだ」などと日独の連携強化が話されましたが、肝心のウクライナ情勢に対してドイツがどう動くかは判ったのでしょうか?

ドイツにおける中共の影響を弱めるために、東シナ海の「力による現状の変更」を認めない発言を繰り返しましたが、この記事が新聞に掲載された時、同じ紙面に中共の完成間近かのキリスト教教会がブルトーザーで破壊される写真が掲載されていたとか。効果抜群だったようです。

ドイツ訪問で、原発再稼働を仄めかした安倍首相は、次の訪問地「英国」で原発再稼働を進める方針を明言しました。
ロンドンの金融街シティーでの講演で、日本の経済成長には安定的で安いエネルギー供給の実現が不可欠とし「世界のどこにも劣らないレベルの厳しい安全基準を満たした原発を慎重な手順を踏んで再稼働させる」と表明し、そして英国と協力し合って技術開発に取り組むことを発表したようです。

安倍首相はその後ポルトガル訪問のため英国を離れましたが、木原稔防衛大臣政務官が2日にロンドンの国際戦略研究所で講演し、「尖閣諸島の領有権を今後も中共が主張し続けるのであれば、オランダ・ハーグの国際司法裁判所(ICJ)に提訴するしかないだろう」との個人的見解を述べたということです。
これは、4月25日に岸田外相が「日本から中共を相手に国際司法裁判所へ提訴する必要はない。尖閣は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土だ。領有権問題は存在しない」と述べたことに付け加えるような意味なのでしょう。
さらに木原政務官は、尖閣諸島については「歴史的にも、国際法上も日本の領土だ」と表明し、そして「戦争による問題の解決はあり得ない」と訴えたと言うことです。
人民解放軍が中共内部で政治的発言を増している習政権の現実を考慮した、日中戦争への懸念を意識した発言とも取れますね。

さて、安倍首相はポルトガルでペドロ・マヌエル・マメーデ・パッソス・コエーリョ首相と会談します。ポルトガル訪問の目的は、ポルトガル語文化圏に対する日本の影響力を高めることです。
今でもポルトガル語を公用語とする国家は多く、約2億2千万人が公用語とする世界第7位の言語だそうですね。
日系移民の多いブラジルなどもポルトガル語が公用語になっていますし、アフリカ南部のアンゴラやモザンビークなどの資源国もポルトガル語です。
カトリック国家の多くがポルトガル語を使っていることもあり、現在でもポルトガル語諸国共同体(CPLP)という協力関係を保っております。

日本との関係は1577年(織田信長が台頭した頃)から続いていて、大航海時代の先駆者であり、もちろん植民地支配の先駆者でもあるポルトガル。
全世界に広大な植民地を獲得したポルトガルでしたが、国力の限界を越えた拡張とインド洋の香料貿易の衰退によって16世紀後半から徐々に衰退し、一時はスペイン・ハプスブルク朝併合となっていたこともありました。

ともかく国際社会を熟成してきた大国ポルトガルは、1910年10月5日にブラガンサ朝を倒した革命で現在の共和国になりました。

それからも幾多の戦争とクーデターが繰り返され、植民地支配と脱植民地の闘争が繰り返され、1974年の無血革命(カーネーション革命)によって新憲法が制定され、民主主義が定着し、現在は社会民主党のアニーバル・アントーニオ・カヴァコ・シルヴァ氏が大統領を務め、同じく社会民主党のペドロ・マヌエル・マメーデ・パッソス・コエーリョ氏が首相を務めています。

英国とは1373年以来の同盟国であり、英葡永久同盟条約が現在も有効だとか。そして植民地であったブラジルとも文化的、経済的、政治的な関係を強く保っているという国家で、隣国スペインとの間にはオリベンサという地域の領有権を巡る領土問題も持っています。(1801年以降ずっと)
また、ポルトガルとスペインを統一すべきであるとのイベリズモ思想も、永きにわたって存在するとか。

安倍首相のポルトガル訪問で、日中対立とか日韓対立、そして日露問題、ウクライナ問題、さらに日米同盟などにも、何らかの新しい流れのヒントになるものが見つかるかも知れません。
歴史を持つ国家には、それなりの存在感と国家間の在り方の知恵があるわけですからね。

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