2020年7月3日金曜日

香港国家安全法の衝撃

6月30日に全人代常務委員会で可決され、その日の午後11時をもって施行され、その後その法律の全文が公開されました。

それは聞きしに勝る悪法であり、総則と全体は矛盾しており、外国にいる外国人や組織にまで適用するというものでした。
これは「もはや法律の体をなしていない」という人も居るようです。

そして翌日の7月1日、香港でデモに参加していた人が「香港独立」と書かれた旗を所持していた、という理由で逮捕されました。逮捕者は370人に上ったそうです。

この法律らしきものは4つの部分から出来ています。「国家分裂」「国家政権転覆」「テロ行為」「外国または域外勢力との結託による国家安全危害」の4つです。
そして主犯や重大な罪については最高無期懲役から10年以上の懲役。軽くても3年以下の懲役か刑事拘留、管制とよばれる、青少年に対する感化院入りやボランティアや社会労働を通じての更生が行われるそうです。

さらに「国家分裂」と言う部分は「香港および中共その他の地域」も範疇に入るとしていますから、香港と中共の分離を主張する言動だけでなく、ウイグル、チベット、台湾の独立や中共との分離に関する言動も「武力を使用する、あるいは使用すると恫喝する、しないにかかわらず」犯罪とみなされるとか。つまりどこに居てもどこの国民であっても犯罪者になり、武力を持って犯罪者摘発・制裁をするわけです。(アメリカの無人機による暗殺などを想定しているのかも知れませんね)

「外国勢力との結託による国家安全危害」は第29条に書かれているそうです。そこには「外国、外国の機関、組織、その人員のために国家の秘密または国家の安全に関する情報を盗み、探り、買収されて違法に提供すること、外国もしくは外国の機関、団体もしくは個人にその行為を依頼した者、外国もしくは外国の機関、組織、その人員と共謀してその行為を行うこと、外国もしくは外国の機関、組織、人員から直接もしくは間接に指示、コントロール、資金その他の援助を受けて、以下の行為を行うことは、犯罪である」とややこしく書いてあります。

要するに今まで中共が、台湾や日本そしてアメリカなどで行ってきた行為を思い起こせば、「それは犯罪である」と言っているに過ぎません。自らが「犯罪国家」であると言っているようなものですね。

第38条には、外国人が外国で、香港住民に中共や香港政府への憎悪を募らせる言動をした場合もこの法律が適用されると言う意味のことが書かれています。適用場所は飛行機、船舶上にも及ぶとか。

逮捕された被疑者への捜査、扱いは「行政長官の承認を得て、国家安全に対する犯罪の実行に関与していると合理的に疑われる者の通信の傍受および秘密の監視を行う」となっています。
そして裁判内容が国家機密に関わる場合は、裁判は公にされず、メディアも入れない秘密裁判となっています。

中共の中央政府が香港に設立する国家安全維持公署(国安公署)の機能などの説明では、「国家安全犯罪を法に基づき処理すること」となっていて、中共当局が香港内で執法行為を堂々と行えるようになっているとか。つまりこれで一国二制度は完全に葬り去られたことになります。

ダメ押しのように「中共の最高人民検察院が関連する検察機関を指定して検察権を行使し、最高人民法院が関連する裁判省を指定して司法権を行使する」と書いていますから、被疑者を中共に送致して、中共の法律で中共の検察と司法が裁くことになるのでしょう。

ここまで馬鹿にされた英中共同宣言の「踏みにじり」に対して、英国は約300万人の香港市民を対象に英国への移住を認める方針を明らかにしました。
ジョンソン首相は「国家安全法の施行は中英共同宣言に対する明白かつ深刻な違反だ」と述べ、「香港の高度な自治を侵害し、香港基本法と対立するものだ」と批判しています。

現在、対中非武力戦争中のアメリカはこの「国安法」の施工に対して、これによる香港人の自由に弾圧を加えた者に対し、「アメリカへの入国を拒否する」人権法を準備します。
弾圧に関与した人物のリストを180日以内に作成し、ビザの停止、アメリカ国内の口座の凍結が行われます。
さらの香港の金融と貿易に対する最恵国待遇を取り消します。そして国際銀行間金融通信協会「スイフト」のスイフト・コードの停止が行われるそうです。

これで香港は国際決済が不可能になります。中共の決済は香港経由で行われていましたから、これで中共は正規のドル決済が不可能になります。闇経済での決済は残るでしょうが、それで国家の貿易決済がすべて行えるとは思いません。
加えて中共政府の債券の取引も停止される見込みです。

さらにインターネットの中共外しも検討しているようです。先ず中共国内に自由世界の情報が伝わらないようにしているファイアーウォールを破壊することが計画されているようですが、通信遮断も検討されているとか。

面白いのはファーウェイに対する制裁の緩和も検討されていて、一般化している電子部品の対ファーウェイ輸出は認める方向にあると言います。
もしかしたらファーウェイ自体を中共から切り離し、アメリカの企業としてしまおうと言う考えを持っているのかも知れませんね。

すでに中共の経済は大きなダメージを受けていると言います。この香港国家安全法は全自由主義世界を敵に回す法律で、中共にもさらなるダメージを与えるはずです。

法律の内容も「末期的な政権の悪足掻き」にも取れるものです。習政権が潰れるのか、それとも中国共産党が潰れるのか、そこは判りませんが、米中非武力戦争は今、クライマックスなのかも知れません。

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