2020年7月11日土曜日

月に行く日本人

日米両政府が、日本人宇宙飛行士が月面着陸を行うことを盛り込んだ月探査協力に関する共同宣言を発表しました。10年以内に実現すると言うことです。

月探査計画に関する共同宣言には、アメリカが国際協力で建設する月の周回基地と月面において「日本人宇宙飛行士の活動機会を可能とするための取り決めを策定する」と明記したそうです。

アメリカは約半世紀前にアポロ計画で月に人間を送り込みましたが、その後どこの国も月面に人を送ってはおりません。
中共が盛んに月面着陸を行うことを宣言していますが、アメリカからの情報が無くてそれを行えるのでしょうか。

米中は現在戦争状態にあり、アメリカは対中情報規制を行っております。アポロ計画では巨大なサターンロケットを作って一気に月面着陸を達成しました。多くの情報がもたらされたことでしょう。
しかし費用などの問題でアポロ計画は中止となり、変わってスペースシャトルが登場します。シャトル計画は地球上空の宇宙ステーション(ISS)を作り、そこから月までのロケットを飛ばそうという計画でした。

しかしアポロより安いスペースシャトルも最初に計画したほど長期使用に耐えず、結局ロシアのソユーズの経済性に負けてしまいます。

一度始めた国際宇宙ステーションはそう簡単にやめるわけにもいかず、ロシアのソユーズが科学者の派遣と帰還を受け持つ状況になってしまったわけです。

そしてその間、日本はH2Bロケットを開発し、「こうのとり」と名付けた大型バスほどのISS物資輸送機を打ち上げて協力していました。
しかし日本はまだ打ち上げた人間の帰還技術は持っていません。打ち上げも物資は乗せても人間が乗ってステーションまで行ったことはありません。

この遅れている日本の宇宙開発ですが、今回の月着陸で進展する可能性があります。
アメリカが宇宙開発に停滞していた理由は、国家プロジェクトから民間開発への移管がなかなかうまく進まなかったからだろうと思います。

この民間への移管で宇宙開発技術の情報がかなりオープンとなり、そこに中共が入り込んできたわけです。ですからそれから中共の宇宙開発が進んだということでもあります。

ISS(国際宇宙ステーション)には、経済的メリットがまだほとんどありません。ただし中共はそこに軍事的メリットを見出しております。
ですからそこに中国人をなかなか迎え入れることが出来ず、中共は独自のステーションを作る計画を発表しています。

今後の宇宙開発は、先ずこのISSを拡張し、この空間でロケットを組み立てられなければならないでしょう。(宇宙工場ですね)
月周回ステーションの計画は、宇宙航行の船が直接「月」に着陸するのではなく、先ず周回ステーションに入ってから、そこから着陸船に乗り換えて月面に降りる段取りになるでしょう。

莫大な費用と時間がかかる計画です。またこのような人類の未来を決定づける計画になるからこそアメリカは民間への開発移管をおこなったはずです。

今のところ宇宙開発には軍事的意味しかありません。民間には経済的利益が無ければうまく行きません。これは明確なことです。
そこで「月や惑星に経済的メリットのある資源がないか」とか「宇宙観光は成立するか」などのテーマが提起され、日本は小惑星帯からの岩石の採集などを行っているわけです。

また「こうのとり」はISSへの物資の大規模輸送を可能にしています。これはISSに工場を作る前段階とも言えると思います。

宇宙の資源の一つに「無重力」があります。地球のような惑星では重力が邪魔をしてうまく出来ない研究があります。
「創薬」の実験や「素粒子」の実験です。核融合炉などはもしかしたら無重力空間の方が安く構築できるかも知れません。

まだ良く見えぬ宇宙の経済効果。しかし可能性だけは見えてきているようです。
月面着陸の日米協力が今後どうなって行くか、そこには経済的問題が大きく立ちはだかっています。

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